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数学点描 vol.68 身近に潜む対数

こんにちは、すうがくぶんかの内場です。
早速ですが、皆さんは対数に親近感はありますか?
むしろ苦手意識がある方も多いかもしれません。

対数はlog aと表される数です。
対数の英語がlogarihmなので、略してlogと書いています。
対数は簡単に言えば、桁数(から1を引いたもの)です。

例えば、10は2桁ですよね。なので、log 10 = 1です。
20になるとlog 20 = 1.301…になります。
「あれ?20は2桁だから1じゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、10に比べて3桁の数である100に近づいていますよね。
これを考慮したのが、1.301…の「301…」の部分です。
※ 詳しい方向けの注意: 対数の底は10にしています。

さて、ここでちょっとしたクイズをしましょう。
Q 各都道府県や市町村の人口の一番最初の桁に出てくる数字に注目してください。
例えば東京都の人口は1396万人なので、一番最初の桁は "1" です。
さて全ての都道府県、市町村の人口を調べたとき、一番最初の桁に出てくる数字には実は偏りがあります。
どの数字が一番出やすいでしょう。
(1) 1
(2) 4
(3) 7
(4) 9

実は正解は(1)の1です。
人口の最初の桁の値が "1" なのは全体のうちの31.3%にもなります。

このような現象は人口のデータに限らず、川の長さや請求書の金額まで
様々な数値データの最初の桁の数字にこの傾向が見られることが知られていて、
ベンフォードの法則とよばれています。

ところでこれが対数とどんな関係があるのでしょうか。
実は、最初の桁の値が "1" になる確率はおよそlog 2 - log 1になるのです。
log 2 - log 1 = 0.301..
なので、先ほどの31.3%に近い値になっていますね。
同様に最初の桁の値が "2" になる確率もおよそlog 3 - log 2 = 0.176...になります。
非常に不思議ですが、身近なところに対数は潜んでいるんですね。

対数が苦手な方も、ぜひもう一度対数に思いを馳せてみてください。
きっと面白いことがいろいろと待っていますよ!

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