東京都との県境周辺、意外と東京じゃない側のほうが栄えている説
都道府県平均地価で言えば、日本では東京都がぶっちぎりの1番であり、憧れの的とされる東京。収入的に無理をしてでも東京に住みたいという人が少なからずいるが、東京都との県境にフォーカスすると、東京じゃない側、つまり埼玉県、千葉県、神奈川県側のほうが栄え、土地値が高い箇所がいくつかあるのだ。北から確認してみる。
・成増(東京都板橋区)と和光市(埼玉県和光市)
池袋駅を始発とし、川越から先へとつながる東武東上線。急行にのると、池袋駅から1駅目が成増駅、2駅目が和光市駅となる。公示地価を見てみる。
成増 平均地価137万円/坪
和光市 平均地価103万/坪
東京側の成増に軍配が上がった。某不動産仲介サイトの平均家賃(マンション、ワンルーム)を調べると、成増、和光市ともに5.5万円だった。つまり、成増の東京補正はかかっていたとしても、和光市とどっこいどっこいの家賃ということは東京補正を抜いた純粋なポテンシャルで言えば和光市の方が上ということだ。始発もあるし、南側は開発されており、そこそこ便利そうである。
・篠崎(東京都江戸川区)と本八幡(千葉県市川市)
篠崎 平均地価118万円/坪
本八幡 平均地価183万円/坪
こちらは圧倒的に本八幡の勝ち。利便性で言っても天と地ほどの差があるだろう。本八幡は都営新宿線、JR総武線、京成本線の3路線、さらに都営新宿線は始発である。タワーマンションもいくつかそびえ立ち、商業的ポテンシャルもなかなかである。市川市はイメージとしても良いほうだ。
もう一方の篠崎は、都営新宿線のみ。急行は停車しない。駅前もなんとなく田舎臭く、東京23区城東地区の最果てである江戸川区、その中でも篠崎の治安はよろしくはない。篠崎が地元である友人がいるのだが、その友人は仕事の関係で千葉の木更津のあたりに住んでいたのだが、口癖のように「木更津は人が腐っている。東京に帰りたい。」と言っていた。木更津の民度についてはそこまでわからないが、少なくとも篠崎を「東京」と躊躇なく連呼するのは、聞いているこちらが恥ずかしくなるのでやめてほしい。
・田園調布(東京都大田区)と武蔵小杉(川崎市中原区)
田園調布 平均地価 239万円/坪
武蔵小杉 平均地価 359万円/坪
これはなかなか驚きではないだろうか。東急東横線でいうと、田園調布、多摩川、新丸子、武蔵小杉・・という順番となり、純粋に隣り合ってはいないが面白い結果となったので紹介する。田園調布はご存知、東京でも屈指の高級住宅街である。一方武蔵小杉は、神奈川で、なおかつあのイメージの悪い「川崎市」である。再開発によりボコボコとタワーマンションが立っているものの、田園調布よりも平均地価が高いのはなぜだろうか。
田園調布は基本的に住宅街で形成されており、商業的なポテンシャルは高くない。どうしても商業地のほうが住宅地よりも土地値が高くはなってしまうのだ。また田園調布という名称がはいる住所はかなり多い(田園調布本町、田園調布南、玉川田園調布)更に駅周辺は同心円状となっており、そのあたりのエリアは驚くほどの大豪邸が連なっているが、少し離れると意外と普通の家が立ち並んでおり、住所に田園調布とはいっているだけの「ニセ田園調布」と呼ぶひとたちもいる。また、大部分が第一種低層住居専用地域であるがために、高い建物をぎちぎちに建てることができない為、収益的ポテンシャルが高いエリアではないのである。地価で比較すると、武蔵小杉が勝っているが、そもそもとして比較対象ではないというのが結論だろう。
・まとめ
住所に東京とはいっているだけで、その場所はすばらしいところかどうかというと、そんなこともない。その土地の実力というのは「住所のブランド」も影響はするが、それ以外の要素である、人の流れ、駅からの距離、建築的ポテンシャル(用途地域、建ぺい率、容積率等々)、災害リスク等に大きく左右される。東京だと思っているとその場所は、実はいわゆる「東京」ではないのかもしれません。東京という「強い地名」にあぐらをかいている人は結構いると思う。皆さんの周りに、ブランドものをいっぱい持っているけど、ファッションセンスがないっていう人、いると思いますが、それと同種族じゃないかと私は思う。