マンションというのは、デベロッパーのポエムに酔いしれて衝動買いするものではない。

満員電車の通勤中、電車内のつり革や駅に新築マンションの広告があり、その広告にはそのマンションを象徴するキャッチフレーズがかかれているはずだが、あまりに大げさで、あまりに格好つけていて、あまりに世間とのイメージのずれが大きい、そんなポエムが書かれていることが多々ある。巷では「マンションポエム」と言われているが、いくつか事例をあげていこう。

個を深め、あるべきを尽くす。(ザ・パークハウス 三番町テラス)

都心の快適を享受し湾岸に遊ぶ。緑を纏うパークサイドタワー。(シティタワー品川パークフロント)

それは、厚木の象徴を手にするということ。(ザ・パークハウス 本厚木タワー)

深緑が迎える静域。(プラウド銀座東)

豊かな情操を育む創意。(ウエリス世田谷砧)

護るべき使命。(ザ・パークハウス 白金長者丸)

住むことの誇らしさを物語る。(シティテラス東京三ノ輪)

日常の開放感、自然の透明感、都市の明瞭さがひとつに結ばれた「CLEAR」な都心私邸を創造。(ブランズ中野富士見町パークナード)

大手町駅からわずか9分の「瞬間環境転換装置」、まもなくお披露目です。(シティテラス東陽町)

これからもずっと、あなたがあなたらしく──。(Jワザック東京押上)


こんな感じで事例をあげてみたが、それぞれのポエムは、言葉は違えど、狙っているところはみな同じのような気はする。「都心」「東京」といったキーワードを中心に、そのマンションの立地、ロケーションを過大に評価し、表現する。そのマンションを買うことで、優越感に浸らせる。まず、このマンポエに酔いしれている人がいるとしたら、まず大事なことに気付いてほしい。

いざ住み始めたら、そのポエムはなんの意味ももたなくなる。

住み始めたら、そのマンションの立地、ロケーション、マンションの設備などに自分の生活は支配されることになる。それは事実であり、幻想でもない。マンションポエムで「都心の邸宅」とうたっていたところで、本人が不便だと思えば、それは不便だし、「緑がひろがる」と書いてあっても、おそらく森の中にマンションが建っているわけでもない。紙一重でいわゆる「誇大広告」と思われるようなキャッチフレーズもたまに見かける。そして、立地が都心になればなるほど、書いてある文章の意味がわからなくなってくる。これはマンションの広告だよな?いったい何の話をしているんだ?と思うときもある。もちろん何億円もするマンションなんて、私は買うことはできないので、私のような人間はターゲットにならないので、このマンポエが理解できなくともなんの問題もないだろう。しかし、こういったマンションのターゲット層となる何億円も稼ぐことができる人間は、こういったポエムを理解し、心を打たれるのだろうか?

こういったポエムに心打たれているようでは、後先が不安である。

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