結婚式場の予約をキャンセルする女
※この小説は2016年に連載を開始したものであり、当時の世相を反映し、絶妙にダサく古臭いと思われるものも散見されます。
それに輪をかけて、百鳥ユウカは痛い女ですので、精読に耐えないものがあるかもしれません。
しかしながら、編集部および著者の見解として、当時の貴重な文化遺産的な側面を評価し、連載当時のまま掲載いたします。
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これでもう何度目だろう。私は結婚式場の予約を電話でキャンセルした。
2回目以上ともなると慣れたものだ。
式場側も、キャンセル自体はよくあることなのか、「なぜキャンセルをするのか?」といった立ち入った質問はしてこない。
予約した時にはあんなに高揚した声で、
「おめでとうございます!!!」と何度も言っていたのに、キャンセルの時は粛々と処理される。
相手もビジネスなのだ。
私がなんでこんなハメに陥っているのか、説明が必要だろうか。
聞きたい人がいたら、どうぞ聞いていって欲しい。聞きたくない人は、とっとと退出して欲しい。私は説教をされるのが嫌いなのだ。いや、女はみんな説教されるのが嫌いなのだ。
当たり前だが、ふざけて人生を送っている人間なんていない。ただ、歯車が噛み合わないときもある。
私は結婚という歯車にうまく噛み合わせることができないでいる。これは恋愛とはまったく別物だ。
一体それはなぜだろうか? 次の誕生日で私は34歳になる。
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