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インボイスの税務調査

先日、あと半月ではじまる
消費税のインボイス制度について、
国税庁長官より税務調査の方針が
日本経済新聞の記事に掲載されました。

インボイス制度は、
課税売上げが1,000万円以下の
事業者には、大きな事務負担があります。

今回は、免税事業者である個人事業主や法人の為に、
新聞記事の内容を考えてみます。




調査の対象は「大口で悪質」

インタビューの中では、
当面の重要な課題は「制度の定着
という事です。

これは、本当にごもっともですね。

もう半月後には始まるのに、
未だに「インボイスって何?」
って聞かれますので・・・


それを踏まえた上で、この言葉です。

・インボイス(適格請求書)制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向

・「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」

インタビュー記事より

この言葉を読み解けば、
インボイスの税務調査は、
大口で悪質
多少のミスは多めにみます
という事かと思います。

これを聞くと安心すると思いますが、
あくまでも、
インボイスの税務調査の話です。

裏を返せば、
その他の税目では従来と通り
という事です。


よって、インボイスだけで
厳しく追及されることはないが、
その他の税目は、
今まで通り厳しく見る
し、
そこから端を発して
インボイスに指摘が入る
ことは
十分あり得るという事です。


税務調査に入られやすいとは・・・

では、一般的に税務調査に入られやすい
会社や個人は、以下のようなパターンと考えられます。

・無申告
・現金商売
・売上が増加してきて、3年程経過
・狙われやすい業種
・売上がギリギリ1,000万円以下
・伸びてきている業界  などなど

よく税務調査で、指摘が入る入る業種は、
以下の表で公表されています。

こちらの上がっている業種は、
引き続き、税務調査が来る可能性は
高くなる傾向にあります。

インボイスの調査では来ないけど・・・

先程も言いましたように、
インボイスの調査だけでは
税務調査に来ないでしょうが、
その他に疑わしき事象があれば、
確実に狙われます。

なので、先程の税務調査の多い業種や
現金商売をやっている場合、
その他の疑わしき内容の調査と
合わせてインボイスもチャック
される
という事は認識しておきましょう。


まぁ、税金を取る側の立場から
インボイスだけで税務調査を実施し、
くまなく帳簿や請求書をチェックした場合でも、
そこから追加で納める消費税が
数十万円程度になるかどうか
かと思います。

場合によっては、数万円ってことも・・・


それに引き換え、
従来から申告漏れの多い業種で
調査すれば611万円(経営コンサルタント)
追徴で取れる訳ですから、
そっちの方が効率がいい訳です。

なら、そっちを優先する
と考える方が自然の流れかと思います。


とは言っても、最初の頃は
多少の配慮はしてもらえるでしょうが、
あまり鵜呑みにしないのが
賢明かと考えます。

あくまでも、インボイスは
・発行する側でも
・受け取る側でも
きっちり事務処理をできる体制を構築し、
説明ができるように整備しましょう。


インボイスの不備への対応

ひとつ、気になる記事があります。

その内容が、以下です。

仕入れ先から受け取ったインボイスに記載事項の不備があった場合でも、納品書や契約書など他の書類で必要事項を確認できれば、仕入れにかかった消費税額の差し引きを認める考えを明らかにした。

インタビュー記事より

今までのインボイスQ&Aの問34では、
インボイスが間違えていた場合、
・新たにインボイスを再発行
・関連性を明らかにし、修正事項を送付
の2パターンの対応が求められていました。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=57

今回のインタビューだと、
他の書類で確認できれば修正を求めなくてもよい
ことになります。

これは、非常に煩わしい処理が
簡素化できるので喜ばしいニュースですが、
果たしてどれくらい便利なるかは不明です。

単に適格請求書発行事業者番号が漏れている場合などは、
他の書類に書いてあれば救われそうですが、
金額が違っていたりすると
そもそも納品書や契約書も違ってる
可能性もあり、救われないかもしれません。


このインタビューの件は、
大前提は「修正再発行」というスタンスで
運用し、どうにもならない時だけ
他の書類で代用するのがいいと考えます。

ずっと、そのような取り扱いを
してもられるかも、不安ですし・・・


まとめ

今回は、新聞記事より
国税庁長官のインボイス税務調査に
ついて、紹介しました。

インボイス制度は、
認知が低く、実際に運用開始になると
大混乱も予想されます。

導入当初は、多少柔軟に対応して
もらえそうですが、
他の税目の税務調査から波及して
インボイスも厳しくチェックされる
事は十分考えられます。

日頃から、見られている気持ちで
説明ができるよう
書類を残し、帳簿に記入する
ことを強くお勧めします。


#日経COMEMO #NIKKEI


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