電子帳簿保存法の最新動向(税制改正大綱)
12月も半ばを過ぎ、
あと10日程で2022年も終わりを迎えようとしていますが、
税務面では、12月ということで
「税制改正大綱」が発表されました。
今回は、税制改正大綱の中から
ここ数年、話題となっておりました
「電子取引」について、紹介します。
税制改正大綱の内容
それでは、大綱の全文をご紹介します。
https://partsa.nikkei.com/parts/ds/pdf/20221216/20221216.pdf
こちらの改正案が出る前の規定は
以下のブログで紹介していますので、
こちらをご参照下さい。
それでは、改正点を解説致します。
検索要件は不要
従来は、
・取引年月日
・取引先
・取引金額
この3点での検索が必須でした。
こちらの検索要件が「不要」となりました。
不要となる要件は、以下の通りです。
それに加えて、次の事項も決まられました。
上記の場合、検索要件を満たしていないまま、
電子データを保存しておいても、
書面に出力できれば、
OKということになりました。
そもそもの電子取引の保存について
今回の改正、実質的に
何の対策もせず、雑然と電子データを保存しておいても、
ダウンロードと書面に出せれば
法要件はクリアできてしまう事になります。
ただ、こちらの改正、
個人的には、非常に残念だと考えます。
(あくまでも、個人の感想です)
世の中、これだけペーパーレス化が
叫ばれており、
なおかつ、デジタルインボイスの普及も
これから活発化しようとする中での
時代とは逆に進んでしまった「書面OK」の改正です。
もともと、「電子データで受領した請求書などを
電子データのまま保存をする」という、
至って当たり前の話だと考えられますが、
例外の書面出力を容認していたから、
電子データでの保存が進まなかった背景があります。
経理部門は、それでなくても
「紙」が多いのは事実です。
このように少しずつでも、
「紙」文化が減少することで
経理の効率化が期待できましたが、
実現可能性が低くなってしまいました。
今後、電子データはどのように保存されていても
特に問題はありませんが、
最低限、上記の3つの検索要件はクリアしないと
「すぐ見たい」時に対応は困難ではないかと考えられ、
実務上、あまり効果的な運用は期待できないことに
なってしまいます。
せっかく、電子データで保存するなら、
実務上でも効果的な運用ができるよう
検討していく方がよいのではないかと思います。
今後、電子データの保存はどうするか
今後、どうするのがいいかですが、
私個人は、
電子データは電子データのまま保存します。
紙に出力してしまうと、
見たいときに探さないといけませんし、
保存を行うシステムも会計ソフトに
付属しているので、
便利で操作も簡単だからです。
私にとっては、
書面に出力する方が
よっぽど面倒な作業となってしまいます。
また、このような時代ですので、
今後、電子データにおいて請求書等を
もらう機会が増えてくるかと思います。
ある程度増えてきて、
慌てて電子保存を行うよりも
それまでに電子保存のやり方を
確立しておく方が
今後役に立つかと思います。
ただし、事業所が何ヶ所かある場合は、
導入に労力が必要です。
このような事業者の方は、
検討と導入移行に時間が必要となります。
その場合は、入念な準備と柔軟な対応が必要かと思います。
まとめ
今回は、改正案が発表された
電子取引について、紹介しました。
小規模な事業者ほど、
電子取引の電子保存は
導入がしやすいメリットがあります。
ぜひ、電子データの保存について、
整然と保存できる方法を
検討することをお勧め致します。
弊社では、電子帳簿保存法の
コンサルティングを行っております。
電子取引にご興味がありましたら、こちらより
ご連絡をお願い致します。
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