賃上げ税制の最新動向
今回は、賃上げ税制の最新動向を
日本経済新聞の記事よりご紹介します。
現状の制度と改正になる予定を
紹介していきます。
現状の制度とは
現状の賃上げ税制の内容ですが、
以下の図の通りです。
大まかには、1年間の給与の総額が
前年度より1.5%以上増加していれば、
アップした給与のうち15%を
法人税から安くしてもらえる
制度となります。
また、給与の総額が
2.5%以上増加すれば、
法人税額は30%安くなる
という上乗せもあります。
こちら、税額控除の制度となりますので、
適用ができれば、純粋に節税になります。
制度の詳しい資料は、
以下からダウンロードできます。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin04gudebook.pdf
現状の大きな問題
現状の制度の大きな問題は、
法人税額が発生していなければ
1円の控除もないことです。
そうなんです、赤字企業は
全く恩恵を受けられません。
では、例を見てみましょう。
さて、上記の例では
給与もアップし、
法人税額も発生していますので
税額控除が受けられます。
もし、赤字の会社の場合、
「⑥」の計算が0円となり、
「⑦」の判定では、いずれか少ない金額が
対象となりますので、
税額控除が受けられません。
記事の中でも
中小企業の6割が法人税が発生しておらず、
そのうち3割が税額控除が可能なら
賃金を引き上げたと回答しています。
このように、現状の計算方法では、
赤字企業が賃上げに踏み切れない状況です。
この制度は、
給与をアップした金額が
還付される(返金される)のではなく、
納める税金を安くしてくれる制度です。
その認識は、間違えないようにしましょう。
新たな制度案は
現状での改正案は、
赤字企業の場合は、
翌年以降に税額控除が受けられるように
繰り越しができる予定です。
あくまでも、繰り越せるだけで、
その年数も現状では不明です。
ただ確実に言えることは、
今年赤字であった場合、
翌年も同じく赤字だと
控除を受けられない可能性があります。
2~3年程度繰り越しができれば、
もう少し猶予はありますが、
どこかで黒字の年がなければ、
永遠に控除は受けられません。
その場合は、賃上げと同時に
会社の収支の見直しも急務となります。
会社の収支を黒字化できるよう
会社のコスト構造の分解も
行って黒字化を目指しましょう。
まとめ
今回は、賃上げ税制の
最新動向について、
新聞記事をご紹介しました。
賃上げは、社会課題であると同時に
多くの企業や個人が恩恵を受けなければ
なかなか広がっていかない制度です。
物の値段がどんどん上がり
給与は上がらない日本。
物の値段が上がった分、
給与が上がればいい値上げですが、
給与には反映されていないのが
今の日本の現状です。
この改正で、
多くの方が恩恵を受けられるよう
普及することを願います。