老老相続とは?60歳以上の相続人の現状とは?対策も解説
今回ご紹介する内容は、「老老相続」です。
「老老介護」という言葉は聞き馴染みあるかと思いますが、その相続財産版という位置付けと思ってもらえるとわかりやすいかと思います。
今回は、この老老相続について、現状と対策について、紹介します。
老老相続の現状
まずは、老老相続の現状からです。
60歳以上の相続人は52.1%
相続が発生した場合に、相続人(財産を引き継ぐ人)が60歳以上は全体の52.1%となっており、半分は60歳以上の方が財産を引き継いでいる事がわかります。
また、亡くなった方が80歳以上の割合も全体の7割となっており、30年前の1.8倍の水準となっています。
年齢別の死亡数は、男女とも80歳超
内閣府の年次経済財政報告を見ると、男女の平均寿命と最頻値は、以下の通りです。
このデータからわかるように、年齢別の死亡数の最頻値は男女ともに高齢となっています。
このことから、80代の男性の相続財産を90代の女性が引き継ぐという事も珍しい事象ではないと言えるでしょう。
老老相続の本当の問題点
相続において、「誰が財産を引き継ぐのか」という所で、私が日頃一番気を付けているのは、亡くなられた方と生活を共にし、同じ生計で暮らしていた方(配偶者が中心)の生活が困らないように財産を引き継ぐ事を心掛けています。
よって、老老相続は、一番近い遺族を守るには、致し方ない部分があると思っています。
その一方、次のような問題も抱えています。
金融資産が停滞する
本来、相続が発生した場合には、次の世代に引き継いでいく事が自然の流れとなります。
この自然の流れが起きていないのは、高齢化が進み、自分自身の生活費がどの程度必要かが不透明であり、手許に蓄えている事が想定されます。
また、別々の生計であり、全く財産の情報が共有されていない事も一因と考えられます。
二次相続対策が重要となる
相続の制度に、配偶者間の財産相続は相続税が軽減される制度があります。
これにより、夫婦間での相続税は、ほとんどの場合課税されない事が多いです。
ただし、その制度が使えるのは、夫婦のうち、最初に亡くなった方の相続税の計算の時だけです。
よって、遺された方が亡くなった時には、この制度が使えませんので、相続税の負担が多くなる可能性があります。
年齢と共に認知能力が低下する
やはり、年齢が高くなると認知能力も低下する事が多くなり、財産を相続しても、本人が全てを管理する事が難しくなる可能性が高くなります。
老老相続を解決する為の3つの対策
それでは、老老相続を解決するための対策を紹介します。
遺言書
まずは、遺言書となります。
元気なうちに、誰にどの財産を引き継いでほしいかという「自分の意思」を表明する事ができ、遺された遺族が遺産を相続する際にも非常に役立ちます。
遺言書は、元気なうちにしかできませんので、早めに作成するようにしましょう。
生前贈与
子や孫がいる場合、生前贈与により財産を移すことも有効です。
先程と同様ですが、元気なうちに自分の意思により贈与をすることが求められます。
よって、元気なうちから計画的に行う事が必要です。
生前贈与については、以下の関連記事もご覧下さい📖
家族会議
最後は、家族会議です。
「なんだ、そんな事か」と思われる方も多いかもしれませんが、案外家族会議を行っている方は少ないです。
やはり、元気なうちに子や孫世代と情報を共有しておくことが重要です。
子や孫世代が離れた土地で生活していると、なかなか情報を共有する事は難しいでしょうが、いざ相続が発生した場合、離れていると手続きだけでも大変な労力となります。何も知らなければ、その労力は計り知れません。
よって、親世代が元気なうちに家族会議を開き、家族間である程度の方針を決定しておくことが重要となります。
まとめ
今回は、老老相続について、紹介しました。
人生100年時代において、先行きの不透明感から財産を手許に持っておきたいという気持ちが強く、老老相続が起こっている一因になっていると思います。
そのこと自体は、決して悪い事とは思いませんが、亡くなってしまった後に遺された遺族が困らない為の対策や情報伝達方法を、常日頃から、家族間で共有しておくことをお勧めします。
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