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#27 Take me to the haven of your bed
塾の先生を辞めて高等遊民(ニート)生活を満喫している。
最低でも月一くらいで更新したいと思っていたnote。社会人のときは忙しさ理由にサボりまくっていたが、なんだこのニート、全然筆を取りやがらねえ。重い腰ならぬ、重い指。
何も書かん、映画も観ない、ろくに本も読まない、勉強も続かない、
3月は37時間もTwitterに費やした週があった。キモすぎる。
簡単な娯楽であるSNSやYouTubeばっかり開いてしまうの本当に辞めたいのにな。これじゃただの現代人だ、嫌だ嫌だ。おまえが社会人を辞めてまでしたかった生活はこんなものじゃなかったはずだろ。
久々のnoteなので、「好きなもの」について書くのだ。わたしは忘れてしまいたい、単調な日常を。
わたしは非日常を求める旅人でなければならない。
去年夏より本格的にハマった世界である、「昭和ラブホ」。ああやっと、愛するきみたちについて書ける。
昨今は空前絶後のレトロブーム。
レトロな喫茶をはじめとして、今や簡単にTwitterやInstagramでそういったディープスポットの情報は手に入る。
そしてそこはいつしか、"ディープ"スポットなどではなくなる。
わたしはもっと深く潜らねば。
4年前からストリップ劇場通いに夢中になり、ポルノ映画館などにも行ってみたりして、古き良きエロスには触れていた。レトロなラブホテルにハマるのも必然的なものだったに違いない。
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去年2022年に行ったラブホは計16部屋、廃墟含めたら20軒はいくだろう。
今年に入ってからは既に13部屋。正直おかしい記録だと思う。関東圏外に行く理由はもうラブホ巡礼しかないし。新潟に帰省してもラブホに行く。もはや今のわたしには当たり前のものとなったライフスタイルだが、一歩引いて見るとやっぱり「おかしい」と思う。なあ、界隈同士諸君よ… わたしたちは異端だ、だから素晴らしい。
2021年初頭、そういったパートナーがいた時も一度レトロラブホには行っているのに、どうしてまた一年以上経って火がついたのか。
それはおそらく、自分の中にある旅人魂が爆発したからに他ならない。
2022年晩春、塾講(正社員)というリアルの自分に疲れてしようがなくなって、何かに逃避せざるをえなかった。今までの自分の現実逃避の手段としては、「ロックバンドのライブ」と「渡英」これが二大柱だったわけだが、国内バンドのライブに行けども声出しはできないし、外タレは情勢的に来てくれないし、海外旅行なんてもってのほか。クソッタレすぎる。
そこに以前より興味があった昭和ラブホの世界の情報が飛び込んできて「これなら気軽に行けちゃうなあ…」となって、今に至る。
なぜラブホテル?今までのようにストリップ劇場じゃ逃避出来なくなったのか?浮気せずに黙って推しの踊り子に金落としに行けよ… とも今も心のどこかで思ってはいるが、いわばラブホはもうわたしにとって、ステージなのだ。
ロックスターになりそこなったコイツが、ロックスターの真似事をするのに丁度いい、道化になるのに丁度いい遊園地、というか。
回転ベッドや乗り物ベッドが流行った時代のラブホは、そもそも「大人の遊園地」そのものだったはずだろう?
個性的でかわいいベッドたち、煩わしい令和時代を忘れさせる壁紙や小物、そこでかつて愛を深めてきた人間たちに思いを馳せる…
なんだかあの空間にいるとね、何にでもなれそうな気すらしてくる。あの場所で好きな格好をしていると無敵になれるんだ。
普通なら人間たちがセックスする場所なのにな。けどその時だけはね、あの世界の全てはわたしのものだよ。
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去年行ったベストラブホとして、宇都宮「ガラスの恋」と浅草「衣」が挙げられる。
対象的なふたつのホテル。
わたしは、「ガラスの恋」をはじめとした「おもちゃ箱」みたいなファンシーラブホでは、普段のかっこつけた私服を着て撮るのを好む。
一方「衣」のようなThe連れ込み宿タイプの和ラブホでは、学ランの亡霊ごっこをするのだ。
そして、セーラー服は双方どちらのタイプのラブホにも通用する、完璧な勝負服であることも最近気が付いた。
これが存外たのしくてやめられない。
メイクして2.3度着替えて、撮影してたら時間が経つのはあっという間だ。
あとわたしがラブホテルたちに求めるものといったら、「泣けてくるくらいのノスタルジイ」だろう。
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これまた「ガラスの恋」の外観だが、ねえ、わたしはここに来た時泣いたよ。
だって小さい頃両親に連れていってもらった遊園地って、きっとこんな感じだったもの。
ノスタルジィを求めて。
あの頃、パパとママとわたしで色んなところに遊びに行った、あの頃を求めて。
それでラブホテルに行くなんて、やっぱりおかしい話だけれども。
ずっとこどものまま、可愛がられていたいだけ。
そんな奥底にある無理な欲求を少しでも満たしてくれるんだ、あの部屋たちは…
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こちらは3月に行った静岡県焼津市にあるホテル「プリンセス」15号室。
ねえ、おれはずっときみに逢いたかったんだよ。
いろんな昭和ラブホの情報を集め、まとめた中でもこの部屋が一番だった。きっときみより可愛いベッドなんてない。やっと逢えたね…
どうにかしてこの子を自分のものだけに出来ないか考えたが、まあ無理だ。おれにできることは限られている。
この子が、この素敵な部屋が亡くならないよう、宣伝する。したくないけど。これ以上きみの存在を知る人間が増えてほしくなくても、おれは涙を飲んで宣伝するのだ。いやだよ、もうおれ以外をそこに寝かせないでよ…
これほど自分が富豪でないことを悔やんだことはない。富豪だったらいくら積んででもきみをモノにしていた。
絶対また、一年周期くらいで、きみに逢いに行く。きみが何人もの人間をそこに寝かせようと、きみのことを一番愛してるのはおれだから…
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廃ラブホにもちまちまと行くようになった。
The自然!って感じや、虫や動物がてんでダメなもんだからそんなに進んでは行けないけれど…
幽霊とかより、生きてるものが圧倒的に怖くてビビって進めなくなるのだ。
だから、インスタとかでハッシュタグだけ漁って満足したり、写真集眺めてるだけでおなかいっぱいではある。
もうない、捨てられたラブホたちを見ては切なくてどうしようもなくなって、涙腺がバカになるのだ。
なんでこんな可愛いベッドたちが無惨に捨てられなきゃいけなかったんだろう。なんでわたしは、この子たちの活躍全盛期に生まれることが出来なかったんだろう。なんで、この国はこんな素晴らしい昭和遺産を保護しないのだろう……
みんなの遠足ログ♫ わ~いアタシ廃ラブホ好きィ。いろんなお部屋が楽し気な廃ラブホ好きィ。 投稿者:enuenuenubi pic.twitter.com/LMh4HTqEyk
— 終末オトナ遠足 (@otonapicnic) May 19, 2019
こんな可愛い子たちは、もういない。
上記のツイートではまだ綺麗な保存状態ではあるが、わたしがこの子たちに会えることはもう無い。
もう亡くなった子たちのことを考えれば考えるほど、やるせなさでどうにかなりそうになる。
荒らされたり、YouTuberの見世物になっているのも、がまんがならないのだ。(心霊系YouTuberは見るけど)
DQNに荒らされて落書きとかされまくるくらいなら、解体された方がいいのかな。
昭和ラブホ然りストリップ劇場然り、おれがこの国の偉い人だったら真っ先に保護するのにな。
自分の好きなものはとことん現代には歓迎されていない、ただ消えていくものだと思わされると、この令和という時代を無意味に憎んでしまう。
分かってはいるのだ、SNSが普及した今だからこそ、お前がこの素敵なレトロの世界に触れることができるってことくらい、そんなことは承知なのだが……
せめてベッドで寝なさい
— ゾゾ (@xm6esnmdkm9ji01) April 30, 2023
歯を磨いてね#廃墟 pic.twitter.com/OAXnXPhZ9k
⬆️上記ツイートの2枚目にある王冠ベッド。わたしはきみに会いたくてたまらなかった。きみのもとで寝たかった。この素敵なベッドで情事をしたカップルを思うと、少しの嫉妬と同時に幸せな気持ちにもなれるのだ。
このベッドたちのような遊び心があるホテル、今ほとんどないでしょう。新しく作られてもこいつは「こんなの、パチモンだ。映えのためにつくられた、嘘っぱちのレトロだ!」などと喚く。めんどくさい懐古厨め。
上で紹介した「ガラスの恋」や「プリンセス」が、こうなってしまったらわたしは発狂してしまう。どうか末永く、そこにありますように。ひたすらそれを願う。きみたちが廃となって、荒らされることなんて考えたくもないのだ。
かわいいきみ、朽ちてもかわいいきみよ
捨てられ荒らされ、供養すらされなかったかわい子ちゃん
わたしはきみを愛したかった
今のわたしをいちばん切なくさせるもの、それは紛れもなく消えゆくホテルたちだ。
儚い、故に愛さずにはいられない。
わたしの「愛してる」は決して、安売りしているようなものじゃなくて…
わたしには「愛してる」だなんて絶対返してはくれないものに対して言うもの、のように感じる。きみはわたしを愛さなくていい!
きみたちはわたしを抱いてはくれないが、いいのだ。
自分はとことん"場所"に焦がれる。
英国に骨を埋めるつもりだったが、少し日本にも未練ができた。まだ行ってないホテルやストリップ劇場がある。とても死んでなどいられない。昭和のラブホやストリップ劇場を追い求めるためピンク映画の勉強もするのだ。
これが、「ロックスターになり伝説を残して27歳で死ぬ」ができなかった世界線の、わたしの人生。
その歳は目の前だ。
夢のような場所で、スターの真似事をしよう。
これからも。
愛さなくなるまでは愛してる!
ボクの大好きな志磨遼平の詩は、とてもラブホちゃんたちにピッタリなのだ。