私的古本屋の巡り方 in名古屋 BOOKOFF篇
私の古本の探し方は、殆どは意中の本を探して古本屋を渡り歩くことですが、何か面白そうな本は無いかと無目的にふらふらすることもあります。
が、どちらにしても、三十分以上長居することは殆どありません。何故なら一箇所でも多くの本屋に行きたいから。私の『古本屋の巡り方』は、名古屋市営地下鉄を丸一日乗り回せる『ドニチエコきっぷ』を駆使して点在する本屋を片っ端からハシゴするという、どちらかと言えばスタンプラリーに近いスタイルです。
個人経営の古書店を巡ることもありますが、最も多く立ち寄る古本屋、『BOOKOFF』の、私なりの、私だけが楽しい巡り方の独り言です。
■下準備
何も難しいことはしません。
BOOKOFF公式サイトで、名古屋市内にある全店舗の内、地下鉄の駅から徒歩ニ十分以内にある店の名前と店舗規模、最寄り駅、所要時間、道順の地図を調べ上げ、全て書き出す。以上。
あとは実際に店舗に行って大まかな雰囲気を掴めば、その後の回り方の参考になると思います。
因みに一度、全店舗回るのに最も効率的なルートや、『三時間以内』『六時間以内』『八時間以内』で回る時、最も多くの店舗を回れるルートを考えたことがあります。
地下鉄全線の路線図、店舗位置(駅の場所、駅からの所要時間の両方)、電車の運行間隔から考えてみて―――と、時刻表と所在地をにらめっこしていましたが、現在把握しているだけでも九店舗。全ての道順を数えるだけでもトンデモな数になります。
オーケー、多分コレ巡回セールスマン問題かその親戚みたいなヤツだと気付き、考えるのを諦めました。回る順番は、その時のフィーリングに任せるのが一番というのが私の結論です。
徒歩ニ十分以内の理由
最初に店舗の書き出しをした時は、『徒歩十分圏内』を目安に選別していました。理由は、十分以内なら出口を間違えない限りすぐにお店が目視出来ると思ったからです。また、もし道を間違えても、五分で見つからなければすぐに引き返せば良いからです。
たかだか五分見つからないくらいで諦めるとは、と思われるかもしれませんが、この書き出しを始めた頃はグーグルマップなど無かったのです。
最寄駅からの道順は、数本の無機質な曲線と直線で構成された簡単な地図ばかりで、具体的な目印や通りの名前、交差点名も無いこともしばしば。実際に駅を出ては、何処だよ此処はと何度思った事か。
方位記号は書かれていましたが、「南へ徒歩●分/●メートル」のような案内を見る度に、世の人は自分がどの方角を向いているかが分かるのかと不思議でなりませんでした。
そんな出来事も最早過去。今では限りなく詳細で、ほぼ直近の情報が詰まった地図が掲載されています。道に迷うリスクも減り、あとの懸念事項は私の足がどれだけ耐えられるかだけ。
正直、歩こうと思えばもっと歩けるとは思いますが、目的地の店舗規模や一日で回れる店舗数、目的の本があるかどうかは結局運次第であることを鑑みて、『ニ十分圏内』が落としどころだろうと判断しました。
お気に入りの店舗
所詮チェーン店、フランチャイズ店なのだから、品揃えの差こそあっても、内容については大して差は無いと思われるかもしれませんが、立地条件なのか本を売る側(客側)の違いなのか、はたまた各店舗の店長の方針なのか分かりませんが、なんとなー…く私好みの店舗とそうでない店舗があります。
個人的にテッパンなのは、『新瑞橋駅前店』と『BOOKOFF PLUS 熱田国道1号店』。あまり時間が無い日でも、ほぼ毎回立ち寄ります。
一番好きだったのは『名古屋大曽根店』でしたが、今年の四月に閉店となってしまいました…。ここは、いつ行っても興味を引くタイトル/ジャンル(特に河出文庫やちくま文庫辺り)の本が二つ三つは並んでいました。出張買取もあるので何とも言えませんが、私の読書趣味と近い感覚をお持ちだった方が近くにお住まいだ(った)と勝手に思っています。
熱田国道1号店は、駅から少々歩きますが大型店なので取り扱い商品数が多く、面白そうな本を探すのにも暇を潰すのにも適したお店です。しかしもう一つのお気に入り店舗である新瑞橋駅前店は、真逆のお店です。
駅の出口すぐにある為、アクセスするのは楽ですが、規模としては小型店舗、つまり商品数は少なめのお店となっています。しかしそれ故に本が探しやすく、無いものは無いとスッパリ諦められる。それはそれで『古本屋巡り』には丁度良いお店なのです。また、大曽根店ほどではありませんが、こちらも気になると思っていた本を時々見かけます。
お気に入りのお店となると通う間隔が短くなりがちであり、そうなれば当然、あまり変化を感じられない=新鮮味が感じられなくなってしまいます。なので、『滅多に行かないお店』を作るのもブックオフ巡りを楽しむコツの一つです。
それもあって、大型店舗、且つ最もアクセスしやすい『SUPER BAZAAR 栄スカイル店』はこういう『古本屋巡り』の時には立ち寄りません。ここは下手をすれば週一で通うレベルの店なので、休日は敢えては行かないスタイルです。
■古本探しで得るもの、失うもの
私はリストアップした本屋を手書きで控え、地下鉄の路線ごとに分類しています。手書きの地図を片手に、宝を求めて外に出る。これを冒険と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
ブックオフのサイトや(一部?)店舗では、目当ての本がブックオフ全店で取り扱いがあるかを調べることが出来ますが、私は使いません。目的や興を削がれて楽しめる訳が無いですもん。
この店舗に目当ての本はあるだろうか。それとも思いもよらない出会いがあるだろうか。目を閉じ、地下鉄に揺られながら期待に胸を膨らませる。そこには、お金では決して得られないロマンやトキメキがあるのです。
だがしかし、そんなトキメキに惑わされ、見落としてはいけないのが何を隠そうお金です。
お前何を舌の根も乾かない内に、と思われるかもしれませんが、ちょっと冷静に考えて頂きたい。
2024年現在、ドニチエコきっぷは620円ですが、これに100円ちょっと出せば文庫本が新品で一冊買えるのです。
例えば文庫本の場合、体感で大体300~400円引きくらいの値段で売られているので、二冊購入で定価購入とほぼ同等。三冊以上は買わないと、トータルで安く買えたとは言えません。
平たく言えば、かかった交通費以上に安く買えなければ赤字なのです。何なら、下調べや移動に多少の労力や時間もかかってる。
因みに、この事実に気づいたのはつい一年ほど前のこと(古書店探訪歴十数年)。
…。
…いや、良いんだ…620円で一日遊んだと思えば…。安く買うだけが目的じゃないし…。
…。
…ゲフッ(´д`)←当初は安く買うのが目的だった
金銭では得られない楽しみを得た時、知らず失われているのは金銭である。
何か格言っぽく言ってみましたが、手段の為なら目的を選ばないみたいなことにならないようにというお話です 。
単純に安く買いたいだけなら、ご近所の古本屋か、ネットで価格を比較して購入することをお勧めします。 ゲフッ。
おまけ
BOOKOFFリストを作ろうと思ったきっかけは、【三国志 著:北方謙三】です。
熱い! 泣ける! 面白い! が詰まった、心震えるハードボイルド歴史大長編。
この本に出会った当時、学生だった私はクレカも無ければ、ネット通販も身近な存在ではありませんでした。
全巻買い揃えたいけれど、お金は無い。それ以前に、近所の本屋にあるのは、何故か巻が飛んでいる。
私の古本屋探訪は、そんな節約と欠けた巻数の蒐集から始まったのでした。