【旅エッセイ】イスタンブールからドブロブニクに、一筋縄では移動できなかった話
大学院の卒業旅行として、トルコ→クロアチアを一人旅したときの災難のお話。なかなかに大変だったが、クロアチアの人の優しさに感動したりと思い出深い。
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イスタンブールには数日滞在していた。一生に一度は訪れてみたかったカッパドキアも訪れ、独特な地形を気球から存分に楽しんだ。
▼カッパドキアでのお話はこちら
どうにかこうにかトルコを巡り終わって、すっかり体に馴染んでしまったイスタンブールから、かねてから念願だったクロアチアのドブロブニクという街まで飛ぶ算段だった。
だがしかし、空港に向かう時から災難は始まった。
まずイスタンブールの天気が大荒れ!イスタンブールにも雪が降ることを初めて知った。ビュービューと強風のなか降りしきる雪。歩いていると顔が痛いしめちゃくちゃ寒い!
要らないかもだけど一応冬だし入れとくか、とリュックにつっこんできたウルトラライトダウンが大活躍だった。むしろウルトラライトダウンでは足りないくらいで、これがなかったらと思うとゾッとするような天気だった。
悪天候の中空港に向かう。隣の隣の国に移動するくらいのフライトだったので、飛行機に乗る時間はそこまで長くはないが、一応国際線なので搭乗時間の2時間前に空港に着くように計画していた。
めちゃめちゃに寒い中、予定通り搭乗時間の2時間前にどうにかこうにか空港について、さ、チェックインしよーと思ってスマホを開くと、何やら乗るはずのエアラインからメールが来ている。
ん??と思って見るとまさかの、フライトのCancel通知が😵
あとから調べると、どうやらクロアチアの方に嵐がきていたらしい。イスタンブールもなかなか悪天候だったが、他の飛行機は動いてるのにな〜と不思議に思っていたがそういうことか…うーん、残念だが仕方がない。
フライトの取り直しがきくのかさえよくわからなかったので、とりあえず窓口に行く。どの窓口に行けばいいかもよくわからないので、とりあえず乗るはずだったTurkish Airlineの航空会社の看板が出ているところに行ってみる。
まずみんな窓口には客が並んでいなくて、わーっと人が集まっていて口々に自分の状況を主張して、スタッフがそれをさばいている。そこに割り込むのがまず大変。話を聞かせるテクニックが必要である。ここはエジプトで鍛えたメンタルで果敢に挑むがなかなか現地人には勝てない、、うるせえ並べ!と号令をかけたくなる。
どうにかこうにか窓口の人にチケットを見せて、「これ飛ばないよね?どんな選択肢があるん??」と聞く。なにせ、今日の宿をドゥブロブニクにとってある。どうにか移動したいのだ。
スタッフさんが無言でわたしのチケットをひったくり、パソコンで色々調べ始める。このスタッフがやる気がなくて、説明もわかりづらくて大変だったのを覚えている。15分以上の相談・交渉をして色々調べてもらった挙げ句、その日の便はもういっぱいだということで、次の日の便で、目的地であるドゥブロブニクからはまあまあ遠いが、その方面だとクロアチアの首都であるザグレブ行きしかないということで、ザグレブ行きの便を取得。
地図で見るとおわかりいただけるかと思うが、ザグレブ=ドブロブニク間はなかなか遠い。約600kmある! 移動には国内線を使うのが一般的なようだったが、学生旅でお金はなく、飛行機がLCCがなくて思ったより高い。前日に取るのだからそりゃ高いのだ。
ということで、ザグレブ=ドブロブニク間の移動は宿代の節約も兼ねて夜行バスで移動することに。ヨーロッパの安旅ではおなじみ、FlixBusという長距離バスで約10時間。安いが、なかなかの時間的ロスである。うーん!
そしてわたしは結局、その日はイスタンブールでもう一泊することになったので、一旦街に戻った。この寒いイスタンブールにもう一泊か…ということでなんだかがっくりである。空港の遅いWi-Fiで宿を調べるのも面倒なくらいには疲れていたので、空港によくある「HOTEL」の看板が出ているような適当な斡旋業者で、少しいい宿をとった。空港の送り迎えのタクシーも一緒に頼んで、1万円くらいだった気がする。トルコリラが安かったのは不幸中の幸いだったかもしれない。
それまでイスタンブールではドミトリータイプの安宿に泊まっていた。ドミトリーも良いが、やっぱり相部屋だといろいろと気を使う。今回のように疲れているときは特に、個室であるというだけでリラックスできる度合いは段違いだ。その日はなんだか疲れすぎて、ホテルについていた「ハマム」というトルコ独自のお風呂で疲れを癒やした。
ハマムとはトルコの岩盤浴ができるお風呂で、町中にも銭湯のノリで点在している。入るとおばちゃんがアカスリや洗髪をしてくれる。
まず脱衣所で水着かタオルになる。岩盤浴場に行くと、人が5,6人寝転べる大きな岩があるので、そこに寝転んで温まりつつ、おばちゃんが来るのを待つ。おばちゃんが来ると、やるねーと一声かけられ、お湯をばっしゃーんとかけられる。耳に水が入ろうがお構いなし。とにかく桶でばっしゃーんとかけられる。
そしてアカスリのたわしみたいなので体をくまなくワシャワシャと磨かれる。これがけっこう痛いが気持ちいい。そしてまたばっしゃーんと流される。髪も洗ってくれた気がするが、これもまあまあ雑で、幼少期お母さんに髪を洗ってもらったときこんな感じだった気がするなあと、ちょっと懐かしい気持ちになる。
私はイスタンブールで2箇所のハマムに入った。1回目は街の観光客OKだったきれいめのハマム。2回目はこのホテルである。
ホテルのハマムはおばちゃんではなく、同い年くらいの女の子がやってくれて、施術中に会話したのを覚えている。ちょっとシャイな子でかわいかった。ホテルで働いている彼女は英語を勉強中だったようで、英語が話せるのが嬉しかったみたいだった。どこからきたのか、どこへ行くのか、飛行機が飛ばなくて大変だよ、みたいなことを話して、全部はわからなかったし伝わらなかったが楽しいワシャワシャタイムだった。
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次の日、ザグレブ行きの飛行機は順調に飛び、クロアチアには到着!預け荷物を待っていると、あれ、荷物が出てこない…??
キターーーーー!人生2回目のロストバゲージである。なんでこう毎回、厄介なときにロスバゲするのか。。その日私は夜行バスでザグレブからドブロブニクに行ってしまう算段だったのだ。こういうときはどうすればいいんだ…まったく、めんどくさい…。
ちなみに1回目のロストバゲージはこちら↓
空港の人に聞くと、ホテルに届けてあげるよとのこと。ドブロブニクまでは運んでくれるらしい。おお、思ったより親切!
だがしかし!問題はまだあった。宿を普通のホテルではなく、Airbnbで普通のアパートに取っていたのである。城下町の中の石造りの現地の家を見てみたかったこと、ドブロブニクのホテルがなかなか高く、民泊のほうが安かったことからそうしたのだが、普通のアパートを家主から鍵を渡されて借りるため、代わりに荷物を受け取ってもらえるフロントなどない。現地の電話番号もない私としては届いた荷物の受け取りが非常にめんどくさい事になりそうだった。
とりあえず、実際にザグレブに届いたかどうか確認するのにも、泊まる予定のアパートの家主に電話をしてもらえたらどうにかなるかなあと思って、チャットで事情を説明して、電話番号を聞いて書かせてもらった。こういうときは英語がちょっとはできてよかったなあと思う。英語ができなかったら、英語が伝わらない国だったら、事態は数倍面倒だっただろう。
ちなみに家主はめちゃめちゃ親切な人で、とても心配してくれて、電話がきたら逐一報告してくれた。本当にありがたかった。日本で観光客が困っていたらできるだけ助けることにしているけれど、こういった助けられた経験とそのときのHappyな感情がそうさせている。助けてもらうととにかく嬉しいし、その国のことが好きになる。クロアチアは人がみんなにこにこ優しくて、素敵な国だった。
そして私自身はもうドブロブニクに向かうしかなかったので、リュックひとつで夜行バスに乗った。このあとも旅は1週間以上の旅程があったので、ちゃんと受け取れるのかなあ、荷物がこのあともずっとなかったらさすがにしんどそうだなあと思いながらバスで眠りについた。
次の日、バスは無事にドブロブニクにたどり着いた。ドブロブニクは紅の豚や魔女の宅急便のモデルとも言われている街で、期待通り、それはそれは美しかった。
一通り街をみて、一旦宿に戻るとAirbnbのチャットに連絡が入っていた。なんでも、私のスーツケースが一回届いたけれど、連絡がつかなかったので一度戻ってしまったらしい。そして、旧市街の中まで車が入ってこれないので、旧市街の入り口で待ち合わせて受け取らないといけないらしい。ほう。
待ち合わせの時間を伝えてもらい、その時間に言われた旧市街の門の前に行く。「〇〇の車で来るみたいだから、そのへんにいればわかるよ!」みたいなチャットで、本当にくるんか?わかるんか??と不安になりながらも待っていると、それっぽい車が来た!
この車っぽいなーと思うドライバーに話しかけると、ああ、君ね、という感じで名前の確認。よかった変な人に話しかけてなかった!そして待ち望んだスーツケースとの再会!1日で手元に戻ってくるとは正直思っていなかったので、クロアチアすごい!と感動したのだった。ちゃんと仕事がなされている。
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荷物も届いて、存分にドブロブニクを探索した。ジブリ大好きな私としては高まらないわけがない場所だった。ポルコがその辺を歩いていそうな景色だった。どこを見ても美しくて、絵になる場所が多すぎて、一日中ずっとカメラを片手にお散歩していた。
城壁の上を一周歩けるようになっていて、入場料が少し取られるが、上から街を見られてきれいなのでおすすめ。
ちなみに街自体は小さいので、1日あれば旧市街のだいたいのスポットは見れてしまう。海もあるので夏が人気で、宿の価格は毎年上がっているらしい。コロナでどうなっているのか、最新情報がわからないが、早めに訪れることをおすすめしておきたい。
飛行機が飛ばなかったときに、一度はドブロブニクを旅程から外すまで考えたが、諦めなくてよかった!
またいつか、次は夏にバカンスで訪れるのもいいかもしれない。
▶︎旅好きな筆者は他にも海外旅行記を書いています。マガジンはこちら⬇️