アフリカ地方隊員@ジンバブエ🇿🇼の自炊事情
アフリカの田舎生活も慣れたようなSNS発信をしていると、「普段何食べてるの??」と良く聞かれる。
日本人だからこそ、「食」が気になるのかもしれないなぁと、最近思う。というのも、アフリカ人、日本人ほど食に執着を感じない。彼らは平気で昼を食べない(お腹が空いたら食べる、という慣習に見える)し、本当に毎日同じものを食べている。鶏肉と野菜ちょろっとを塩でくったくたになるまで煮たものにサザかライスを合わせるのが昼or夜の定番で、それ以外の料理をあまり見ない。日本人目線だと、飽きないんか…?と不思議に思うくらい。
日本はグルメな人の割合がとても高いような気がする。わたしもおいしいものが大好きで、おいしいご飯は幸せに直結すると考えている。
日本だと「ちゃんとご飯食べるんだよ」が「愛してる」の表し方である、という話もある。それだけ、愛している人の「食」を気にして生きている。
そんな人間がこのジンバブエという国でどうやって生き延びているのか、このnoteではわたしのジンバブエでの自炊模様を記録してみよう!
村では自炊が基本
わたしが住んでいるところは地方の村落なので、70km先の街にいかないと外食できる場所はない。
ジンバブエの他の隊員は街に住んでいる人がほとんどなので、ここまでではない。大体、ローカルファストフードの「Chicken inn」くらいはあると思う。
学校で働いているのでサザというローカルフードが食べられる食堂は存在するが、家より遠いので基本的には昼も家に帰って作って食べている。
わたしの住む村の買い物事情
住んでいる村には最低限の食べ物しか売っていない。野菜はトマト、たまねぎ、ときどききゅうり。半分くらいの確率で牛乳はある。卵は大体売っている。鶏肉もその辺にいっぱいいるので、ローカルの人に頼めば5〜10ドルくらいで1羽手に入る(捌くのがめんどうであまり買わない)。
スーパーマーケットは車で70km行った先にあるけれど、交通の便が悪すぎるので誰かに連れて行ってもらわないといけない。
最近は首都になんだかんだで2.3週間に1回上がるので、その際に10kgくらいの肉、野菜などの食料品を持ってバスで帰る、というルーティンが定着してきている。
村での調理事情
任地はわりと電気があって停電も少ないのだけれど、冷蔵庫は冷えが甘いのであまり使っていない。冷凍庫はガンガンに凍ってくれるので、肉なども持ち帰れるのは嬉しい。
首都の方が電気はないという話もあって、首都隊員の方が料理はもしかしたら大変かもしれない。
コンロは電気が基本。停電したら、ガスコンロも1口あるのでそれをルームメイトとシェアして使っている。
ちなみに電気コンロは温まるのに5〜10分は時間がかかるし、一度温まったらなかなか冷えてくれないという特性があって、ちょっと慣れるのに時間がかかった覚えがある。
首都の買い物事情
首都にはまず、いつも泊まっているホテルの近くに品揃えが良いスーパーマーケットがある。
中華ショップも数件あるので、アジア食材も少しお高めだけれど案外手に入る。
ジンバブエは豚肉が高い!元々食べる文化があまりないらしい(基本は鶏か牛、たまにヤギ)。中華ショップでは新鮮な豚がまあまあ安く手に入るのでとても嬉しい。
インド系のショップ、アラブ系のショップも数は少ないが存在していて、スパイスやムスリムの食材も手に入る。
こういったところで少しずつ買い揃えて村に持ち帰り、家の調味料は割と充実してきている。
自炊メニューたち
ここからは、実際によく作るもの、おいしくできたものをピックアップして載せてみる。食くらいしか娯楽がない村での食事をご想像いただけると嬉しい!
■米
まずは基本のお米の炊き方から!
中華ショップで中華米と餅米を買って帰って、最近はミックスして鍋で炊いている。試行錯誤の結果、鶏ガラスープの素をちょびっと、パーム油もちょびっと入れると日本の米の味に近づいて食べやすくなる。
乾燥青豆(pee)をスーパーで見つけて、一緒に炊いたら豆ご飯になったのでこれもおすすめ。
■トマトパスタ
オリーブオイルが高い(瓶1本で18ドルくらい)けれど、それさえ買ってしまえばにんにく、トマト、玉ねぎは割とどこでも買えるので作りやすい。
ちなみにベーコンも停電があっても腐りづらいのでおすすめ。
パスタはよく作る!ときどきいろんな日本人の方から頂けるパスタソースを活用したり、適当に野菜を炒めてオイスターソースで焼きそば風にしたりするのもいい。そのときには少しよく茹でにするのがポイント。
日本のものと比べてパスタ自体の味はやっぱり劣ってはいて、特に最初は小麦の変な味がすると感じるかもしれない。だが慣れれば、めちゃくちゃ安いものを買わなければ案外大丈夫。ちなみにやっすいパスタはボソボソですぐちぎれる。
■中華風丼ぶり
肉と野菜を適当に炒めて、鶏スープの元や醤油、砂糖、オイスターソース、ナンプラーなどで好きに味をつけてご飯にのせるだけ。楽!
■豚角煮
首都の中華ショップで豚肉と小さい大根を買い込んで、角煮を煮た。生姜はその辺で小さいものが売っているのと、醤油、酒あたりは中華ショップで中国のものが手に入るので使っている。
なんせ、時間はあるので、煮込み系は非常に捗る。土曜の午前中、煮込みながら手洗いで洗濯をして、干し終わったくらいに食べ頃になった休日は非常によかった。
■ポトフ→カレー
コンソメもどきみたいなものを買ってあるので、これまた適当に首都で買ってきた野菜たちを切って放り込んで煮込むのも良い。スーパーで売っている乾燥の青豆やレンズ豆は保存が楽で、入れるとかさ増しになるし、またおいしい。
多めに作って、貰い物の貴重なカレールーを2かけらくらいずつ入れてカレーにすることもよくある。
写真を撮り忘れているけれど、インドカレーも割と楽に作れる。クミン、コリアンダー、ターメリック、チリペッパーだけ1ドル分ずつ揃えてあって、玉ねぎトマト肉を塩でよーーーく炒めたところにスパイスをちょっとずつ入れるだけ。まだ配分などは研究中で、好きな味になる割合を覚えたいなぁと思う。
■トマトと卵炒め「番茄炒蛋」
電気コンロだとちょっと火力が足りないのだけれど、これもアフリカ田舎の材料でも楽に作れる。わたしは大尊敬のリュウジ先生のレシピを参考にしている。
■さつまいもけんぴ風 シナモン×ハチミツ味
これも気に入ってよく作っている。さつまいもをスティック状に切って揚げて、ハチミツとシナモンをかける。
わたしがいる土地はどうやらさつまいもがよくとれるらしく、教員たちもみんなさつまいもを育てていて、ときどきもらえるのは大きい。
■パンケーキ×りんごの甘煮
パンケーキはケーキ用のちょっとベーキングパウダーが入ってそうな小麦粉がどのスーパーにも安く売っているので、あとは卵と砂糖、水か牛乳、ちょっとの油分を入れて焼けば作れる。これまたアフリカの基本、甘くないピーナッツバターを練り込んで焼いたら香ばしくて美味しかった。
りんごもどこでも手に入る。村でさえ、ちょっと高いけれどいつでもあるので、多めの砂糖で煮ておくと冷蔵庫なしでもよく保って素敵な朝ごはんになる。パンにつけてもよさそう。
■お汁粉、どらやき
中華ショップで小豆を見つけたので煮てみた。柔らかくなるのにかなり時間がかかるのと、2回くらい茹でこぼさないとアクが強い感じがするけれど、よく茹でればおいしいあんこが煮える。
餅米粉(白玉粉)を買えば、白玉はかなり楽!水を入れて練って丸めて茹でたらできあがり。10分もかからない。
またパンケーキの要領で、牛乳ではなくて水と酒をちょっと入れて焼くとこれまた簡単にどら焼きの皮は焼ける。あんこを煮詰めて固くして包めばどら焼きの出来上がり!
ルームメイトに食べさせたところ、豆が甘い…!と目を白黒させていた。ここでは豆はしょっぱいもの、らしい。
そうでなくても、ジンバブエ、調理法がかなり少なくて驚くことは多い。味付けは、基本的にパーム油と塩!である。楽っちゃ楽だが、バリエーションはかなり少ないように感じる。
■番外編「キムチ」@首都ハラレ
これは、水が出なくて首都退避になったタイミングで、あまりに暇で手を出したキムチである。
ジンバブエ、韓国料理が食べられない。レストランもなければ、韓国人がほとんどいないのだ。
キムチが好きだけれどあまりおいしいものが手に入らない。ならば作ってみたらいいじゃないか!とはずっと思っていて、白菜を見つけたタイミングで、実際に作ってみた。野菜を刻むのは大変だったけれど、調味料さえ揃えたら結構楽に作ることができた!置いておくだけ、混ぜるだけ。
詳しい作り方などはインスタに簡単にまとめてあるのでご参考までに。
おわりに
ジンバブエではやはり日本ほどの食材のバリエーションはないけれど、その中でも工夫したらこのくらいのことはできる、ということをまとめてみた。
もともと料理は好きである。そこにある環境でどうにかやる、という資質もある方だと思っている。
また、田舎だと食くらいしか本当に楽しみがない!次は何を食べようか、と常に考えている人間なので、料理はストレス解消にもなっているように感じる。そう、自分で自分の機嫌を取れるのは、協力隊生活において大きい。
今後、アフリカの地方隊員になる人は特に、料理の腕を磨いておくことをお勧めしておきたい。食が大事ではない、という人は大丈夫なのかもしれないけれど、ここでは自炊の腕が精神にダイレクトに関わってくるような気がする。