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新卒と中途のポートフォリオの違い【就活編】

0.はじめに

こんにちは、sue02です。

イラストレーターがゲーム会社に応募する時に必ず用意するもの、
ポートフォリオ!
今回は、新卒採用(未経験)と中途採用(経験者採用)で、
ポートフォリオを作るときのそれぞれのポイントをお話したいと思います。

具体的な作り方については、
多くの記事や本などで触れられていますのでそれらをご覧ください…!
この記事では、ポートフォリオの完成度にお悩みの方や、
どういった作品を入れるべきかお悩みの方の
背中を押せるような記事を目指しています!

就活や転職でお悩みの方はこちらのマガジンもどうぞ↓↓↓


1.新卒のポートフォリオのポイント5!

■ ポイント1:ポートフォリオとは何かを整理しよう!

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まずは、ポートフォリオとは何かを整理してみましょう!

『誰に向けて作るのか』

応募先の採用担当、イラストレーター、社長など、採用に関わる方達。

『何のために作るのか』
どういうイラストが描けてどういうスキルを持っているのかアピールするため。

わかりきっている!と思いましたか?
ポートフォリオを作り始めると、
『誰に向けて作るのか』『何のために作るのか』
この2点が非常に抜けてしまいがちです!
では、なぜその当たり前なことが抜けてしまうのか?

■ ポイント2:完璧な作品はこの世に存在しない!

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『なるべく完璧な作品を見せたい!』という気持ちが生まれ、
『こんなイラストじゃダメだ!』『入れる作品がない!』と悩み始めます。

その思考を開き直れずに、割り切れない気持ちのまま迷走した結果…

  • SNSで❤️が多かった二次創作ばかりになってしまったり…

  • 未完成のラフばかりになってしまったり…

  • 大量の設定文に数枚のイラストを入れた小説風になってしまったり…

  • ポートフォリオが完成せずに就職を諦めたり…

これはなにも珍しいことではなく、
私の体感という曖昧な基準で言うと志望者の9割はこの沼にハマります

このような思考回路になってしまった時は、
今一度『誰に向けて作るのか』『何のために作るのか』
この2点を念頭に置いて、ポートフォリオを見直してみましょう!
ポートフォリオは『自己表現の作品集』ではなく、
『自分を売り込むための資料』と考えると良いのかもしれません。

※補足
1.SNSで❤️が多かった作品ばかりはなぜNG?
バズ絵は、背景が無い顔アップや正面向きのキャラクターが多いです。
イラストの仕事は、キャラクターの全身を様々な角度で描くばかりでなく、
背景もアイテムもアイコンも…イラスト素材は全て作ります。
そのため、バズ絵では画力や発想力が判断できない場面が多いです。
ちなみに、フリーランスのイラストレーターに依頼する場合も、
SNS上では神であっても、同じ理由で依頼を出せないことが多いです。

2.二次創作・ラフ・作品の解説を入れること自体はNGではない!
例えば・・・
・版権作品や絵合わせ作品を作る会社
・指示書ラフを制作するアートディレクターの募集
・シナリオライターやディレクター不足の会社
このような会社への応募では、数点入れることでプラス評価に繋がります。

■ ポイント3:完成しているオリジナルイラストを複数入れよう!

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イラストの完成度に悩まれている方へ!

あまりうまく描けなかったと思っているイラストでも、
キャラクターデザイン、線の描き方、塗り方など、
作業単位で見ると応募先の許容範囲かもしれません。

未完成のイラストでは、そういった作業単位のスキルすら掴みにくいです。
そもそも入社してすぐに、新規絵を描くお仕事をいただけることは稀です。
ほとんどの会社では、簡単な調整から始まります。
『完成イラストを入れろ!』とアドバイスする方が多い理由は、
そこにあります。

実際に、一枚絵はいまいちだけど、
『線画はうまい』
『クリンナップはできそう』
『成長速度が早く、今後も伸びそう』
などの理由で、採用を出すことがありました。

イラストの完成度だけをみるのであれば、
わざわざリスクやコストの掛かる新卒採用をせず、
手っ取り早くフリーのベテランに依頼すれば済みます。
新卒採用で欲しい人材は、成長できそうな仲間です!

『上手く描けなかった…』『他の子よりも下手くそかも…』
そんな考えは、脳内の奥底に沈めて開き直ることが、
ポートフォリオを作る上で一番大事なことで難しいことかもしれません。

■ ポイント4:仕事につながるイラスト作りをしよう!

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就職するまでの期間は限られています。
オリジナリティを追求するよりも、
『仕事につながる作品作り』に重きを置きましょう!

新卒採用を目指す方のポートフォリオ作りを見ていると、
自分の絵柄を探求しなければいけない!
『自分の世界観を存分に表現しなければいけない!』

この気持ちが溢れています!熱意があって良いです!
が、しかし・・・
まず目指すべきは就職!
仕事を得ることだということを忘れないで下さい…!

今の新卒市場を簡単に整理すると、

  • ゲーム系の専門学校の数や入学生は年々増えている…

  • 海外からの志望者も昔に比べて増えている…

  • 中途経験者が溢れており、新卒採用を縮小する会社さんもちらほら…

つまり、かなり厳しい新卒市場になっている印象があります。

特に海外からの志望者はすごいです…!
彼らは海を渡って就活しにきている分、熱量が高いです。
日本の学生よりも積極的にインターンに参加しており、
ストレートに仕事を意識した作品作りをしてきます。
日本で人気のゲームをベンチマークに、
オリジナルキャラクターやアイコンなどを描かれる方もいました。

反対に、日本人の新卒のポートフォリオは、
オリジナルの一枚絵をたくさん入れる傾向があります。
もし、2つのポートフォリオが残った時、選ぶのは海外からの志望者です。
どういった仕事ができるか、想像させることができた方が勝ちです!

オリジナリティ=スキルに付随するおまけのようなものです。
ゲームによって絵柄を変えなければならないこの仕事です。
こだわりの描き方を変える必要も出てくるでしょう。
オリジナルイラストは入れた方が良いですが、
絵柄や世界観の追求に囚われすぎないようにご注意下さい…!

仕事を意識したイラスト作りを早いうちから出来た方が、
就職活動で手応えを感じやすいでしょう!

※補足
オリジナルの世界観で仕事を意識したイラスト作りをしたい場合は、
西洋ファンタジー、歴史系、現代系、童話など、
王道の世界観をテーマにすると良いかと思います。
ただし、同じキャラクターや同じ世界観だけしか描かないのは、
アイディアやデザインの幅が狭まってしまうため、
西洋と現代をテーマにした作品群を2つ入れるなどのバランスは必要です!

■ ポイント5:会社や仕事を知ろう!

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いざ就活を始める!という学生から増える相談は、主に2つです。

『ゲームの種類やゲーム会社がわからない。どこを受ければ良いですか?』
『職種がわからない。何の職種を受ければ良いですか?』

選ぶより片っ端から受けろ!を推奨しますが、
応募の優先順位を決めるには、ある程度情報を得る努力は必要です。
この悩みが深い方はこちらの記事もどうぞ!

ゲームをプレイすることが情報を得る近道かと思いますが、
就職準備期間はとにかく時間がないでしょう。
てっとり早く会社やゲームを知るには、2つの方法があります。

方法1.市場のゲームをざっくり調べよう!

プレイ動画、ファンサイト、ゲーム会社のまとめサイト、
ランキングサイト、ゲーム情報サイトなど、
『ゲーム』というワードで検索するだけでもたくさん出てきます。
そこをチラッと見るだけでも、
どういったゲームが人気なのかは大体わかると思います。

最近の10代はInstagramやYoutubeで検索するとお聞きしましたが、
ぜひこの瞬間だけはググってみてください…!

さらに、ゲームのクレジットやWikipediaなどに目を向けてみると、
どういう会社で、どういう職種の人が作っているのか、
なんとなくイメージができるようになるかと思います。

もし現段階でゲームの知識があまりない方でも、
ヲタ並みに深く知る必要はありません。
受験勉強やテストと同じです!
受ける会社の方向性や職種だけを、ある程度特定できれば問題ないです!

方法2.講師やプロや先輩に聞こう!
まずはご自身で調べてみることがオススメしますが、
その上で、疑問点などがある場合は、経験者に聞いてみると、
さらに詳細なヒントをもらえるかもしれません。

就職説明会や企業やクリエイターの講演会なども頻繁にあります。
積極的に参加し、情報を得ましょう!

あくまで他人の意見のため、決定事項ではないということはお忘れなく!
趣味や将来設計は人それぞれです!
人の意見に流されて将来を決めてしまうと、
問題があったときに後悔が大きくなりますのでご注意ください…!

2.中途がポートフォリオ作る時のポイント3つ!

転職活動のコツなどは、以前の記事をご参照ください…!
前編、中編、後編に分けて投稿しています↓↓↓


■ ポイント1:新卒時よりも簡易的でOK!実績が重要!

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新卒時はポートフォリオをこだわった印刷や装丁をしがちですが、
中途は基本的にPDF、提出が必要な場合はファイルでOKです!
レイアウトもこだわらなくて大丈夫です!

上の画像は私のポートフォリオの1ページですが、
白い背景に簡単な説明(タイトル、制作時間、ツール)のみです。
これにイラストのこだわりを一文で添えても良いと思います。

最初の数ページに主な実績やプロフィールを簡単につけていますが、
ほとんどこのテンションで30ページあります。
可能職種が多いので30ページにしていますが、
イラストのみ方はもっと少ない方が見やすいと思います。

※補足
◎ポートフォリオ>>>履歴書・職務経歴書!
履歴書や職務経歴書もポートフォリオに添えて送付するかと思いますが、
アピールしたい実績は、簡単にポートフォリオにも掲載しましょう!
情報が重複するのはちょっと気持ち悪いのですがw、
ポートフォリオしか見ない採用担当者が割といるので、
アピールになる大きい案件ほど念押しをオススメします!

■ ポイント2:仕事の成果物>オリジナルイラスト

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具体的な職歴やスキルがわかる仕事の成果物を掲載しましょう!
8:2くらいの割合で、仕事の成果物:オリジナルイラスト
を掲載する方が多い印象です。

新卒は職歴がないため、
オリジナルイラストでアピールする方法しかありません。
中途の場合は、既に職歴がありますので、
それらを重点的に掲載し、即戦力としてアピールしましょう!
オリジナルイラストよりも、商品として世に出ているものの方が、
具体的にお願いしたい仕事のイメージがしやすいです。

中途で転職を目指す方の中には、
『オリジナルイラストを数点用意してから転職する!』
とおっしゃる方も多いですが、それはかなり難しいです。
なにせ、ゲーム開発って忙しいんですよね…
所属年数が長くなればなるほど仕事や責任の範囲も増すため、
強固な意志がない限り創作時間は残業に消えます笑
さらに、1枚目から2枚目を作成する期間が長く空いてしまい、
その間に画風や考え方が変わったりして永遠完成しないという…∞
転職しようと思った時が好機です!
今すぐにポートフォリオを作りましょう!

私自身、転職にあたりオリジナルイラストを描き下ろす時間が無く、
仕事の成果物+学生時代の古い作品+職務経歴書を提出し、
あとは面接で補足説明を頑張る方法で乗り切ってきました。
なんとかなる!

会社の知名度やゲームの種類やクオリティに差はあっても、
同じ職業であれば仕事内容はだいたい同じです。
オリジナルイラストがなくても、
どういう事をしてきた』『どういう働きができるのか』
をアピール出来るのであれば問題ないです!

■ ポイント3:仕事の成果物は掲載許可が必要!

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ポートフォリオや職務経歴にタイトル名や作品を載せたい場合は、
必ず掲載許可を取りましょう!
ポートフォリオとはいえ、社外の方に見せることに変わり有りません。

特に、公開前案件、クローズ案件、大規模案件などは、
実績としての案件名の記載すらNGの場合があります。
私も合算すると1年分くらいはそういう案件があります…

ゲーム業界は狭いのでどこに知人がいるかわかりません。
できれば、掲載許可などは事前に取っておきましょう。
採用担当だけが見ると思っている方もいるかもしれませんが、
会社により社内イラストレーターで回覧する…というところもありますよ。

そうはいっても、掲載許可確認すら取れない案件もありますよね?
やってきたことは載せたいですよね!
…奥の手が3つあります!!

奥の手1.ファイルやデータを面接時に持参する
公開NGの成果物を入れたファイルやノートパソコンなどを、
面接時に持参し、その場でのみ見せる方法です。
同業者ですので、事情は理解されている方が多いですし、
実際にこういった方法を取る方もいます。
とてもグレーな方法ですが、
データで渡してしまうと管理状態がわからないため、
ポートフォリオへの掲載よりは…良いのかな…と思います。

奥の手2.スクリーンショットを載せる
すでに実装や公開がされている成果物の場合は、
ネットで検索して出てくる画像や、
ゲーム画面のスクリーンショットを載せる方法もあります。

ネットの画像=誰でも入手できる画像のスクリーンショットですので、
生の原画をそのまま載せてしまうよりは、問題にはならないと思います。

奥の手3.ゲームタイトルの具体名は伏せつつそれっぽく書く
エージェントを利用したことがある方はイメージがつくかと思います。
例えば、
『長期運営の〇〇系モンスターバトルゲーム』や
『人気シリーズの〇〇対戦シミュレーションゲーム』など、
なんかあのゲームっぽいな…と想像はつきますが、
タイトル名は書いていないので、今のところ大丈夫だと思われます。

実績公開をしても良いかどうか、全ての案件で聞けるのがベストですが、
なかなかそうも行かないのがこの業界…
うまいことやりくりしつつ、自分の利益にしていきましょう!

3.まとめ

新卒のポートフォリオは、仕事をイメージした作品作りが重要です!
中途のポートフォリオは、できる仕事を具体的に見せることが重要です!

それぞれポイントは異なりますが、どちらも共通して言えることは、
即戦力になり得るスキルをアピールすることです。

今年もコロナの影響がどのくらい出るのかわからないですが…、
新卒採用が早い会社はすでに就活が始まっているかと思います。
有意義な就職活動や転職活動が出来るよう応援しています!

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