山小屋の本音
華やかなカップ&ソーサ―で華やかなティーパーティーがしたい。
彩に華やかなカップケーキを添えて。
美しいものを集めた場所には良い気が流れる、
僕の中の不浄を洗い流してくれるような。
今年は庭にブルーベリーを植えたが、それが思いの外実を付けた。
多少冷凍し保存しておいたが、その使い道を丁度今見出した。
町の家具屋から届いた一枚の葉書。
優雅なアフタヌーンティーのテーブル。
しかし、僕の家に高貴な皿など無い。
せいぜいウッディな愛らしい雰囲気のもので、質素な山小屋に相応しい。
さて、
年末の近づくにつれ少しずつ浮かれ調子になる、
町も僕自身も。
ハロウィンやクリスマスは人々にとって一大イベントである。
小説『クリスマスキャロル』でもそうだが、
どんな堅物の人間であっても、
その日だけは万民へ心を開く。
大きなひと塊となった集団は、お祭り騒ぎで町を盛り上げる。
幸せの光景だ。
以前、町に一つあるデパートの一階で、蚤の市が開催されていた。
僕はフラワーアーティストの友人と共に訪れたのだが、
その中でフレンチカントリーの可愛らしいティーカップに目が留まった。
形が独特で、脚付き、持ち手無しの黄色い花柄ティーカップ。
真夏の暑い時期に涼し気な印象を与えてくれる。
友人を呼んでティーパーティーなどすると
テーブルに映えそうな見た目をしていて、
僕は思わず手に取った。
友人は「貴方には可愛すぎる」と笑ったが、
僕は強情に諦められなかった。
「もう帰るわよ。」
数十分悩み抜いた挙句、
彼女のその言葉でとうとうカップを元の場所へ置いた。
矢張り使いこなせる自信が無い。
何物にも適材適所と言うものがある。
けれど、その固定概念を取り去ってくれるのが年末と言う時期。
しがない山小屋が年に一度華やかになる時期。
ティーカップは買っておくべきだったと、
今更ながら後悔が滲む。
寒い冬にも温かみのある黄色。
黄色!
僕は明るい黄色が好きだ。
夏はひまわり冬は暖炉の火。
心を明るく照らしてくれるもの。
人に何と言われようと自分の好きを貫き通す事の大切さ。
それは期間限定である必要性が無い。
何時でも好きな時に好きと言えば良い。
「よし、明日また探しに行こうか。」
僕は勇気を振り絞った、
自らの憧憬の為に。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?