#恋ボク 執筆裏話 11話 〜編集会議②:何で「恋愛」が入っちゃた?〜
相田みつをさんや水野敬也さんをパクる僕の「手抜き戦略」は見事に頓挫した。吉本興業さんの「原作発掘プロジェクト」に則り、ちゃんと「原作」を作らなければならなかった。
まずは2017年にバズった「YahooBBのハナシ」と2018年に大賞をとった「惣菜屋のハナシ」をくっつけてリライトした。それだけでとっとと納品してしまえばいいやと思っていた。
Yahooで13,000字、惣菜屋で20,000字ぐらいの分量だった。加筆して47,000字ぐらいにして納品したのがキックオフMTGから10日後の2018年5月29日だった。
これを踏まえて翌月6月1日に恵比寿のサッカーシューズが多く飾られている某社会議室にて第2回の編集会議が行われた。
storys清瀬さん、吉本興業T山さんに加え、編集のプロとして某出版社のHさんと僕の元部下ホリウチ氏がアサインされ、「編集パーティ」は5名になった。
「はじめまして。ホリウチと申します」
お互いのご挨拶からスタートして、あっという間に2時間が経過した。
編集会議は発散し、ホリウチ氏たちとの雑談に終始した。
98%雑談だったが、2%ほど価値ある解が生み出された。
・須田さんはもっと小説を読んだほうがいい
・「恋愛」を入れるしかない
僕は人生で圧倒的に読書量が足りなかった。中学の読書感想文は市の図書館で誰かが書いたやつをパクったし、高校の読書感想文は「麻雀放浪記」を書いて怒られた。まずは「これを読んで」と吉本興業T山さんから芥川賞受賞作の又吉直樹さんの「火花」を献本してもらった。
テキトーに仕上げたつもりが、本として完成させるには課題が山積だった。兎にも角にも、47,000字では本にするボリュームとしては物量が足りない。雑談の結論としては「書き足せ」ということだった。
前回の会議でとても気になる質問を受けたのを思い出した。
「須田さんはなんでこんなに辛い状況でも頑張ったんですか?」
何で?
何でだったんだ?
嫌だったら逃げればいい。もともと性格的にもあまり嫌いなことを我慢してやるタイプではない。
オレ、何でやってたんだっけ??
20年ほど振り返ると一つの明確な答えが降りてきた。
「あ、そういえば、失恋したからだわ」
「失恋して、やることなくなったので、社畜してたんだっけ」
仕事のネタはYahooBB、総菜屋とウケるネタは出し切ったので、あとは書き足すとしたら恋愛ぐらいしかなかった。
「よし!残りの文字数はうまく恋愛ネタで誤魔化そう!」
僕は何とか文字数を埋めることしか考えてなかった。60点ぐらいの完成度でとっとと終わらせる安易な仕事思考が身についてしまっていた。(そして、そんな仕事術の本も後ほど出ることになるのだが。 #捨て抜く )
なお、雑談をメインとした打ち合わせ状況の詳細については、こちらのvoicyで全収録してある。(全70分)
<つづく>
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