アラフォー上海留学日記【139日目】
7/14 日
10:30起床、疲れが取れてない感じがする。コロンス島に行くのは無理だ。中国大陸身分証保持者用のフェリー乗り場はわりと近いのだけど、外国人用のフェリー乗り場(鼓浪屿码头)が思ったより遠いこと、事前に時間指定のチケットを買い、出発時間50分前に着く必要があること、島が混雑していること、暑いことなどをかんがみて、行かない決断をした。
中国に来てから、もったいない、せっかく来たんだから、という貧乏根性より体調を優先できるようになった。また来ればいい、縁があるならまた来る機会があるはず。そう思えるようになった。
今日は書店を二軒くらい回れればいいほうかな。小红书でチェックしていた書店のなかから、ホテルからわりと近い不在书店と麦浪书店をチョイス。
が、出かける準備をしているうちに、どんどん体調が悪くなってきた。熱が出そうな、体の芯が重だるい症状。ここ数日、ずっと鼻水が出るわ喉に違和感があるわと風邪のひき始めの症状が出ていたから、心当たりがありすぎる。
さらに生理二日目。これは出かけるのしんどいかも。フロントに行ってチェックアウト時間を延ばせないか相談し、1時までなら大丈夫との言質を取った。持ってきていた風邪薬を飲むために、近くの店でちまきを買う。ちまきができるのを待つ時間がつらい。こりゃタクシーで駅に行って駅でひたすら休むしかないかな…下手すりゃ延泊の可能性も出てきたぞ。
ちまきが喉を通らない。ピーナッツだれっぽい味を楽しむ余裕もなく、食道に押し込み、薬を飲んでとりあえず横になる。なぜ旅行最終日はいつもこんな感じになってしまうのだ。
なんとか体調に快方の兆しが出てきたので、約束通り1時にチェックアウトし、まっすぐ地下鉄駅へ。不在书店はホテルから徒歩5分くらいなので、ちょっと覗いてみるかと本屋のほうに歩きだしては戻り、また歩き出しては戻り。後ろ髪をひかれる思いだが、灼熱の太陽が体調にどんな影響を及ぼすかを考えると、思い切りが必要だ。
さらば厦门、まだまだ街中を散歩したかったのに。やり残したことがある=また来てねという厦门からのメッセージなんだと思おう。
気を紛らわすために真空ジェシカのラジオ父ちゃんを聞きながら地下鉄に揺られること1時間ほどで厦门北站着。地下鉄の行き先表示がかわいいなと撮影するくらいには元気になった。音楽祭も気になる。
駅の外に出て一服したい。昨日はたどり着けなかったバス乗り場があったが、ここでは吸えそうもない。しかたがないので出口から外へ。途中で、なぜか卵が落ちていた。
おお、駅はこんな顔をしていたのか。厦门建築の特徴である屋根の形を模している。エスカレーターわきで休憩している夫妻がいた。暑いもんね。
出発時間まで2時間ほどある。涼しいってすばらしいなぁ。土産物屋を覗いてみると、ちょっとそそられるパッケージのお菓子があった。あと、犬の糞という名前の飴とか。軽食を買い求め、お茶を入れて休憩。充電できるエリアは人でいっぱいであった。
車内で食べる弁当を予約しようとしたが、サイトにアクセスしてみても注文画面が出てこない。铁路12306というアプリで席まで運んでもらえる外卖みたいなものが買えるようなので、そちらを登録して注文。福州站で届くよう手配してみた。はたして、ちゃんと届くだろうか。
帰りの便は窓側の席が取れた。しばらく海沿いを走る。この海を東に行けばすぐ台湾だ。やはり島国の人間だからだろうか、内陸にいるとなにか圧迫感のようなものを感じることがある。逃げ場がない、どこまで逃げても大陸という壮大さに絶望するというか。海は嫌いだが、海を見ると見慣れた光景にほっとする自分もいる。内陸の人たちは、ふと現実逃避がしたくなったときにどこを目指すんだろう。私たちが、とりあえず海に向かって車を走らせたりするような、そんな衝動はどこに向かうのだろうか。
福建省の莆田を通り過ぎ、ここが噂のお年玉の額がすごい地域か!と注目してみたが、わりと普通の街であった。福建といえば多くの華僑の故郷。一旗揚げた華僑が故郷に建てまくったという福建御殿をいつかは見てみたいものだ。
山肌に墓を発見。街中では一切墓を見る機会がないので興奮した。沖縄の墓に似ている。福建の建物も少し沖縄の建物に似ている。というか、沖縄の建物が福建文化の影響を受けているというほうが正しいのだが。
赤い屋根、意匠を凝らした壁、南国色で彩られた柱。建築のすべてが上海やその他私が見たことのある中国の建築とは異なり、心が躍る。やはり、福建以南は再訪しなくてはならない。もちろん冬に。
うとうとしていたら、パーサーさんに声をかけられた。何かと思えば、注文した外卖が届いたのであった。すごい、ちゃんと届いた! 電話番号の下4桁を伝え、無事受け取り完了。
ごはんを食べているあいだに、隣のおじさんに肘掛け以上の範囲の陣地を取られてくやしい。ひまわりの種をポリポリ食べ続けていたこのおじさんは、金华あたりで降りていった。その後、隣の席はもう一度別のおじさんを経ておばさんに変わった。
おばさん、微博のトランプ銃撃の報でスワイプする手を止め、何回もトランプの画像を拡大して確認しており、たいへん興味を持っていると見受けられた。
このおばさんは、私が杭州东站でタバコを吸いにホームに出ようとしたとき、わざわざ、水筒忘れてるよと持ってきてくれた親切な人。すぐ戻るんだけどなと思いつつ、とりあえずいったん受け取って一服したあと回来了~と席に戻ると、驚いた顔でどうしたの?と聞かれたので、実はタバコ吸いに行ってただけなんです、あなたの親切に感謝しますと伝えた。
22:45、上海着。乗車時間は6時間ほど、日本でいうと東京から博多くらいの距離感だ。東京博多間の新幹線も乗ったことはあるが、今日はそのときより疲れていない気がする。そりゃ、30時間電車の旅とかしていたらそうなるわな。
なにはともあれ、ただいま、上海。混雑したホームからエスカレーターに乗る際、スムーズに列に入れてくれたりするところに都会を感じるよ。
じっとりとした小雨模様で厦門より気温は低いが、湿気がひどく、このべたべたした感じが上海だなあとしみじみする。
320系統のバスに駆け込み、学校から1キロくらいの停留所で降りて、強くなり始めた雨のなか、自転車で帰舎。もう一度言おう、ただいま、上海。