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Twitterにてのコメントありがとうございます。コメントを下さったあなたへの記事です。

宇宙一外食産業が好きな須田です。


本来、先日お会いした横川裕之先生との件を記事にしたいところですが、今回はTwitterでフォローとコメントをお寄せいただいた方のための記事を、アップさせていただきます。


さて、この方は和歌山県で海苔の卸と小売りをなさっている方で、リアル店舗とネットでの販売を行っておられます。
先代の社長であられる、お父様から会社を引き継いだとのことです。


この度新規事業として、焼き立て海苔のおにぎりと海苔の小売店を開業するということです。
集客商品はおにぎりで、利益獲得商品が海苔の小売りとお考えのようです。

概略はこの様な感じです。


【思考は文字化すると現実化する】

集客商品と利益獲得商品を設定している点は、私の著書を参考にしていただいているようで、嬉しい限りです

この方にコメントへのお礼をお伝えし、併せてご質問をさせて頂きました。


質問の内容は業態に関することでしたが、実はここにはある仕掛けがありました。

私が質問を投げかけて回答をお願いすることで、業態に対して向き合うことになります。
あくまでも現段階ではありますが、文字に興す必要が発生しました。

このことが、横川裕之先生の著書、「思考は文字化すると現実化する」に書かれている通り、現実化のための作業を自然と行っていただくこととなりました。

文字化しようとすると当然、業態に向き合う必要が出てきます。

そのための時間を確保し、検討して書き込むスペースも確保し、ある程度細部まで想定することとなります、イメージを固める必要があります。

要するに、思考を現実化するための詳細なイメージが、頭の中で展開していったわけです。

ビジネスを成功に導く第一歩を、自然と歩み出していただいたわけです。


そんな仕掛けが、この質問にはありました。


【おにぎり業態に関しての考察】

さて、ここからは私のアドバイスです。


まず、おにぎり業態の件ですが、おにぎりは日本独自の食文化の象徴的な商品です。

コンビニでも圧倒的な人気を誇る、誰もが消費する商品なので、まぁ嫌いな方はほぼいない人気商品です。

それだけに、ある意味差別化も難しい商品でもあります。

どうしてもコンビニのおにぎりと比較してしまいがちですが、ここに差別化ポイントが隠されています。

コンビニのおにぎりを思い出していただきたいのですが、包装は海苔とご飯をそれぞれ別のシートに挟んでおります。

それだけ、海苔のパリッと感を強調したいということです。

コンビニが膨大なデータから導き出した結果として、海苔のパリッと感は消費者へのアピールポイントであると、答えを提示してくれています。


ここから見える差別化ポイントは、海苔がおいしいお握り屋さんというキーワードです。

“おにぎりや”ではなく、「お握り屋さん」というぐらい、表現を漢字表記にしたいぐらいの差別化が、海苔に拘ることによって感じられてきます。

しかも、焼き立ての香りたつパリパリの海苔を、自分で巻いて食べるお握りにすると、お客様のアクションも加わり、更に海苔の香りと温度とパリッと感を楽しめます。


例えば、「海苔は焼きたてが一番」とでも謳い、香りとパリッと感を堪能して頂けるようにします。
「本日使用している海苔は有明産です」などと、告知することも面白いと思います。

海苔の産地による違いを感じて頂けるのも、専門店だからこそと言えます。


東京の大塚にぼんごというおにぎり専門店がありますが、大人気店で食べログで3.77という高得点がついていますが、このお店も海苔を最後にくるっと巻くだけで、しっかりと握ることはしていません。

それだけ、海苔の食感を大事にしていると言うことです。

お握りですが、ご飯は定量を守れて保形成を保てるように、型を使うことが鉄則です。
型にご飯を詰めて具材を仕込み、その上からまたご飯を乗せて、型から出して2回から3回握って、形を整えるだけで提供するようにします。

すると、お握りとして口に入れたときに、お米がほろっと崩れるようになり、軽い食感のお握りとなります。

当然、お握りの “頭” には具材をトッピングして、何のお握りかわかるようにもします。
鮭のお握りには、トッピングで焼鮭を乗せます。


【お握りの海苔の扱い方と米についての考察】

焼き立て海苔は、加工炭の炭火でも電熱調理機でも、一定の火加減と熱量で海苔を炙れるもので裏面をサッと炙り、香りとパリッと感を出すようにします。

オーダーごとに炙っていると提供に時間がかかるので、検証は必要ですが炙り専門のスタッフを専任し、オーダーに関係なく炙っていても良いかもしれません。

“海苔を焼いて30年”と感じられるような、ベテランの海苔焼き職人さんが皺の刻まれた手で海苔を炙っている姿を見ると、それだけで商品への信頼感が増し、お店のこだわりが伝わります。
ご年配の職人さんが、いらっしゃると嬉しいのですが。


お客様は入店した途端に、炙った海苔の香りが店内に充満していることにも気づきます。
それだけでもう、お客様はやられてしまうこととなります。

お握りの海苔は、焼き立ての海苔をくるっと巻いて提供しても、別添えでお客様に巻いて頂いても良いでしょう。

私なら、別添えで提供して海苔のパリッとした感触も、炙られたあたたかな温度も、香りも感じて頂き、先ずは海苔だけを先に食べて頂くようにします。
まずは海苔だけで楽しんでくださいと、セールストークと併せて提供します。


その後でお握りに巻いて頂き堪能してもらうように、二段階で海苔を楽しんで頂けるようにします。


このような芸当が出来るのは、海苔専門問屋直営店だからです。

海苔を楽しんでもらいたくて、焼き立ての海苔を、一番美味しく食べられる商品は何かということを考えると、必然的にお握りにたどり着いたというコンセプトが成立します。

炊き立て、焼き立て、握りたての、三立てのお握り業態ですが、おそらく日本初でしょう。

出来ればご飯にも拘り、羽釜か土鍋で炊きたいくらいです。
塩にも拘って、美味しい塩をお店で仕込みたいです。

お握りは構成要素が、ご飯と海苔と具材だけですから、拘る要素が少ないので、逆に細部に拘ることで差別化が容易になります。


【名は体を表す 繁盛店になる店名は】

ですから屋号も、海苔専門問屋直営店 お握り田中家というような店名がいいでしょう。

店名を見ると業態のバックボーンが理解できて、商品がお握だと理解でき、海苔専門問屋直営店なので、当然そこには海苔を販売していることも、容易に理解出来ます。

お握り田中家は、姓名判断上画数も38画と、飲食業に適した非常に運勢の良い店名です、おすすめです。


【売価設定と販売戦略】

売価は、200円、250円、350円を検討中とのことですが、売価には明確な実証済みの理論があります。

私なら、240円、320円、480円に設定します。
先だって、長野市のChef Ropiaさんのリストランテ フローリアさんでも導入した仕掛けですが、フローリアさんはこの価格設定を導入後、たった2日で客単価が500円上がりました。
しかもストレスなく、恐怖心を抱くことなく客単価を上げることができました。

ですから、この240円、320円、480円をおすすめします。

現在設定している200円では、美味しい海苔を使うことができなく、海苔専門問屋直営店としての価値を提供できなくて、お客様の期待を裏切ることになりかねません。

お客様は決して安いおにぎりを食べたい訳ではく、海苔専門問屋直営店としての価値を堪能しに来店なさいます。

安いおにぎりはコンビニに任せて、ここは海苔専門問屋直営店としての高い価値を提供しましょう。

工場で1日に何千万個も作っているコンビニのおにぎりと、そもそも、戦う必要は全くありません。

目の前で、お客様お一人お一人のために、海苔を炙って握ってくれているお握りと、コンビニのおにぎりを同じ土俵で比較することに、何の意味があるのかを考えてください。

お客様は、わざわざ海苔専門問屋直営店にやって来たのに、低価格の商品にしてしまうと、「こんなんだったらコンビニでも食べられるわ!」と、思われる商品しか提供できません。

コンビニでは到底提供することが出来ない商品と素晴らしい体験を提供するからこそ、海苔専門問屋直営店としての価値があります。

この海苔専門問屋直営店としての価値を提供できなければ、物販にも悪影響が出かねません。

手軽に食べられるお握りの海苔が大したことが無ければ、物販への期待値も下がってしまいます。


ですから原価を考えると、240円、320円、480円、この値付けは必須です。


レジ効率を上げたいためにキリの良い200円、250円350円の価格設定にしたとのことでしたが、大切なのはレジ効率よりもお客様に提供する価値の高さです。

50円刻みは確かに効率が良いように感じますが、それはあくまでもお店にとっての効率であり、お客様が本質的に求めている価値ではありません。

プロダクトアウトの発想ですが、これは失敗を引き寄せる危険な質の考え方です。

商売で必要なのは、マーケットインの発想であり、顧客第一主義です。

一番売れるのは、おそらく320円の商品です。

価格訴求のお客様は240円の商品に流れて、価値を提供できるのは320円の商品となります。
基準はこの320円の商品群がベースとなります。

どの価格のメニュー数を最も多くするかで、最も出る商品を意図的にコントロールできます。

仮に、240円の商品を旨味塩握り・胡麻塩・梅・おかか・海苔の佃煮・青しそ・芝漬け・塩昆布・鮭ほぐし・たらこ等原価の低いもので10アイテム程度固めて、320円の商品を焼き鮭・明太子・たらこ等定番の人気商品で15~20アイテム程度にして、イクラ・筋子などの高額商品を480円にするなど、とにかく人気商品を320円の価格帯に集中させると、取得率は上がりコントロールできます。

たった320円で、頭に焼き鮭の切り身がドンと乗っているような、そんなお握りにします。

価格が持っている説得力があります。
320円という価格は一見すると高く感じられますが、入店した時点で感じられる香りと、1枚1枚丁寧に海苔を炙っている姿と、オーダーごとに1つ1つ手で握っている、おかずになるような大きな具材が頭に乗っていることが、320円以上の価値を提供してくれることとなります。

320円以上の価値を提供することで、大きな説得力が生まれてきます。
価格と価値を比較して、結果的にコストパフォーマンスが高いという評価になります。


メニューには、お得なセット商品を導入すると良いでしょう。

例えばセット内容は、240円のお握り2個と味噌汁・香の物です。

お握り240円×2個、香の物50円、味噌汁160円の組み合わせが、お得なセット商品なら690円のところが、40円もお得な650円にします。
3個セットは、930円のところを900円にします。

因みに、“香の物の盛合せ”単品は150円で販売しますが、付け合わせの香の物はポーションが少ないので、想定売価として50円としました。

味噌汁単品は160円にします。
味噌汁を置くことで、出汁の香りも漂うことになります。
日本人の2大好きな香りがそろいますので、DNAベースでやられちゃいます。

お握り240円と味噌汁160円で、400円ちょうどになるように価格を設定します。

お握り1つで十分なご高齢のお客様が、400円で大きな満足を得られる様に価格設定をします。

320円2個と味噌汁160円では、800円となります。

320円から選べるのお得なお握り2個のセット商品にするなら、これに50円の香の物がついて、やはり800円となります。
320円3個のセット商品なら、1170円のところを1100円にするか、思い切って1000円ポッキリにします。

兎に角、使い勝手の良さをアピールするようにします。


この価格設定ですと、先ほどお伝えしたレジ効率も良くなります。

東京大塚のぼんごさんもそうですが、ランチ帯にはこのランチセットが最も多くオーダーされます。

ですから、650円900円のお得なセットは、ランチ帯の人気商品となり、集客商品となります。
同時に、大きな利益も確保出来る商品となります。


次に、お握りのお持ち帰りも、事前予約限定で受注することもできます。

ランチタイムのピーク時に、お持ち帰りが大量に発生すると、とても対応ができないので事前予約限定か、もしくは作り置きも用意しておくことも検討しても良いと思います。

作り置きは焼き立て海苔ではないので、価格を20円下げて220円、300円、440円にして販売するのが良いでしょう。

包材代は別途頂くようにします。
当然、何かの行事の際には大量注文が入ることは容易に想像できるので、作り置きも検討する必要があります。

作り置きの場合は、海苔の種類を変えることも、必要かもしれません。

焼き立てで美味しい海苔と、しっとりしてからの方がおいしい海苔には違いがあると思いますので、検討は必須と思います。

価値を提供してそれに見合った価格を設定する、価値を提供するためには適正価格を設定することは、これからの外食産業にとって、当然必要な概念です。

また、お握りのサイズは普通と大盛りの2種類にします。
型を2種類用意して、使い分けるとオペレーションは難しくなく可能になります。

具材も倍盛りがあっても、良いと思います。
ご飯大盛りはプラス50円、具材はプラス50円などにして、アップセールスを仕掛けます。

ランチセットは、大盛りになった金額をそのまま上乗せすればいいでしょう。

2個セット650円を大盛りにすると50円アップが2個で750円、具材も大盛りなら更に100円アップで850円といった具合です。

因みに大盛りになっても、海苔のサイズは変更しません。

そもそもの板海苔のサイズが決まっているので、対応はできません。

本当は、大盛りよりももう1個追加オーダーの方が違った味も楽しめて良いと思いますが、男性客には大きなお握りを食べたい方もいらっしゃるので、大盛も用意して起きましょう。
沢山食べる方は、放っておいても何個も召し上がりますから。


【原価コントロールとアップセールスに関して】


この業態は、全て税込価格となるため、実際は税別売価に対しての原価設定です。
お得なセット商品の税別売価は、590円です。
この売価の仮に40%程度が原価と考えると230円以下に抑える必要があるので、これでも価値提供はぎりぎりの状態です。


お握り2個と味噌汁と香の物で230円は、結構しびれる原価です。
本来は30%の180円以下見収めたいところですが、そうなると単品の価値提供が厳しくなるので、このセットにし場合の40%の原価設定は、集客商品として適正原価と言えます。

ですからアップセールスを仕掛けるように、「ご飯の量は大盛りにしますか?」「具材は大盛りにしますか?」という、セールストークは必要になります。


この海苔専門問屋直営店業態は、当然、限りなく食品販売業に近い飲食業態です。

最も効果的で高効率であり、爆発的な売上を獲れる可能性がある業態です。

ここまでが、私からのご提案です。
新業態開発のヒントになりますと、幸いです。

個人的にも、この業態の開発をしたくなる、非常に優れた業態です。

以上が、私の著書を買って下さり、Twitterでコメントのご連絡をいただいた方へ向けた感謝の記事です。


新規事業としての検証なさっている方への感謝として、他の多くの方にもヒントとなる内容の記事でした。


【最後に読者のあなたへのご提案】


この記事を読まれて、同様に現在検討中の業態がある方がいらっしゃるようでしたら、noteでも、InstagramでもTwitterでも構いません。
私の本を読んでくださった感想と共に、ご連絡をいただけると、今回の記事のように業態のヒントをご提供させて頂きます。


私は新規開業成される方のお役に立てることを願っております。
何よりも飲食業界の発展に寄与することが、私のミッションです。


そのミッションの実現のために、微力ながらお役に立てるなら、どんどんこのnote上でご提案の記事をアップしていきます。

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