神は人也
寺社廻りが夫婦の趣味であるが
興味の持ちようがまるで違う。
奥様は、そこの神様に挨拶し、御利益をもらう。
だから、真っ先に拝殿や本堂に向かう。
きちんとする事の好きな人だから、鳥居や山門のくぐり方から始まって、手水、賽銭、鈴、自己紹介、願い、順番が決まっている。
特に竜神が好きで、水の神様や弁財天が好き。辰年生まれで、名字から名前まで水関係の漢字ばかり並ぶ拙と結婚したのも、それかとも思う。
拙の興味は、何故そこに在るか。
周囲の地形、城などの構築物、川や橋の位置。寺社は出城でもあり、交通の要所でもあり、村の年貢の集積場でもあり、祀られた一族の移住記録でもあり、鉱山跡を示し、野姦の場でもある。場に意味がある。
次いで、寺社由来書。入り口に看板が掲げられている。美しくない事は書かないと思いきや、意外と正直に寺社の歴史を書いている。後世、法的理由や土地の利用などで地域の神様を1カ所に集めた。時代の流行に沿って、古い神様を捨てて新しい神様を勧請したが、祟りがあったので、脇に復活させて鎮めた。無住となったので別の宗派に乗り換えてでも住職を呼んだ。城を建て替えるついでに出城に良い位置に寺を集めた。かっては寺で、その後城になり、神社になった。時代と共に住民が変わり、神様が増えていった。客を呼びたいので、全国の有名な神社を勧請して並べた。人というもののサガに笑っていると、立ち止まらずに早くついてこい!と奥さんに怒られる。
寺社の地形、建物の位置構造。城として使うように山の地形を変えて、建物を複数良い位置に配置。そこからは何が見えて、何が見えないか。海岸から見える独立した山は、山奥であろうと漁民の信仰を集める。潮で流されても、山の形を覚えておけば帰宅出来る、寺社から海をみるとそういう意味が理解できる。うろうろと敷地内を廻るので、ちょろちょろとあちこち覗き込まない!と奥さんに叱られる。
拝殿にお参り。あ、神宮大麻がある、そっち系か、なんてね。田舎だと何でもありの村の鎮守、祀ってる神様に関係なくても、毎年住民が買うように伊勢などから一定数仕入れる。
出雲系の神社をつなぐと、住民の移住の記録になる。白山信仰は北陸から三河あたりまでの陸上交易ルート上にある。春日大社や八幡宮は藤原氏の荘園にあるので、荘園をつなぐ年貢の運搬がみえる。真言宗と丹生神社は鉱山にある。特に金鉱脈は中央構造線上に多く、それらも多い。空海が金採掘で渡航した記録と合致する。空海の従者たちは丹生一族、鉱山師たちだったから、帰国後に新しい鉱業技術で鉱山開発やため池作りをしたと推理できる。高野山の麓に丹生神社がある。
神は人也。御利益ばかり書き連ねるより、ずっと歴史の勉強になる。
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