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考えるという作業の為の推薦図書2

平和を知るには、そうじゃないものを知る事で、平和の輪郭を知る事が出来る

いわれてみれば考えて理解できるんでしょうが、よくいわれる戦争体験なんかだけでは、輪郭の全てを知る事は出来ません。戦争を俯瞰的にみたり、如何に戦ったかを知る事も輪郭を知る為には必要です。右翼だとか戦争賛歌だとか云う方が阿呆です。

戦争体験については他者にお任せします。拙の知る戦争も、戦争未亡人や戦時中の子供、戦争で結婚できなかった女性からの体験談なので、輪郭のごく一部だと思っていますから、そのうち書くでしょうが、別の機会にします。

では戦争について書かれた本として

「空気」の研究

天下の名著、R12若しくはR15でしょうが、学生さんなら読まないと。「日本人とユダヤ人」と共に市井の思想家ならではの視点で語られます。一行一行自分なりに考えながら読まないとついていけない本です。

軍事専門外の方が外から見た戦争論です。軍部が戦争に突き進んだ。そんな神話を崩します。戦争に進む契機は文官が作っている、など教科書とは全く違う解釈を読む事は、戦争とは何かを単純化しないで理解する良い著作です。

戦前から太平洋戦争の海軍を知る新聞記者による戦争論です。太平洋戦争の海軍の身近に居すぎて、視点が現代人とは違っています。過去の書物を読むということは、過去の人の考え方や常識などに触れる事です。現代の視点からの批評も一つの施策ですが、過去を知るには過去の視点に立って見る事も大切です。更に加えると、子供だった為に戦前を知らない、戦地に行ってない人を、昭和には戦争を知らない若者と呼びました。彼らが平成や令和には堂々と戦争体験者と名乗る事に、翁は違和感を憶えます。

日本から外に出ると、戦争の輪郭が更に理解しやすいです。ついでに某有名新聞の人海戦術による取材風景も描かれていて、新聞記事やルポを斜に構えて見る習慣も身につきます。

近藤紘一氏は、必要以上の事を書かない。だから同じ時間を書いた幾つかの著作が全く違う世界をみせる。戦争と云うことで最も有名な本を上にリンクしたが、魅入られた人が下の本まで進んでもらえるとうれしい。戦争が日常となった風景。でも中に居る人は戦争終結を願っているし、平和への希求を持ちながら戦争を生きる。有名なルポや平和記念館にはない生の戦争が描かれる。近藤氏の普通で無い思考も自分にこびりついた常識を剥がす良きナイフ。

戦争と平和に関する、最も良い良書。世界の常識を知る事で、井の中の蛙から脱し、教師や周りの大人からの変な平和論を捨てられる。ただし、長いので、本を読む習慣がついた人でないと難しいと思う。わかりやすく訳されてなお、日本人とは違う思考に触れる難しさを味わう。思考とは、その難しさの中から生まれる。

故にこれをもってこの第2章を閉める


#読書の秋2021

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