髪って大事よねって話
正直、髪で印象が変わるなんて……
小さい時から、オシャレには無頓着だった。
何故かって、自分の中で「どうせオシャレをしたって……」っていう卑下だったり諦めだったり、そういう感情があったから。
それは髪についても同じだった。
家族や友人から「1回ちゃんとしたところで切ってもらいなよ!印象変わるよ!」なんて言われる度、「いやいや、髪で印象が変わるほど安いコンプレックス抱えてないわっ」くらいには思っていた。
劇的な変化じゃないけど……
そんな自分の考えが変わったのは、家族から勧められて渋々ちょっぴり良い感じの美容室に行ってからだ。
借りてきた猫みたいにオドオドとしていた。何だか、こんな所に自分がいて良いのか、場違いじゃないかという不安が頭の中をぐるぐると駆け回っていた。
どんな髪型が良いかも分からないから、美容室のお兄さんに全てを委ねて時間が経過するのを待った。
「こんな感じでどうですか〜?」
と、お兄さんに言われて目を開けた。
鏡の中には、いつもの自分と違う姿があった。
それは「別人かと思った〜」っていうような劇的な変化じゃなかった。
「クラスに数人はこういうモサモサした感じの子いるよね〜」っていうレベルから「アパレル店員さんにこんな感じの人いるよね〜」っていうレベルの変化だ。
……ちょっと盛った。アパレル店員さんまではいかないかもしれない。
でも、気分的にはそのくらいの変化だった。
美容室を出てから
少しの驚きと満足感を抱きながら、美容室を出た。
髪以外は変わっていないんだけど、何だかいつもの自分じゃないみたいで嬉しいような照れくさいような気分だった。
多分あの時の自分はニヤニヤしていて、さぞ気持ち悪い顔をしていたと思う。
髪って
美容室でこんな体験をしなかったら気づかなかったかもしれないけど、よくよく考えたら髪って目や口、鼻なんかより圧倒的に頭部を占めている人が多い。
髪で人を認識している、というのは流石に大袈裟かもしれないけど、「あの髪型は、もしかしたら〇〇さんかな?」とか「あ、この香りは□□のシャンプーを使っているんだなー」とか意外と髪から情報を得ることは多い。
髪って大事だ。