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OVOをTSUTAYAから借りた時の話

前回のnoteは製品版Tips集ですが、今回はOVOを借りた時点でのレビュー再編集とそこに至るまでの時系列をまとめたものになります。

あらかじめFAQ

Q.なんでTwitterで過去に書いてるのに今さらまとめた?

A.

差分が当初から気になっていて、あとはまあコレ書いた理由と似ているし、
そもそもやっぱりTwitterは「ちゃんとしたレビュー」には向かない

前回はこちら。コミケ購入組に向けてますがTips集もどうぞ
(初投稿時点から中身が結構加筆修正され、未だにアップデートされているnoteになります。)

OVO、試聴できるってよ

私がOVOの存在を知ったのは2018年3月です。初めての言及は

確か発端は藤本健さんのツイートを見たのか、あるいはWatch系の媒体のニュースが流れてきたのかのどちらかです。そういうのはTwilogみても完全にはわからない部分があるのでとりあえずスタートはこことします。

で、実物を見る前に以下の点が私にぶっ刺さりました。

・フルデジタルってなんだ?
・ノイズないってすごいな?
・素のまま音を出すという思想なら自分の好みに合うはずだ
・バスパワーで大音量で出て、必要とあれば電源プラスできるってヤバい
・USBでなんでも刺さるってすごくないか

とりあえず各資料やインタビューを少し漁った程度の私のフルデジタルの理解はうまく言葉にできる気がしませんが、素子によってスピーカーの状態は量子的に制御され、理屈上44.1kHzとかのタイムステップで制御するが、タイムステップを1進めるにしても実際のスピーカーユニットは量子的に動けるわけではない=必ずインダクタンスがあるのでそこで量子的な世界からアナログな世界に変換される。で、その結果起こったスピーカーの揺らぎが音の波形になるように素子を制御しているとかそういう理解です。間違えてたらTrigenceの方よろしくお願いします。もうちょっとちゃんと理解したい。

フルデジタルの理屈の部分で何か引っかかりがあるものの、そういう事をふっ飛ばして商品がうたうスペックがインパクトあったわけです。もともと色々なジャンルの曲を聴くためスピーカーの好みがモニター系であることに加え、給電が別途要らない上なんにでも刺せるし持ち出せるということで利用の形がどんどん浮かびました。寝室でiPhone等に刺して使う極上持ち運びシステムというのとNintendo Switch用専属スピーカー(私はゲーム音楽も聴きますしゲームをいい音でやりたい)。当初からサラウンドは置いといてもこれでゲームやりたい!でした。

「だからといって実際にどんな音が鳴るのかを知らずに投資するのを嗜好品でやるのは気が引けるよなぁ」とか思っていたら試聴会をあちこちで開催するとのこと。その試聴会には参加できなかったのですが、今度は代官山蔦屋書店で展示するという話が降ってきました。そりゃ行きます。

あわよくば自前の機器を繋ごうとか思いましたがまあできませんよね。ただそこで流れていた音楽がJAZZで、OVOがちゃんとJAZZをBGMとして静かなフロアに供給してたんですな。ゆったりとしたJAZZを聞く分に音が破綻していないわけだから、多分これはスピーカーを置き換えてもあまり違和感ないという事は読めるわけです。そして確かに音量はとれている。

この時点でクラウドファンディング価格の1万は破格の安さだ、2つは買う

という話になります。これがユニバーサルにデジタルでつながってコンパクトに持ち運べて……というのはまあ凄そうだ。
ただ、やっぱり自分で使い込んだわけではないし多少たりとも賭けになる部分はクラウドファンディングだし出てくるよな、と思っていたら

貸出始めちゃったよ!これは色んな曲聞いたりゲームせざるを得ない。

自分以外の人にも見せる機会を持ったわけですが結構盛り上がった。

最初の感想として、まず家電量販店とかで売られているホームシアター的なバータイプのスピーカーとは音楽聞く分には比べ物にならないことはわかったのと、私自身がクラウドファンディングで投資したいくつかの品のクオリティと比べれば、これは私にとっては完成品と言われたら受け入れるレベルでした。
ただ当然未完成な部分もあったので「かなりユーザー側に工夫がいる」とも思いました。音量が本当に容赦ないレベルで出たり、スピーカーが動き出してしまう。ただ、私からしたら運用でどうにかなる話であって、まず肝心の音とか互換性を詰めてくれという感じ。

そして使い込んでいくと、とてもセッティングに対して敏感であること(後述)や、ある種の曲が思ったよりきれいに鳴らないという事がわかりました。
素直であるということは、無茶苦茶圧縮された音源や録音が悪い曲が悪い響きになるのがほぼ自明の理です。しかし音域音場が広い曲がややしんどい。
試した曲目をここに乗っけておきますと

我ながらなんなんですかねこれは。しかも声が聞き取りやすいのがウリのスピーカーなのに、ボーカルの曲が殆どない。あとこの時のセレクションは明らかにゲーム系が多い。ここ最近iTunesにクラシック系がまた入りだしたり義太夫節がたまに流れたりしますが、ベンチマークするのにしんどい曲は外そうかなとか思ってたらこんなことに。

ただノンジャンルでベンチマークを意識したことが結果的にそれは功を奏しまして、三味線であるとかハットとかそういう音が苦手という事は判明しました。そして、筐体サイズや形という要素は必ず付きまとう問題であって、明らかにイヤホンで聞くことを意識したパンの振り方をしている曲/アルバムや、上から下まできれいに鳴らないと浸れない曲は苦手範囲になる。あといくらあり得ない大音量出せるといっても、スピーカーの左右を分離できるわけでもないのに「超」大音量でシンフォニーの音場再現なんてのは無謀でしょう。


しかしよく音を聞くと、結構筐体が原因っぽい。

👉なら改造すりゃ終わりだ!

低音は何かをくっつけて振動させれば勝手にブーストされ、高音は恐らく筐体を外せばちゃんと鳴ってくれるといったように、一番肝心な音の部分はこちらの工夫次第でレベルを上げられそうだから、私個人が買う分には機器の互換性がクリアされれば問題ないという結論に4月時点で至ります。音場の問題はあるだろうかと思いつつも、置き方を工夫したらREZ Infinite であるとかThumperであるとか Jet Set Radioであるとか、なんの問題もなくプレーしていましたし、その時点で出ていた複数台接続への望みもありました。


ただ、それはあくまでも「私個人が買う分には」でした。

そもそもどういう人間だから刺さったのか?という話

※あくまでも試作機時点での評価です。

これをちゃんと押さえておかないことには、なぜこういう感想を持ったかという検証その他でその後の議論がミスリードされかねません。そもそも私がオーディオ環境についてどんな背景を持っていたかというと、

・iPhoneに刺すイヤホンにはこだわるが、ポータブルアンプまではいかない
・自作PCから出る音声はちょっとデカめのモニタースピーカーから出す
・ゲームの音声はミニモニターくらいのスピーカーから出す

つまり

度合いはどうあれ環境にはそこそこ手を入れる

人間だったわけです。
度合いの話をすれば、

ちょっとはいじってるが電信柱や発電所に拘る人間ではない。

とりあえず自分にとって意味があり、コストパフォーマンスがそんなに問題にならない範囲で環境はいじっているというところですね。また、普段からモニタースピーカーを利用しているのは聴感上の基準を作るためという事と、BOSEの音があまり好きではないことがあげられます。そこから言える立ち位置は、「原音再生」と「聞き心地」の軸で言えば原音側の入口にいるぐらい。

「私なら楽しめる」の裏返しは何か?

で、そういう工夫をじっくり楽しんでやる人ってどれくらい居るんですかね。多分少数です。そもそもイヤホンに金をかけるような層ってどれくらいいるんですかね。これも多分少数です。まして嗜好というのは多種多様であり、メーカーが苦心して色々な味付けのレシピを出している。

素直な音が好きの「素直」とは何かという話はさておいて、素直な音を「楽しい」音と捉えるかは別の話です。多分嗜好の中心・マジョリティは低音と高音両方が強調される音であって、そこからはまず外れる。

そして「セッティングに対して敏感」という話になります。

スピーカー面と自分の耳の方向で高音の鳴り・音場が大きく変わる

のに

平置きにするか立てて置くかで低音の鳴り方が大きく変わる

という強烈な二律背反がありました。こうなってくると各自の納得するバランスを追求することになります。

機材を買い集め納得のいくまでリスニング環境を追い込む人種であるとか、レビューをすること前提にモノをいじり倒す人種には各自の解が見つかり、それで納得し、「それをCF価格の1万で得た!安すぎる!」「サイズから想像がつかないポテンシャル」という満足感がやってきます。

こういう方々は言うなれば、

「価値観をあまり変える事なく、商品の価値を自分で高め発見できる人」

で、私は明らかにこちら側でした。また、私は #WindowsInsiders でもあり、何かにつけてフィードバックをかける事は日常的です。ここが意図した挙動ではないから直してとかそのくらいしか言ってませんし、新しい物好き・新しいバージョンの不満を出てからいうよりは出る前に潰したいタイプなだけですが、要するに不具合には慣れっこなのです。そもそも今回が初めてのクラウドファンディングではなく、そこそこ実績があるとされてきた海外メーカー結構いろんな思いをした経緯もあります。なお幸運にも持ち逃げはされたことがありません。実際明日また何か届く予定です。


では、これらの属性を取り払ったらどうなるか?

想像できると思いますが、長所とされるものが短所に変わるかもしれないわけです。慣れた味付けの上位互換はいいとして、慣れた味付けでない音がやってきたらどうなるか。聞き込んでくれるのか。

ドンシャリ系好きからイマイチ楽しくない、鳴らない(ちゃんとセッティングしない)から高く感じる等出てくるかもしれません。そして、「本来こんな感じのバランスだったんだよ」と言われて納得するのか。これケースバイケースのはずです。

他方、「コスパとか飛び越えている超ガチな人達」にはどうなのか。ここで「筐体のサイズ」「価格帯」といった要素がプラスにもマイナスにも振れるでしょう。価格帯の割にすごいな、いや価格なりでしょ、まあでかいスピーカーにはかなわんよな、いやこれけっこういける…などなど。

とはいえ、この辺はマーケティング/プレゼンのやり方次第です。あらゆるジャンルのしっかりとした音源を用意し、でかい音量で流して聞かせる、その後持ち込みも許可する…という手もありますし、仕掛け人次第。

この節で言っておきたいのは、その段階でのストライクど真ん中な層というのは意外に限られていたのでは?という話です。
評価機でOK出せる、でも変えてほしいところはある、製品版どうなるかな…?という賭け的な要素は残っていました。

まあ賭けには勝ったんですが。

そもそも、その段階で私が見つけていたものは「後々解決されることが約束されていた」ものだったりします。
・縦置きするとLRがひっくり返ってしまう
→LR Swap機能が実装されることが確定済
・手元でPlay Stopや音量調整ができたらいいな
→試作機のジョグダイヤルにその機能を実装していないだけ
以下、そのタイミングで把握していたissueのツイートです。

こういった話を踏まえて製品版、さあどうなのか。


〜つづく〜

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