ほぼ日ラグビーに出る、サンウルブズ23人のこととポジション、日本代表のお話
どうせ試合のパンフレットには必ず書いてありますが、今年のメンバーというのはラグビーワールドカップ直前という事で結構ややこしい編成になっています。その辺のことをある程度しっかりドキュメントにしておく必要があると思いつつ、どうせだからポジションの話をここでやってしまおうかという回です。
今年のサンウルブズはややこしいし辛い。
ラグビーワールドカップ2019を意識した準日本代表という位置づけではありますが、クラブチームとしても成立するようにということもあり、初年度から結構日本代表資格がない選手がプレーをしていました。
しかしこういうチームが出来上がるという事は、代表を切り離して応援するというのも出てくるわけで、サンウルブズを象徴する選手……と言われたとき、ほぼ全ての人が意識するのはエドワード・カークという元オーストラリア7人制代表選手でしょう。
なおオーストラリア7人制代表の経験があるという事で、カークの場合日本代表になるにはややこしーい手続きが必要になるらしい。似たような「ややこしーい」選手にはホセア・サウマキという明日の試合にも先発する選手がいますが……彼は資格基準を達成していないのに一度日本代表として招集されちゃったことがあります。
なお、両人とも日本代表希望だそうです。
話を戻しまして、とにもかくにも代表資格がない選手が今年はもともと多く、彼らがチームの中核となる予定でした。代表資格のある選手に関してはは元々じっくりコンディションを作る組とスーパーラグビー組でもまれる組に分かれW杯に備えるという事だったのですが……序盤、ケガでサンウルブズのキャプテン組含めた主力選手がシーズンを棒に振ります。特に大騒動となったのは、レフェリーが目の前でレッドカード物のラフプレーを見逃したため勝利が消えた試合。まさにそのラフプレーでエドワード・カークが10週間以上のケガを負いました。序盤戦で現行キャプテンのクレイグ・ミラーや、SRでテストされる側の日本代表資格者シェーン・ゲイツ、オールブラックス経験者のレネ・レンジャーといった、今年のサンウルブズを背負うであろう主力選手が次々大けがで離脱。
……とはいえ、さすがに「日本代表の主力がいない」と分かっているから備えていた今年のチームは例年になく層が厚く、直後に彼ら抜きでアウェーのニュージーランドチーム相手に完勝します。アウェー勝利はチーム史上初です。
そこに調整中の代表組がケガの分を埋めるべく入ってきて盤石……かと思いきや事態は簡単にはいかず、もう一人の今季キャプテンマイケル・リトルが脳震盪で長期離脱しキャプテンが完全に不在となってしまいました。
ダン・プライアーという選手がキャプテン代理をみごとに務めるも、彼も一時離脱したりしてしまいました。
今年、選手としてはこれだけ主力が離脱しつつもアウェーで買ったりしているのですが。チームというものが何かという事を突きつけられているようなシーズンです。序盤は勝てる試合を反則の多発でいくつもいくつも落としてしまい、途中から合流した日本代表調整組の選手から目の前のゲームにコミットしてないかのような発言が出たり、終盤にかけては0封を二度も食らったりして、士気は下がってないし何とかしようとするもそれが空回りし……と、なかなか見ている側の心を折る試合が続きます。そして日本代表の方はそろそろ合宿、ある程度の数がまたチームから抜けていく。そして現日本代表のアシスタントコーチでもあるトニー・ブラウンHCが来年別チームに移籍すると報じられるなど、どうにもモヤモヤは多い。
書いていると思い出して辛いのですが、明日気持ちよく勝てば何の問題もない。ファンの心理ってそんなもんです。
いったんこの項をまとめておくと、選手の出たり入ったりが激しくチームもとにかく空回りが続く中での6/1、国内最終戦かつほぼ日ラグビーだということです。
……ますます現地観戦、どう楽しむの?という問題が頭をもたげてはきます。
6/1の23人の選手とポジション説明
ラグビーは試合の2日前にメンバーが公開されます。ここに並んでいるのが今回の試合に出る面々。そういえばかのケガしたカークが明日秩父宮に合流するらしいのでそれだけでもファンとしては見る価値があるかな。
この画像で縦方向にピッチが4分割されていますが、真ん中より上にいるのがFW(フォワード)選手で背番号が1-8番、下側がBK(バックス)選手で背番号が9-15番。控えの16-20番はFWのことが多く、21-23番の選手はBKのことが多い。で、ポジションごとにだいたい役割があるわけですが……正直覚える必要ほぼないです。FWはスクラム組む人、くらいの区分で十分です。次に覚えるなら専門性が強いポジション、1-3がスクラムの最前列の人、9番が球出しする人というくらいか。あとは日本代表においては上の図で前から三列目(6-8番)が世界でも有数の人材がそろってるというくらい。
ラグビーのポジションがルール上特別扱いされているのはFWの一番前、1-3番です。スクラムを組む接点にいることから特殊訓練が必要とされ、申告していない他のポジションの選手が割って入る事はできません。
さて、代表の話がありますから23人の代表資格の話をやむなく触れますと2019年W杯に資格が確実にない選手は半分ほどです。
サウマキは件の「ややこしーい」事例であるとは先ほど書いた通り。先発の8番・ベン・ガンターは複数国の代表になれる資格があり、その中でいろんな訳あって日本代表を選択したものの、「つい最近」資格となる居住年数が足りないと発覚した選手。12番フィル・バーリーはニュージーランド生まれのスコットランド代表。15番セミシ・マシレワ選手は日本代表を目指すもまだ年数が足りません。控えの16番ジャバ・ブレグバゼはジョージア代表。18番コナン・オドネル選手はアイルランドのU20代表。逆に14番ゲラード・ファンデンヒーファーは「資格があるかもしれない」選手で、サンウルブズで大活躍しており代表滑り込みの可能性があります。23番ラファエレ ティモシー選手は押しも押されぬ日本代表の主力。ケガからの復帰がいきなりスーパーラグビーです。
ラファエレは押しも押されぬ主力ではありますが、ここに出てきている日本代表資格持ちの選手はラファエレ含め当然競争のさなかです。例えば19番大戸は当該ポジションの数少ない日本ルーツ選手です。6番徳永は競争がとても激しいポジションの中にいます。22番山沢はエディJ時代から期待されていた若手ですが、強度の高い試合の場にあってはなかなか出場機会に恵まれていません。あまりチャンスをつかめていないというのが実態だとは思います。
とにもかくにも、サンウルブズにはいろんなバックグラウンドの選手がいます。そして今季は特に日本代表どうこうという問題があるため、選手がかなり入れ替わるチームになっており……連携とかチームの呼吸とか、そういうところが甘くなってしまうというのはあります。ただ、個々人のレベルというのはこのサンウルブズ、過去最強。去年あたりからは対戦相手が全く手を抜かなくなりました。今回の対戦相手のブランビーズ、スーパーラグビーのプレーオフ出場をかけて戦ってきますからなおさら手は抜かない。
ちゃんとサンウルブズがチームの内部を修正し、集中して戦ってくれさえすれば、面白いことになるとは思います。ただここまで心がおれるような試合も続き……さあ、楽しめるかな?
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