「どうやって政治家になるの?」素朴な疑問から始める
前回、「政治家になろう」と宣言してみたが、「じゃあ、具体的にどうすればいいのか?」
そもそも政治家と一口にいっても、市議・区議、市長・知事、県議・都議、そして国会議員(衆・参)まで、なるためのプロセスも選挙区制度も、必要な得票数も全く違う。
さらに選挙手法も、規模や制度によって戦略は変わる。
「無所属でも当選しやすい地方議会」、「党公認が(ほぼ)不可欠の国政選挙」、どこから攻めるか、どうやって票を積み上げるかは、まさに戦略が問われる世界だ。
今回は、そんな選挙区制度の違いや、選挙ごとの得票目安、選挙手法の違い、そして代表的なキャリアパスの例をまとめてみる。もちろん、目指すのは国政。国政政治家になるには?という観点からのまとめにはなる。
1. 市議・区議:小さなエリア、複数定数、無所属でも狙える土俵
制度:多くは複数定数制。数十議席が同一選挙区(市・区)で争われる。
得票目安:数千~1万票程度で当選圏内になることもある(もちろん自治体規模次第。小さな市なら数百~数千票で当選するケースも)。2,000くらいでも当選するらしい。Facebookの友達が全員選挙区在住なら通れるかも・・・笑
選挙手法:街頭演説、選挙カー、SNS発信、ビラ配布などを駆使。人口が少ない分、人との直接的なコミュニケーションが効果的。小学校によく市議とか来て長々としゃべってたなあ・・・・(遠い目
無所属でもOK?:比較的可能性あり。地元密着で支持者を増やせれば、公認なしでも当選は十分狙える。
実例:
多くの政治家が、最初は市議・区議からスタートするケースが多い。
菅義偉氏(元首相)は横浜市議からスタートし、その後国政へ進出した有名例。まずは市議で人脈・地盤を築くというパターン。
2. 県議・府議・都議:より広い範囲、やや高めの得票ハードル
制度:基本的には複数定数の選挙区も多いが、市議よりは選挙区が広く、当選難易度は上がる。
得票目安:大都市なら1万~2万票以上は欲しいことも(選挙区の定数や人口によって変動)。
選挙手法:市議と似た手法だが、より広域での知名度確保が必要。地域密着だけでなく、各種団体・業界へのアプローチやSNSでの支持拡大が重要になってくる。市議よりも票数が必要なため後援会とか組織をちゃんと組織しないといけないサイズ感?
無所属でもOK?:可能性はあるが市議より難しい。政党公認を得れば組織票が期待できる分、有利。
実例:
国政進出を睨む若手政治家が「県議→国会議員」のステップを踏むことは珍しくない。
自民党や他党の地方議員を経験して地盤を作り、後に国政挑戦というルートが一般的な王道パターン。
萩生田光一氏などは八王子市議->都議->衆議院というステップ。
都議は実は国会議員よりも給与が多いが、会期は短いので言い方はあれだが、おいしいと聞いたことがある
3. 市長・知事:1人枠、小選挙区型の激戦
制度:1自治体に1人、得票1位のみが当選。まさに「1人当選」=小選挙区的な構造。
得票目安:自治体の人口・投票率によるが、20~30万人規模の市で投票率が約50%なら有効票は数万人前後。過半数得票は不要な場合もあるが、2~3万票以上は欲しいケースが多い。大都市、知事選になると数十万~100万票単位が必要。
選挙手法:知名度アップが鍵。メディア露出、強力な後援会体制、選挙事務所の組織力が必須。無所属で勝つためには相当な人気や実績がいる。地上での組織票と知名度票、両方が必要。
無所属でもOK?:あるが難易度高め。元タレントや弁護士、大企業経営者などが無所属で挑み、当選することもあるが、日常的な活動や支持者ネットワークが必要。無所属でぽっと勝てるのは中規模都市までだろうか
実例:
橋下徹氏は弁護士・タレントとしての知名度から大阪府知事になり、その後大阪市長へも転身。実績とメディア戦略で道を切り開いた好例。
4. 国政(衆議院議員):小選挙区制度で政党公認が“生命線”
制度:小選挙区制(+比例代表)。小選挙区は1選挙区1名当選。
得票目安:1選挙区約40万人、投票率50%で有効投票20万人前後。その中でトップ当選には10万票程度が目安。
選挙手法:党公認が極めて重要。無所属で10万票超えは至難の業。党から「この選挙区はあなた」とお墨付きを得ることで組織票・支援団体票が集まる。個人の人気・地盤・実績に加えて党内コネクションが不可欠。
無所属でもOK?:極めて困難。よほどの有名人や現職優位の崩壊状況がなければ難しい。
実例:
多くの自民党議員は世襲や党務経験を経て公認を獲得している。
菅義偉氏も横浜市議を経て自民党から衆院出馬、公認を得て当選し、のちに総理大臣にまで上り詰めた。
5. 国政(参議院議員):比例代表で党の力がカギ
制度:参議院は選挙区(都道府県単位)と比例代表。
得票目安:選挙区によっては数十万票が必要なところも。比例代表は個人名で得票を集める形もあるが、基本的には党全体の得票力が重要。
選挙手法:著名人を比例代表で擁立し、党得票を稼ぐ。個人が党公認を得れば、全国的な支持者から票が集まり当選の可能性が出る。
無所属でもOK?:選挙区無所属で当選することはあるが難度高。比例では無所属立候補が原則できず党所属が必須。
実例:
スポーツ選手や文化人がいきなり比例で参院議員当選を果たすことは珍しくない。知名度と党公認が組み合わさるケース。
キャリアパスの具体例
市議→国会議員:市議で数千~数万票規模の当選から始め、地元で地盤を育成。その後、県議を経たり、後援会を拡大して国政で10万票規模を目指すというルート。菅義偉氏が象徴的。
市議→県議→国会議員:段階を踏むことで支援者・資金・知名度を拡大し、最終的に国政進出を狙う。多くの政治家がこの「下積みルート」を歩んでいる。
首長→国会議員:首長選で数万~数十万票を得て当選し、実績・知名度を背景に衆院・参院選へ挑む。首長経験は「実務を任せられる」と有権者に思わせる材料になる。
ただし、こうしたルートを歩んでも、特に国政に挑む際には「公認」という最終(最初の?)関門が待ち受ける。保守本流志向の私としては自民党から出たいが、コネも血縁もない一般人が公認を得るのは至難の業。
地方議員を長く務めても、公認が得られる保証はないし、無所属で国政に飛び込むのはほぼ無理筋だ。
それでも、何か突破口があるかもしれない。SNSやネット発信で支持者を集める新戦略や、党内での人脈づくり、あるいはNPOやシンクタンクで政策実績を重ねて認めてもらうなど、従来とは違うルートを模索する時代が来ているのかもしれない。
知れば知るほど、政治家への道は厳しく高い壁が聳えるけれど、それでも前に進むしかない。次回は、自分にとってどの選択肢が現実的なのか、もう少し深堀りしてみようと思う。