「口訳 古事記」を読んで

まず、神様の名前が長くて読むのが難しかしい。そのため、因果関係・因縁もわからなくなりがち。
「日本の始まりはこんな風で♪」なんつって、何百年も、更新されながら残ってきたものだと言うことがかわいらしいと思った。古の人が漫画的娯楽・スペクタクル活劇として直したり、足したり引いたりしたかもと思いをはせる。
神様に繋がるものとして天皇が出てくると、「神話」じゃなくて「作り話」を読んでいたんだとちょっとがっかりする。ちなみに、天皇の崩御年齢は百プラス実年齢になってる感。デーモン小暮は、ここから想を得たのかな。
神様は、人間みたいに感情的で自分本位で、むしろ長所よりも短所が多い。むき出し。激しい気候や容赦のない天災に抗えないことを、神様の所業と諦めたかったのかな。八百万と言うから、次々に、そしていつの間にか、登場人物が増えていくので、そのスピード感(なのか唐突感なのか)に、なかなかついていけない。

それじゃ面白くないのかというと、町田さんが、漢字が読めないわ相関図を描けないわという哀れな人にも楽しめるようにしてくれている。日本人なのに日本の古典を通読することを諦めていた市民には、有り難い話としか言いようがない。

町田さんの脚色というか解釈と言うのか、は、諧謔味があってドライ、思索無しの胆力みたいな獰猛さと小市民的な感覚の同居を感じる。氏のオリジナル作品が持つ味わいに通底していて、今、古典の口訳に関心を持って取り組んでおられるのは、相性が良いからなんだろうと思う。チャラチャラしたものへの軽蔑と言うか。
次は太平記の連載を見かけた。町田さんと言う教養(莫大な語彙)あるガイドに誘導されて、アンシエントツアーに出かけるのは今生のレジャーだと感じる。

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