ライフエンディングレター 灯火
「最高の人生の見つけ方」という映画をご存知ですか。
余命宣告を受けた二人の男性が、亡くなるまでにやりたい「棺桶リスト」を作成して、世界中を旅しながら夢を実現していくストーリーです。スカイダイビングをしたり、ピラミッドを見に行ったり、アフリカのサバンナを巡ったり……。
レビューには、「やりたいこと、好きなことをして生きようと思った」といった感想がたくさん寄せられています。
だけど、考えてみてほしいのです。
本当に、そんなことをしたいでしょうか?
もちろん、人によって違いはあるでしょう。
ただ個人的には、この世界を去る前に、限られた時間をそのような一時的な刺激と興奮を得るために費やしたいとは思わないだろうというのが、正直なところです。
この作品のなかで私が最も感動的だったのは、旅を終えたあとの二人でした。
特に、経済的成功だけを求めて家族と疎遠になっていた富豪のコールが、プライドを棄てて娘に会いに行き、親子の愛を取りもどすシーン。
人生が終わるまでに、本当にしたいこと。
悔いのない人生にするために、しておきたいこと。
それは、
「大切な人へ、愛情と感謝を伝えること」
なのではないでしょうか。
ホスピス医として3000人以上を看取られてきた、小澤竹俊医師(エンドオブライフ・ケア協会代表理事)も、「死ぬときに幸福な人に共通する7つ」のひとつとして、「家族や大切な人に、心からの愛情を示す」ことを挙げられています。
ただ、そうは言っても特に何もないときに、家族に対して改まって本当の気持ちを伝えるのは、不自然でもあり、照れくさくもあります。
一方で、「旅立ちの日」がいつ訪れるのか、誰にも分かりません。それは20年後かもしれないし、明日なのかもしれない。不謹慎に感じられるかもしれませんが、それが私たちの生きているこの世界の現実です。
いつか、いつか……と思っているうちに、伝えられないまま旅立ってしまう方がほとんどなのではないでしょうか。
私の祖父は、最期の数年、認知症に苦しんでいました。伝えたいことが伝わらない、気持ちを理解してもらえない。そんな日々を送り続けた祖父自身は、どれほど辛く、悲しかったか……。一方の祖母は認知症ではありませんでしたが、無気力で寝たきりになり、旅立ちまでの数ヶ月は本人の望まない延命治療を続けながら「早く逝きたい」と繰り返していました。
80年以上生き続けてきて、どうして苦しみ、悲しみのなかで人生を閉じなければならないのか……。二人のことを思い返すと、いまでも胸が痛みます。もっと伝えたいことがあったはず、そして私自身、二人が元気なうちにもっと聴いておくべきことがあったのではないかと。
取り返しのつかない悔いを残さないために、日ごろは言えない本当の想いを手紙や動画で残しておきませんか。
これまでの人生を振り返り、心のなかを深く見つめて紡ぎだされたメッセージは、悲しみや寂しさのなかに遺された大切なお相手にとって、きっと小さな灯火のように心の支えとなっていくはずです。
お気持ちをじっくりとお聴きし、文章などにまとめるお手伝いをさせていただいています。必要性を感じられた方は、以下のフォームからお気軽にご相談ください。
大村隆
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