[検証]サンプリングCD『Methods of Mayhem』とI'veの関係性
こんにちは。
4月に仕事が始まってからなかなかnoteを更新することができずにいましたが、今回はI'veのサンプリング音源に関しておもしろいものが手に入ったので紹介していきたいと思います。
イントロダクション
I'veに少々詳しい人であれば「I'veのサンプリング音源といったら」と聞かれれば、おそらく真っ先に『RAPSODY』を挙げるだろう。こちらはドイツの『Masterbits』というレーベルが1995年にリリースしたサンプリングCDで、日本への輸入販売は札幌のクリプトン・フューチャー・メディアが行っていた。フォロワーのhighlandさんがI've楽曲における使用箇所をツリー形式でTwitterにまとめているので引用させていただく(許可済み)。
これ以外にもI'veはホラー映画等のセリフをサンプリング(『FUCK ME』や『Two face』など)していることは知られていたが、それらがまとまった音源が見当たらない(私が知る限りです、ニワカ晒してたらすいません)のが現状だった。今回は、そんなRAPSODYに次ぐであろうサンプリングCDを紹介しようと思う。
経緯
5月某日。何気なくYouTubeを見ていると、ある一本の動画に出会った。
これは音楽ゲーム『beatmania』のサンプリング音源とその使用箇所をまとめた動画である。beatmania楽曲にもRAPSODYを引用した楽曲がいくつか存在することは知っていたので、I'veのサンプリング音源の手がかりやヒントになることを期待した。すると、動画の16:22~にて聞き覚えのある音声が聞こえてきた。
この音声は川田まみさんの『jellyfish』や『Rage』で使用されており、元ネタが1957年公開のB級SFホラー映画『The Brain from Planets Arous』であることは以前突き止めていた。しかし、CD収録されているとは知らなかったので驚いた。
このCDに俄然興味が湧いた私は、YouTubeでこの『Methods of Mayhem』を検索することにした。フルアルバムはアップロードされていなかったが、代わりにデモ曲がトップにヒットしたので聴いてみた。
私は仰天した。
ピンと来た方はおそらく相当なマニアかもしれない。というのも、これはI'veが2001年にBGMを担当したPCゲーム『し〜まにあ 天使の雫』の一BGM『Trip』に酷似しているのだ。あまりのデジャブにひっくり返ってしまった。
「このCDには何かある」
そう確信した私は、さっそく現物を手に入れることにした。
捜索、発見、しかし……
Google検索にかけたが、クリプトンの紹介ページ以外日本語の情報がほとんどヒットしなかった。RAPSODY同様クリプトンから輸入販売されていたようだが、一般に流通しなかったためか国内の在庫が全く見当たらなかったのだ。
しかし、海外の在庫はebayでいくつか確認することができた。送料込で約1万円。I'veの謎を解くためなら惜しくないと即購入を決めた。オーストラリアからの出品だった。しかし……
翌日には発送され、1週間も経たないうちに飛行機で日本に到着し、税関を突破し配達業者に受け渡され、あとは配達を待つだけ……だったはずが、思わぬトラブルに見舞われた。
一向に配達されないのだ。それも2週間。日本には着いているのにそこからの方が長いという事態。それどころか、気がつくとオーストラリアに送り返されていた。
慌てて出品者に連絡した。すると向こうも同様に配達状況に驚いていたようで、翌日に郵便局に連絡すると約束してくれた。
原因はすぐに判明した。自分がebayに住所を日本語で登録しており、それが出品者のチェックを通されずそのまま郵便局にプリントされていたようなのだ。
初めてのebayで完全に自分の不注意なのだが、向こうも日本に送るのは初めてで浮かれてしまいチェックを怠ってしまったと陳謝された。そして、私が適切に翻訳した住所をメッセージで送り、向こうも商品を回収し次第住所を書き直し再発送すると約束してくれた。
余談だが、件のCDは亡きお兄さん(Songwriterだったそう)の遺品らしく、あなたのような熱心なクリエイターに購入して頂けて嬉しいと出品者に感謝された。そして、初めてのebayをストレスフルなものにして申し訳ないと重ね重ね謝罪された。
言われてみれば、他の出品はサンプリングCDだけでなく歌詞の書き方ハウツー本などがずらりと並んでいた。自分がクリエイターと勘違いされている(普通はそう思われる)ことに苦笑しつつ、亡くなったお兄さんの遺志を大切にしようと決意したのだった。
そして、再発送から一週間後……。
念願のご対面である。
尽力してくださった出品者には感謝の念に堪えない。
時間は掛かってしまったものの、気持ちのいい取引をすることができた。
検証
Methods of MayhemはSounds Goodというスウェーデン・ストックホルムにあるレーベルから1995年にリリースされ、全89トラック、総再生時間約1時間10分、収録素材1068。同名のロックバンドや曲名が存在するがこれらとは無関係である。詳細なトラック名は以下の画像のとおり。
ここまで書いておいてなんだが、得られた情報は予想ほど多くない。しかしながら、収穫があったことは間違いないのでここに列挙していく。もしかすると聴きこんでいくうちに新たな発見がある可能性もあるため、その際は随時追記してこうと思う。
使用箇所
1.
Track01(Demo), Track02(Analoops1 - 01.ANALOOP 01 A), Track39(Bass Guitar 2 - 01.MT-2)など
使用I've楽曲:Trip(『し~まにあ 天使の雫』BGM、『IMAGE CRAFT Music Selection 2 - Precious』収録)
上記の動画でも挙げた楽曲。一部分の使用ではなく曲全体がループ素材の集合である。
2.
Track81(Evil Domination - 05.Equal and Surpass)
使用I've楽曲:Rage, jellyfish(『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
こちらも上で触れた音源。1957年公開のB級SFホラー映画『The Brain from Planets Arous』から。
3.
Track82(Prime Evil - 09. Your Miserable Span)
使用I've楽曲:Two face -The Front Line Covers-
これも『The Brain from Planets Arous』から。フルセンテンスは
である。二番終わりで使用。
4.
Track48(Gain Control 1 -08. Feedback 08)
使用I've楽曲: sense(『灼眼のシャナII』最終話ED)
意外な楽曲での使用。イントロのフェードインしてくるギターがそれである。てっきり尾崎氏によるものだとばかり。
5.
Track49(Gain Control 2 -02. Feedback 14)
使用I've楽曲:DROWNING -Album Mix-(『Disintegration』収録版)
DROWNINGのアルバム版(またはThe Front Line Covers版)のイントロの「ブーン」という不気味な音。
あとがき
一通り聴いてわかったのが以上である。やはり少ない、少ないが意外な発見ができたので確かな収穫だったと思う。上でも書いたが、まだ気づいていない音源があるかもしれないのでその都度追記していく。
ありがとうございました。
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