AI絵の特徴をまなぼう 第一回
あいさつと概要
こんにちは、なかむらすばるです。
昨今ではAIが身近なものになり誰でもその凄まじい性能を使って様々な活動をすることができるようになりました。
その中でも目を引くのは「AI絵」の存在です。絵を今まで描いてこなかった人でもプロのようなイラストを生成することができるこのサービスは、生成するだけなら簡単にできるということもありたちまち人々の心を鷲掴みにします。
困ったのは、AI絵が普及して世の中に広く流布されたことから、イラストを鑑賞する側のユーザーが「人間とAIのどちらが描いたのか見分けがつかない」といった感情が発生し、あまつさえ投稿者に「これってAIですか?」と聞いてしまう事例が出てきたということです。
そう聞いてしまう気持ちは分からないでもないですが、人間が描いていたとしたらそれを聞かれたイラストレーターの心情は計り知れません。身に覚えがある人はAIかどうかを投稿者に聞くのはやめましょうね。そしてAI絵を投稿する方についてはそんな悲しい事例が出ないよう、タグなどでAIを明記することをおすすめいたします。
ということでこの記事では、鑑賞ユーザーはAI絵を判別する能力を身につけ、AI絵投稿者やエンジニアは改善点を洗い出しさらなる発展を見込む、AI絵の特徴についてまとめていこうかなと思います。
AI絵の特徴をまなぼう
今回の教材とさせていただくAI絵はこちら
タグ#AIartで検索して一番上に出てきた、この素敵なAI絵を例に取りましてAI絵の特徴についてお話させていただきます。
なお、この記事で取り扱うトピックについては、「人間がこういった表現をする可能性は0ではない」ということを肝に銘じていただき、「この特徴があるからお前の絵はAIだろ!」みたいな愚かな行動をしないように心からお願い致します。
AI度★★★☆☆ 途切れ
AI絵は線のつながりは得意な反面、一度途切れてしまったものを再び出現させるということが苦手だという印象を受けます。
こちらは毛束の先が他の毛束に遮られて消滅してしまったと考えられる事例です。外側から内側に向けてカールを描く毛束が途切れてしまっています。
もちろん毛先がぱっつんだったり、他の毛束に合流するような髪のはね方はありますがこのイラストのイメージとは合わないように感じますので、赤線のような表現が自然かなと。これ以外にも「とぎれ」を感じる箇所は以下のとおりです。
AI度★★★★☆ 融合
前項「とぎれ」とは逆に、重なり合う部分がまるで同じレイヤーに存在するかのように融合してしまっている事案があります。イラストレーターとしては絵の奥行きを出すために、距離感があるものを融合させてしまうのは避けたいところなのでAI絵の特徴と言っていいでしょう。
AI度★★★★☆ 認識できない領域
AIでは度々なにかで区切られた小さい空間が、どの領域に存在するのか認識できずにとりあえず色を置く、ということが発生します。これは人間の絵ではあまり起こりづらい事象です。
紙の束で囲われた赤丸部の領域。本来なら後ろの背景色(白)が表現されるところですが、認識できなかったのか髪の毛ではほぼ使われていない赤みがかった色を一色塗りしています。
こちらは睫毛ラインと髪の毛で区切られた領域。AI絵はこの領域が苦手なようで、不自然な色で塗りつぶしてしまっているのをよく見かけます。このイラストでは肌の影であまり使用されていない明るめのピンクオレンジを塗ってしまっています。
AI度★★☆☆☆ 直線で構成された小物
AIは直線で構成された小物を描写するのがあまり得意ではないようで、しばしば曲線で表現してしまいます。
こちらはイラストのキャラクター、「タキオン」の髪飾り。本来であれば化学構造式の直線で構成されたおしゃれな髪飾りなのですが、曲線になってしまい六員環は六角形ではなくなってしまっています。こういったキャラクターを象徴する小物はぜひ上手に表現したいところなので、人間がここだけ手を抜くというのはあまり考えられませんね。
AI度★★★★★ 読めない文字
こちらはイラスト右下のサイン?のようなもの。投稿者さんの他のイラストには見当たらないものでしたので、これはAIが参考元のイラストから引っ張ってしまったものだと思います。こういうのを見てしまうと、明確に「元のイラスト」が存在すると考えてしまいますね。
「@(twitterアカウント)|なまえ」かな?
おわりに
いかがでしたでしょうか。←これ一回言ってみたかったんですよね。
とても美麗なイラストですが、よく見てみるとAIの特徴がよく出ている事がわかりました。ですが、「よく見ないと」人間が表現したかのような素敵なイラストなのですから、やはり昨今のAIの進歩は凄まじいものですよね。
皆様におかれましては、AI絵を生成する際は法律とマナーを守って。イラストを鑑賞する際は投稿者の迷惑にならないように。そして人間のイラストレーターさんはAI絵の存在に落ち込むことなくあなたの表現に自信を持って。創作コンテンツをより一層楽しいものにしていただければ幸いです。
なかむらすばる
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