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【文披31題】僕と「共に見上げる」(16日目・窓越しの)
※宗也視点の話
窓越しでも、夏の日差しは強く眩しい。
絵に描いたような快晴。雲一つ無い青空。綺麗だった。それを見ながら廊下を歩いていたら、窓向こうに一人の女子生徒が、僕と同じように空を見上げながら歩いている。青いリボン。同級生か。僕は何となく、窓を挟んで彼女と並んで歩く。彼女はずっと空を見上げていたが、僕に気付くと軽く会釈して、そのまま歩いて行った。それを見送ってから、はたと気付く。ここは校舎の四階だ。廊下の窓の向こうに、ベランダは無い。人が歩ける訳が無いのだ。僕は手近な窓を開けて、彼女が歩いて行った方を見る。誰もいない。青いリボンのことは覚えているのに、会釈された時見たはずの彼女の顔は、何も思い出せなかった。