【文披31題】僕と「例えるなら朝凪の(24日目・朝凪)」
ふ、と、宗也は目を開けた。
朝の気配がする。寝落ちたベッドの上で、宗也はカーテンの隙間から入って来る薄明かりに目を細めた。掛けた覚えの無いタオルケットに触れ、宗也は静かにベッドから床を見る。泊まりに来ていた満寛が、宗也の敷いた布団の中で、静かに寝息を立てていた。昨夜、満寛が取ったであろう行動を想像し、宗也は柔らかな笑みを浮かべる。
(起こしてくれても良かったのに)
今日も暑くなりそうな気配を感じつつも、今はまだ多少冷えた空気に、宗也は穏やかな気分になった。
(朝凪、って言うんだっけ、こういうの)
ここは海ではないけれど。静かで、満ち足りた時間、場所。夜が終わる最後の青い光が、宗也の中に優しく満ちて行く。
(起きたら、満寛と何をしようかな)
あれやこれやと楽しい予定を考えるながら、宗也は微睡み始めた。