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道を聞かれる人

昔、本当に頻繁によく道を聞かれた。
私は恐るべき方向音痴であり、地図が読めない女であり、来た道と帰り道はいつも違う人である。
なのになぜか、人々は私めがけて道を聞きにくるのだ。
家の近くなら良い。お店を知っていれば連れて行く。教えるより行った方が早い。先導はざらである。先日も困っていた女性グループを先導して、店に連れて行ったが、店に駆け込む勢いにびっくりして取り残された。
お礼言われたっけ?まあいいか。

出かけた先、旅行中は困る。第一私が迷子の子猫なのだ。
道で立ち止まっている時は、ここはどこ?の状態でいることが多い。なのに人が寄って来る。

最近はあまりないなあと思ったら、みんなスマホを見ている。Google先生は優秀だからね。

それでも、コロナの少し前、永田町の地下鉄から地上に出て、自分の行き先が分からず途方に暮れていると途端、外国人カップルに捕まった。
地図を手に持ってきいてくる。私は英語が苦手であり向こうの早口にも対応出来ない。
でもなんとかカタコトで。ちゃんと教えたかどうかは分からないが彼らは去っていった。よし!

新宿のホームでアジア系の若い男に、ホーム設置の券売機での買い方を聞かれる。これは割とすぐ教えられた。よし!
そうかこれは機械の使い方で道じゃない。

ところで最近友達がSNSで「.自分は昔よく道を聞かれた」という発信をした。何かの呪いかと思えるほど人に尋ねられる。なぜだろう、という内容。それって私じゃないかと思って興味を持って読んだ。
彼の考えによると、道を聞かれる人というのは、まず温厚そうでキチンとしている、そして服装がトレンディからわずかに外れている、ということだった。
なに?そうだったの?
それ、ショックではないか。

例えば六本木とか、渋谷とか、聞かれたアレは、ちょっと外れてるから安心されたってこと?
そうなの?今からあの人この人に尋ねて回りたいが、顔も名前もわからないし。第一ちゃんとした道を教えてないし。
その町に住んでる感じ、あるいは馴染んだ感じに見えるからかと思っていた。確かにキメキメではない。住んでる人はどこか解けている。
生粋の東京人は地味だ、という話を聞いたことがある。田舎から出てくる人はどこか力入ってるもんね。お上りさんと違う地味感。これか。
ということにした。
トレンディじゃない……
忘れよ。


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