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角野隼斗 with フランチェスコ・トリスターノ(配信)

2022.11.15 ブルーノート東京 2nd Show 20:30~

11月初旬のBBC Proms JAPANを観に行ってから約10日。(感想はコチラ
この間にいくつかの公演はありつつも、諸事情あって行くこと叶わず。今公演はありがたいことに配信で視聴することができた。

行事などであまり深掘りができず、しかも今回のアーカイブは1日限り。noteを見送ることも考えたけれど、備忘録はどのみち書くしと、浅い知識だけで記しておくことに。

だってめちゃくそかっこよかったから!
(そして語彙力を失っています。基本的に「。」がくるたびに「かっこいい」という心の声が入ってます。書いてませんが笑)


角野はコンサート間近に開いたラボ(YouTubeかてぃんチャンネルの有料コンテンツ)で、こんなことを言っていた。

「僕はスタインウェイアーティストで、トリスターノはヤマハ。ヤマハは(コンサートで)内部奏法OK」
配信チケットで入場すると、画面に映されたステージにはヤマハ製とスタインウェイ製、2社のピアノが配置されていた。

共に現れた二人の衣装は黒いジャケットで揃えて、中にトリスターノが黒Tシャツ、角野は白いTシャツを着ていた。勾玉のような曲線の凹凸を重ね合わせる2台ピアノの配置と白黒Tシャツが相まって、さながら陰陽の紋のよう。

全体を通してトリスターノは鍵盤だけでなく、ピアノの内部を巧みに叩いたりはじいたりして、様々な演奏効果を生み出していた。対する角野は(内部奏法ができないスタインウェイピアノ使用のため)鍵盤しか触れないわけだけど、これでもかというほど多種多様な音を出していた。特に『ボレロ』では音色の見本帳か! ってくらいすごかった。彼の多彩さを知っているつもりのファンでも驚きで、鍵盤部分だけCASIOのPriviaに差し替えてるんじゃないのって疑惑さえ浮かぶ(浮かばない。差し替えない笑)。

ブルーノートは比較的MCが多めな印象がある。今回もトリスターノとの出会いや、オリジナルカクテルの話など、演奏中の集中した雰囲気と違う親近感あふれる朴訥な口調で、時折トリスターノに向けての英語も混ぜて話していた。

「(トリスターノのことは)学生の頃から知っていて、去年初めて会って一緒にセッションできて、次はコンサートやりたいねって話して、1年越しにやっと実現した」のようなことをMCで話してもいた。

トリスターノは、たしか来日公演が中止になっていた。その前の年の延期分だったようで、ファンは堪らない気持ちだったと思う。
日曜の池袋と、この日の2日間は、トリスターノのファンにとっても待ち遠しかったに違いない。

Birdland / Weather Report

ブルーノート向けと思われる人気ナンバーでご挨拶。4月にエリックミヤシロ氏らと共演した時にも演奏されたウエザーリポートの「バードランド」。その時はオケメンだけの演奏だった。さてはかてぃん、一緒にやりたかったね。(その時の感想noteはコチラ
バンドサウンドを2台ピアノで盛り上げるって、すごい。

Pastorale in F Major BWV590 / J.S.Bach

曲に入る前、かてぃんが英語で「たぶんインプロやる笑」って言ってた。かてぃんとトリスターノは刻みが良くてバロックがすごく心地よい。柔らかく弾いても拍感があるからダレないし、強く弾いても流れがあるから脅かされない。浮遊感と神聖な空気に包まれて、こういう宗教儀式が本当にあるんじゃないかとか思った。トリスターノが内部いじってた。

Ciacona Seconda / Tristano※

トリスターノがさっきまでよりもっとパーカッションメイン気味でピアノを叩く。トリスターノの4拍子の上に、かてぃんが3拍子っぽく左手でベースラインを乗せてきた。いちにさん、いちにさん、いちにさん……ん? フレーズの頭が3拍子だと揃わない。リアタイは拍子を追いかけるより音楽を単純に楽しむほうにシフトした。
ポリリズムは難しそうだけど聴くのは大好き。かっこいいから。
アーカイブで数えてみたら、左手は10+11の21拍子かもしれない? 拍の数え方イマイチ苦手なので、割り切れる3拍子とか7拍子かもしれません。右手は……なんだろ? とにかく変態な曲なことに変わりはなくて、めちゃくちゃかっこよかった。

21拍子なんてあるの? って思ってググった時に出てきた動画を貼っておきます。Tigran Hamasyan、前にかてぃんが好きって言ってた。

※20221117追記:フォロワーさんから曲名を『Ciacona Seconda』と教えてもらいました! ちなみにバッハのChaconne from Partita No.2 BWV 1004が元のようです。(Ciacona Seconda=Chaconne Second)

ちょうど大好きな髙木凜々子さんのシャコンヌがアップされたので貼っておきます。

Jeux d’eau / Ravel

日曜日のスタクラフェスで評価の高かったかてぃんソロ曲、ラヴェルの「水の戯れ」。
水なんだけど、上品に滴る水の感じよりも、もう少し鋭さを感じた。ショパンの木枯らしみたいな、でもガチクラ感とも少し違ってて、かといってロックやジャズかと言われるとクラシックなのだけれど、ブルーノート仕様だなっていうかっこよさ。
滝が凍る、氷瀑が形成される瞬間を見ているみたいな感覚。精緻で幾何学的で、撥ねる水しぶきが目の前で氷の結晶になって頬に飛んで来るようなイメージもあった。

※動画はもうだいぶ遠い昔のものですが。

Ritornello / Tristano

かてぃんソロとなだらかに繋がって、トリスターノが静かにバッハ(たぶん)を弾いて、地続きで自作曲へ。日曜日に行われたスタクラフェスでも披露した曲。YouTubeでは見つけられませんでした。
Ritornello、はリフレインの意。止まる……曲の中で繰り返すフレーズは、前に進めない停滞感なのかな。もしかしたら角野隼斗の「追憶」と曲のマインドが似てるのかも。ループしながら膨れる感じは「ボレロ」にも通じると思った。

Cubana / Tristano

トリスターノが悪戯に繰り出すタンゴのリズムが、妙に芝居じみたいやらしさで耳に絡みつく。甘い誘いに乗りそうで乗らなそうな、涼しい顔でひらりと躱すかてぃんのメロディラインも、別の艶めかしさを醸し出していた。
ライトな感じで例えるなら、トリスターノがルパンで、かてぃんが峰不二子みたいな。
途中、ボサノバとかサンバっぽいリズムにチェンジして、音楽旅行みたいになってすごかった。ちなCubana、はキューバ人女性のことだそう。女性です、たぶんココ大事。

トリスターノの音源はないっぽいのだけど、「Tango Cubano」という曲を雰囲気の参考に貼っておきます。

おまけ:芝居じみていやらしく聴こえたのは、たぶん(いや絶対)コレのせい。昭和を知る人なら知っているであろう、チョットダケヨ。
ちなみにこれもキューバの曲なのです。(自語りですが推しのBuck-Tickはこの曲をアレンジして「TABOO」って曲書いてます。まんまかい)

Foxtrot / Tristano

クバーナもフォックストロットもググったらダンスの種類にもなっているみたい。フォックストロットはラグタイムのリズムから生まれて、チャールストンなどもこの中に入るのだそう。たしかにスウィングの中にチャールストンにも似たステップ感があると思った。スクエアな曲の中にたくさんの曲のモチーフが聴こえたようにも感じ、I Got Rhythm、エリーゼ、あんたがたどこさ、My Favorite Things…気のせい? それとももっと入ってるかな? 
全体的にFrog Swingsのひょうたん島風味も感じたり。ここからあと2時間くらいやりたそうなふたりがかっこよすぎた。
かてぃんの低い弦がべんべん言うのとか、高音の強い超絶トリルとか、配信だと指の動きもよく見えて耳も目も幸せ。

こちらもそのものが見つけられないので、雰囲気やリズムの参考までに。

Bolero / Ravel

曲に入る前、MCでトリスターノのことを「かっこいいでしょ」と紹介してた。はい、すごくかっこいいです。あなたもめちゃくちゃかっこいいですよ。

そしてボレロ。トリスターノが例のリズムをずっと刻み続ける役だった。リズムキープ半端ない。その上に、かてぃんが積み上げてく螺旋のフレーズ。どんどん激しく混沌としてくる渦に飲み込まれるようにのめり込んで、最高潮に達して終わるカタルシスったらボレロにしかないエクスタシーだと思う。水の戯れもだと思うけど、精緻なインダストリアルみが本当にかっこいいし、彼らに似合うと思った。

インダストリアルみとかけ離れるけど、譜面台からドレスから華やかすぎるボレロ動画をどうそ。2台ピアノ版でもよかったけど、演奏の迫力はオケに匹敵してたと思うのでオケ版で。
角野隼斗のガチクラコンサート、これくらい衣装とか設備マシマシ盛ったやつもやってほしいな。クリスマスとかニューイヤーとかね。(イベント時期は行けないけど泣)

ENC: Big Cat ……? / Hayato

リハツイート(ツイート集にあるよ)で垣間見れる4拍子の大猫。4拍子なので最早ワルツではない、ってMCで笑ってた。マツケンサンバ的な陽気なノリで、腰元シスターズを従えた大猫が街中を軽快に闊歩するようなイメージ。途中、「猫ふんじゃった」も乱入して、大猫が猫ふんじゃったハプニングにも。あと、4拍子になったら、前から似てると思ってたヱビスビールの『第三の男』に更に似てた笑。
というか、ボレロでずっとリズムキーパーやってたトリスターノ、またベースでリズムキープ! 肉体強靭すぎ! かてぃんもずっとボレロの旋律やってたあとでめちゃめちゃ指回りまくる。バネ強靭すぎ!

ツイート集

エントランスのポスター

リハ動画(大猫の〇〇)

ブルーノート名物アーティストカクテル

MCでかてぃん曰く、今回アクセントに使用されたスターアニス(八角)は角野の「角」とハヤトの「ハ」に掛けているとのこと。「これを……粋と捉えるかオヤジギャグと捉えるか」と笑いをとってたの最高だった。フォロワーさんと話してたネタが当たって嬉しい反面、私もオヤジギャグの使い手だってことじゃんね。

トリスターノの故郷のワインも!  粋なことするね!

今回カメラはOgata氏ではなく、トリスターノ側のRyuya Amao氏。モノクロの中から確かな体温と息づかいが伝わるアツいライブフォトの数々……。
美しいがすぎる。

トリスターノもツイート。かてぃんMCによると来日20回目で日本酒スキーだそう。特に愛国心って感覚なくても日本語でツイートしていたり親日感あるの嬉しくなる。

終演後かてぃんツイート。Totally amazing moment!!!!!!!
「!」7個は相当楽しかったみたい。

アーカイブもあっという間に終わってしまったけれど、ブルーノート東京は毎回コンサートから切り出し動画を作成してくれるみたいなので、どの曲がくるかを楽しみに待とうと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

20230105追記:Spiceから飯田有抄さんによる公式レポートがでました!
飯田さんの初ブルーノートがこのライブって、なんだかすごい。彼らがライブの前後に語った言葉と、飯田さんの味わった感動とが絶妙に織り交ざった必読のレポです。
個人的に水の戯れに感じた鋭さやブルノ仕様感、ボレロの色彩感など、大好きな飯田さんと似た感覚を受けていたことがわかり二重に感激!


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