【国際フォーラム(配信)LIVE】角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…”
最高すぎた。過去の自分を超える男、最新が最高のピアニスト、角野隼斗。昨日までを遥かに超えてきた。
特にコンチェルトが本当に凄かった。あんなに多幸感に満ちたステージ、見たことない。
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(↑↑↑まとまらないながらも、ひとまず書き上がった文の中で一番言いたいことはココだと思ったので先に引用しておきます)
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今アーカイブ観始めながら書いてますが、今まで最高最高言ってたのは何だったのかっていうくらい最高で、語彙力喪失感ハンパない。どうしよう、小説家目指してる(というか一応片足突っ込んでる)のに笑
もうね、1曲ずつの感想なんて無理だこれわ。きっとたくさんの人が感想あげると思うし、全体観と数曲ピンポイントで行きます。
コンチェルト以外の感想は概ね現地に行けた沼津と似た感じです。でも生で鑑賞した沼津は記憶が曖昧な部分も多いので、アーカイブ視聴しながらレポと比較しつつ補足していこうかな。なので、ご興味持っていただける方は沼津のレポを先にご覧いただくのがいいと思います。→【静岡公演レポ】角野隼斗全国ツアー2022 "Chopin, Gershwin and... "
(ちなみに、沼津公演の曲名表記、パンフレットのデザインに寄せてるんです。気付いてくださった方いますか笑)
ついでに。前日と開演前のも一応置いておきますね。
【国際フォーラム(配信)前日】角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…” ←コ口ナ禍での賭けみたいな緊張の中で開催に尽くしてくれた感謝とか
【国際フォーラム(配信)開"宴"前】角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…” ←こっちはガーシュウィンの予習もできるので割とオススメ
では!
【第一部・オープニング】
オープニングは2021年6月のブルーノート東京~10月のショパコン直後までを振り返った映像から。浜離宮のシーン、アーカイブ静止してガン見したら自分の頭がうっすら確認できました。自分の行った公演が映像になる事なかったので、同じ時代に生きてる感が押し寄せて嬉しい過ぎる。ショパコン後の記事でチラっと出ていたストリート演奏の様子もあって、懐かしさと新鮮さが入り混じって超興奮。ギリギリまで高めてきますね、この人は。これ国際フォーラムだから横の大画面でも映されてるんだよね、会場の後ろのほうから全体見たい欲がすごかった!
映像が終わってステージのカメラに切り替わると、オーケストラセットの奥にアップライトピアノが見えました。自宅から持ってきたんだーいつ弾くんだろう……。と思いつつ、かてぃんさんは入場して間をあまり開けず弾き始めたので、グランドピアノの方に集中。
はじまりは「華麗なる大円舞曲」、MCをはさんで「大猫のワルツ」。
どっちもすっかりレパートリーになってるなぁ。「華麗なる大円舞曲」は、まさに華麗。ショパコンより少しテンポゆっくりに感じた。沼津のレポでは『歌曲 : エフゲニー・オネーギンのポロネーズ』を思い浮かべたと書いたけど、たぶん会場にいた高揚感と迫力だったんだなと、今日は純粋に「華麗なる大円舞曲」として堪能した。それでもやっぱり最後のほうのオケ感がすごくて、まだステージにはいないはずのオーケストラがいるみたいに厚く鳴って圧巻でした。
曲間のMCで「5000人って……すごいですね」とか他人事みたいにSUGOIって顔して会場を見渡したかてぃんさん。全部あなたのお客さんですから! ってツッコみたさMAX。
ところでタキシードがね、ショールカラー(弓のような丸い襟)であんまり見たことない気がした。今日のために新しくしたのかな? とも思ったけど、もしかしたらツアー中の前半はいつもコレだったのかもしれないとも。( 訳:かっこよ……。
【第一部・「胎動」】
そして、このツアーで初披露の新曲のうちのひとつ「胎動」が始まった。ショパンのエチュード10-1が元になってる。(参考:YouTubeライブで10-1とアヴェ・マリアの間にちょっとあるかも?)
引用ですが実際はもっと長いです。
今日の胎動は沼津より跳ね回るほうの胎動な感じがしました。引用をなぞって比較するなら、もう土の中で発根や発芽が始まっているような、そんな感じ。立春過ぎたし、かてぃんさんも春なのかも? 違いますね笑
たぶん、ファイナルを無事に迎えられたことで、一切の心配がない演奏だったんじゃないかなって思いました。あとは、もうお腹の中でちゃんと育ったから、いつでも生まれることができるよっていう感じの安心感。
これこれ。かてぃんさんは、ずっとたくさんの人に見守られて、ここまでやってきて。もちろん既にプロのピアニストなんだけど、気持ちの上で本当に独立できたんじゃないかなって。
終演後にたくさんの関係者が画像をアップしていて、ああ、かてぃんさんはきっと「ここまで来られたのはあなたのおかげです」と、お世話になった人たちを招待して自分の姿を見てほしかったんだろうな、とも思いました。2021年の集大成には、そういったお礼や感謝がいっぱい込められているんだなと……沼津より温もりと柔らかさが増した「胎動」を聴いて感じました。
「奏鳴」との違いも、あの頃はまだ「生まれたい、ここから踏み出したいんだ!」みたいな魂の衝動系胎児を感じたけど、今日の胎児はなんかもう胎児のプロ。ああ、いつでもいいっすよ的な余裕のある胎児感(伝われ)
その後のマズルカ、木枯らしもかっこよかった。(語彙力どこいった)マイクが弦のとこにあるから大好きな弦の音もたくさん聴こえてご満悦。でも弦の音、会場だともっと風圧みたいにくるんだよなぁ。やっぱり生で味わいたいなぁとも思うのです。だって生の角野隼斗ほんとすごいから。
【第一部・「追憶」】
たぶん今、一番好きな曲。好きというか、このツアーで一番刺さる曲です。
これを……アップライトで来ましたよ。
会場では静かにしていたかったから沼津は我慢したけど、今日は家なので遠慮なく泣かせてもらいました。というかアップライトピアノでこれをやられたら泣くでしょ。しかも、記憶違いでなければ、
の「あの瞬間」が。剥き出しになったピアノの弦を何度も引っ掻いて、傷口を抉るみたいで、自傷の代理行為に見えた。ピアノは角野隼斗自身なのかもしれないと感じて苦しくもなった。(もし「あの瞬間」って何? ってなった方はTwitterにDMくださればお伝えします……)
バラ2メインの中、マズルカ風ロンドを見つけた。他にもショパンが入ってるのかな。なんとなく抱きしめてくれたルイサダ先生かなと感じました。同時に、ポーランド語のイントネーションでもあるこのフレーズから、この曲に大切な「ショパン」「ワルシャワ」が込められてるんだなぁとも。
ちょっと話が前後してしまうけど、曲の始まりにアップライトの隣のスタンドライトがゆっくりと点滅したとき、ショパンの霊が呼んだ的な演出かなと思いました。かてぃんさんが弾き始めたらショパンの部屋みたいに感じて、沼津の時は単純に「ショパコンの頃の角野隼斗」を追憶しているのだと思っていたけど、この演出でショパン自身の追憶にも感じました。
浅い知識だから間違ってるかもしれないんだけど、ワルシャワを離れる前まで住んでいた部屋にあったのはアップライトピアノで、ショパンはそこでピアノ協奏曲1番を作曲したらしくて。サンドとの暮らしでもアップライトあったみたいだし、今ステージの上にあるこの空間はショパンの部屋で、ここにいるのは回想のショパンなんじゃないかな、みたいな感覚にもなりました。
ショパン自身の部屋でアップライトに向かうショパンと、かてぃんさんが重なって見えた、という感じ。
陽キャと陰キャの両面をおんなじくらいの分量で併せ持つかてぃんさん。きっとショパンとよく似てる。
ああ、やっぱりまとまらない。しかも感想が暗い! だけど後期マズルカと併せて、やっぱりレクイエムに聴こえる。ショパンのワルシャワへの想いや、添い遂げられなかったいくつかの恋心への追憶のレクイエム。そして角野隼斗の、過ぎ去った熱い日々と想いへの追憶のレクイエム。
勝手な想像に過ぎないけど、私にはやっぱり沼津と同じくそんなふうに聴こえました。アップライトの音色がより内向的で、マズルカの場末感もマシマシで、むしろ沼津より痛みを感じたくらい。今、この背中に触れたらダメなんだなと。
ショパンの部屋でひとり向き合った「追憶」との対比もあって、グランドピアノに戻った「ソナタ2番」は、大舞台に映えるコンサートピアニストの角野隼斗が際立ったと思います。
かてぃんさんきっかけでいろんな人のソナタ2番聴いたけど、これが一番しっくりくる。きっと優劣ではなくて、なんなら好き嫌いですらないかもしれない。脳が角野隼斗の音を覚えてしまっているからだとも思う。動物の母親が我が子の鳴き声を区別できるのと同じような笑
でもそれはつまり、そのレベルで離れられないということ。ソナタだけじゃなく、他のショパンも角野隼斗じゃなきゃだめな耳になってしまっている。
きっとこれからも、いろんな作曲家の曲を弾くと思うし、自身でも曲を書くでしょう。必然的にショパンばかり弾いているわけにはいかなくなると思う。でも、時々はコンサートでショパン弾いてほしいです。
【第二部・前半】
休憩の後はショパンからガーシュウィンに変身。ジャケットを替えて、シャツの裾をだしてラフに登場。ヘアセットも別バージョンになってる!
なんとプログラムにない「I got rhithm」からスタート。これ東京公演だけの人にとっては嬉しいサプライズだったんじゃないかな。もちろん何度だって聴きたいから、私も嬉しい!
続いてMCのあとオリジナル曲「ティーン・ファンタジア」披露。少年の冒険心を忘れたくないという思いでツアーのために書いた曲だと解説があった。これ、沼津の時は聴いた途端に家で留守番してるはずの子供たちが飛び出してきて、本当に子供心全開の曲だなってびっくりしたんですよ。以下、沼津からちょこっと引用。
沼津の演奏をちゃんと覚えていないのだけど、跳ね感成分が沼津よりも多い気がして、コンサート感とかガーシュウィン感が増しているように思いました。冒頭、もっともっとトトロ系だった気がするんです。もう少し……全体的にも整然として映画音楽っぽかったというか。きっと今日はコンチェルトもあるしで、ガーシュウィン増量キャンペーン実施中だったんだと思う! この曲も本当に好き。
【第二部・コンチェルト】
そしてコンチェルトですよ! 「Piano Concerto in F」。もうね、これが本当に本当にすごかった! マエストロここエンター・ザ・ミュージックで放送しようよ!(関西フィルじゃないけど!)って思いました。今も思ってます! 冒頭にも書いたけど、こんなに幸せなコンチェルト、というかオケ、見たことないって思いました。
今回の指揮者、藤岡幸夫さんは私の初生スミノが叶った時に振ってくださっていた方。群響のうねるフルスロットル、すごい体験だったんですよ。あれがまた体験できました。藤岡マエストロの指揮はなんというか、『古き良き時代』を知るギリギリの世代の音がする気がします。私の子供時代(バブル期)に母に連れて行ってもらってた頃の重厚絢爛なオケの音を感じるんです。重力もすごくあって。だから今どきな角野隼斗と組むとすごく面白い。ガーシュウィンのいた時代の延長線上の空気を持つマエストロと、あの時代に新しい風を呼び込んだガーシュウィンと同じ立ち位置の角野隼斗なんです。たぶん。
かてぃんさんが「サッチー!」とか呼んでて、お互いに大好きアピールして、なんだよ仲良しかよ! とかなりつつ、コンマスもマエストロと縁の深い近藤薫さん。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。
マエストロが「すごい! すげー! クラシックのコンサートでこれだけ……5000人いっぱいっていうのは」と大興奮してるのが嬉しかったなぁ。藤岡さんも、かてぃんさんと同じく観客が盛り上がってると呼応してアツくなる方面の人だと思う。だからある意味、1000人2000人のホールじゃなくて5000人の国際フォーラムだからこその演奏でもあったんじゃないかなと思います。1万人入れたらどうなるんだろうとか想像してワクワクもする。みたいな、次は武道館やっちゃいますか。音響も昔より良いっていうし。
あとオケ聴くたびに思うのは、オケのチューニング、好き。
キレッキレのティンパニーから始まって、約70人編成のオーケストラが鳴り響く。気持ちいい、もうこれだけでいいくらい気持ちいい。
こんだけ既に気持ちいいのに、低いところからピアノが入ると、圧倒的主役感にゾクリとさせられた。しかもそこに続くメロディが、甘い。
角野隼斗の甘くない甘さが大好物なんです。でも今回のかてぃんさんは思ってたのより糖度が高めで、オケがどんどん盛り上がって行く中を色っぽいジャズシンガーのお姉さんが横切るみたいな艶めかしさも感じましたよ。目眩するわこんなん。
甘くない角野隼斗が好きなんて嘘ですごめんなさい。角野隼斗がくれる音なら角砂糖何個分でも大好きです。
配信だと指がよく見えて、時々かてぃんさんが面白い指使いで鍵盤を弾いてて、それがすごく良い音して面白かったり。いつも思うけど、電子制御でもない88鍵からなんであんなにいろんな音色が生まれるんだろう。もちろん見ればいろんな指使いや力加減があるのはわかるんだけど、その効果がてきめんなのが本当にすごいなと思います。生には到底敵わないけど、配信でも多彩な音を堪能しました。
あとめっちゃ最高だったのが第1楽章終わりの時に湧き上がった拍手。クラシックコンサートのいわゆるマナー的には楽章ごとには拍手しないのが基本みたいな感じなので、割と素人扱いされてしまいがちなやつなんですけど。これはしちゃうでしょ、こんなアツい演奏聴いたら。
藤岡マエストロが以前Twitterで書いてました。
例えばこの曲でも2楽章と3楽章の間に拍手挟まれたらちょっとアレかもだけど、聴いてればそこは違うとわかるし、この1楽章の終わり方はもう「ここで拍手」ってテロップ出てるでしょ、音のテロップ。ジャッジャーンって。
少なくともサッチーとかてぃんが組むコンサートでは全然OKてことですね!
話は曲に戻って、かてぃんさんお気に入りの第2楽章。手持ちピアニカが管楽器奏者の如くの息づかいでブルージーな艶めかしさを醸し出す。かと思うとピアノは自由ながらも紳士的でエレガント。この温度差は計算ずくなのか笑
ちなみに、ステージ上でこの瞬間いちばん低価格な楽器を手に持ってるのまさかのソリストさんじゃないでしょうか。ピアニカすごいな! いま君が主役だよ!
時折、弾き振りのような指パッチンのような仕草も混ぜながら、オーケストラの音楽の中を泳ぐピアノに耳が釘付けでした。
第2楽章は、ピアノといろんな楽器のソロパートが掛け合いしてセッション感もすごくあっていい。Play with Cateenって感じだ。
第3楽章は私が大好きな角野隼斗の弦の音を堪能できる楽章! 入りの大河ドラマみたいなのも好き。戦国武将系じゃないですかなんとなく。
ああ、本当にこの音が好き。バネみたいな、鞭みたいな、しなる弦の音。そして絶頂に向かって駆け上がるオケとピアノが本当に最高。この楽章がいちばん好きかも。
椅子から落ちるんじゃないかって勢いで弾き終えると会場総立ちで万雷の拍手。すごいすごい。そう、これが見たかったんです!
最高すぎませんか。曲中マエストロとのアイコンタクトも何度かあって、信頼しあっている表情がすごく良かったし、途中、何度もラプソディ・イン・ブルーが聴こえたり。ラプソの中に一瞬NATSUMONOGATARIが聴こえたかも……。
そして終わればこの拍手。サッチーや近藤さん、オケのメンバー全員が挨拶して、それをソリストが見送る。めっちゃ貴重な図を見ました! 本当に最高でした! また語彙力どっかいった! なんだろうこの……祝祭感っていうの? 曲が終わったところで特効が来たみたいな興奮が湧き上がった。特効、わかりますか? 特殊効果とか舞台特効といって、カラースモークとかもそうなんですけど、ここでいう特効は火薬とかバズーカとか使うような大仕掛のほう。
実際にはなんの特効もやってないのに、金銀吹雪のバズーカ砲を発射したみたいなドッカンって衝撃が胸にきて、ステージがキラキラ輝いて見えました。たぶんお客さんの割れんばかりの拍手と、ステージ上にいる奏者たちの高揚した表情がそう見えたってことなんでしょうけど、あんなに幸せに満ち溢れたステージを見ることって滅多にないと思います。
大きなスタジアムのツアーファイナルみたいな規模感もあったし、幸せが大爆発して金銀吹雪が風圧ごと画面から飛び出してくるくらい、溢れ出てました。あー! なに言ってもたぶん見た人にしか伝わらないなこれ。ぜんぜん言い表せない!
とにかく、角野隼斗には幸せが似合う! ずっと笑っていてほしいし、愛されまくっててほしい。大きな大きな愛の中で、音楽を育んでほしい!
そうか、第一部で「胎動」していた胎児が、いま生まれたんだ。
書いててすごく腑に落ちた。
世界中に祝福されて、この瞬間、音楽の御子が生まれたんだ。
おめでとうございます!!!!!
【アンコール】
反則のアンコールでした。
あんな楽しいガーシュウィンのあとで、独りになった角野隼斗が選んだピアノは壁のアップライトピアノ。曲は「ショパン ピアノ協奏曲1番」
第2楽章でした。
ショパンの部屋から聴こえるアンティークな音色は、優しく、だけど物悲しくて。
あれだけアレンジしてどこからどこまでがカデンツァだったのかみたいな演奏のあとで、大きなアレンジを加えないショパンを大切そうに、愛おしそうに弾いてる背中。「追憶」のときと同じで、触れられない聖域の中にいるように見えました。
ワルシャワの、コンチェルトの亡霊みたいだと思った。でもそれは角野隼斗の気持ちなのか、そう感じている自分なのか……。私はワルシャワのホールに響く角野隼斗のコンチェルトを聴きたかったし、かてぃんさんはきっと私なんかよりもっともっと強い想いで弾きたかったんだと思うけど、それは私の中にある想像上の角野隼斗であって、本人に確かめた気持ちではないわけで……。
なんて悶々としながら、「追憶」の時にアップライトピアノのある場所はショパンの部屋かも、と思ったことがまた浮かんで、呟いたんです。
そしたら終演後、かてぃんさんが答え合わせのように……。
かてぃんさんの意図や想いを、一部でもちゃんと受け取れていたんだと分かって嬉しくて。これ、泣いていいやつですよね!
だからというのは少し乱暴だけど、コンチェルトの亡霊も、「追憶」の解釈も、大外れってことはないんじゃないかなと、思うことにします。
ショパン自身にとってのこの曲は、説によると「ワルシャワを離れる時に告別と飛翔の意味を込めてピアノ独奏した」ものだそう。
いやもう、そのまんまじゃないですか……。ワルシャワと、2021年との告別、そしてこれからの飛翔……。ああ、無理……。抑えられませんねこんなの。
この孤独な第2楽章、実は始まる前まで、もしかしたら東京フィルと藤岡さん呼ぶなら1番単楽章アンコールあるかもって少し思ってたんです。でもやっぱり違うよね……いくら華やかにやっても代わりにはならないし。
実際こうして聴くと、この孤独さが今の1番なんだなって思います。いっそ世界に呼ばれるまでフルオケで1番は弾かない! くらいでもいいと思います。あ、でも世界じゃ聴きに行けないから、そのあとでいいので日本でも弾いてください! と、この場を使ってお願いしておきます。
(追記:世界に呼ばれてました笑→ポーランド国立放送交響楽団来日ツアーのお知らせ)
はい! 湿っぽくなったけど、やっぱり「子犬のワルツ」はお土産タイムでした! 配信もスクショ&拡散OKとのこと。リアタイ中は夢中でスクショできなかったので、さっきいっぱい撮りました。ありがとうございます!
そういえば、ピアノの屋根にカバーかかってましたね。ホールのピアノってみんなツヤ消し(オケ側に反射しないように)になってるのかと思っていたけどそうでもないのかも?
MCでは共演者やスタッフ関係者、お客さんへの感謝を伝えてくれてました。「陳腐に聞こえるかもしれないけど音楽は楽しいってことを僕は伝えたい」というようなことを話していました。そう、音楽は楽しいんですよね!
苦しいこともあるし、今は特に困難な状況もある。だけど音楽は楽しい。これなんですよね。シャッター音とスマホのライトの中で駆け回る子犬のしっぽが、とても楽しそうでした。
最後の曲はソロ公演と同じく、「英雄ポロネーズ」でした。
なんもいえません。なぜなら角野隼斗の英雄ポロネーズが宇宙一好きだから。
こういうとき弾く英雄って、どんな気持ちなんだろう。沼津の英雄も美しかった。でも今日の英雄はもっと、凛々しかった。毎回だけど休憩はあっても2時間弾き続けた最後の力を込めて、振り絞って、噛み締めるような渾身の演奏に胸を打たれます。
サントリーホールソロの英雄は、聴き比べると出陣みたいな英雄で、今夜のは終わりというか、区切りの音がする。第一部の感想でも書いたけど、きっとショパンとはしばらくお別れかな。もちろん家ではいくらでも弾けるけど、大きなホールでは。
音楽の神様は、ショパンが角野隼斗を独り占めすることを躊躇った。いろんな作曲家が「俺の曲も弾いてもらわないと困る」って神様に詰め寄ったかもね。人気者は大変だ。でも少し離れて再会した時は、きっと今とは違う新鮮な気持ちでショパンを弾くことができるんじゃないかなと思います。
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ツアー中ずっと「楽しかったーーーー」みたいな終演ツイートをしてきたかてぃんさんのファイナル終演ツイートはこんなだった。
私みたいな深読み厨は、こういうのに弱いんです……。まるで自分に言い聞かせるみたい。自分の屍を乗り越えるみたいな宣言にも見えて……。でもうん。かてぃんさんが言うならそうだね、前に進もう、私も。
(2/25追記:後からだんだん、上みたいなのだけじゃなく周囲への感謝が胸に押し寄せてて多幸感で感無量すぎて真面目モードになったのかもとも思ったり。どっちみち想像でしかないので自分の印象として両方書いておきます)
前へ。未来へ。もっと広い世界へ。時々は立ち止まって素敵な景色を見渡して、振り返って追憶したりしながら、かてぃんさんの創る未来を見せてください。楽しみにしてます!
最後に。乗り越えたといえばコレでしょ。
この曲の歌詞、1番では少し上手くいかなかったり、まだ力をためている最中だったり、思うように出し切れない姿が描かれていて、サビ前でかてぃんさんの左手は躊躇いを見せるように引くんです。
でも2番は準備できたよ、行くよ、飛ぶよ! って歌詞に変わって、同じ箇所でかてぃんさんの左手が力強く鍵盤を叩いて音がジャンプするんですよ。
ツアーファイナルのかてぃんさんは、まさにこの左手でした。思いっきり飛びましたね。英雄ポロネーズを弾き終えて拍手を浴びる姿が晴れやかで、清々しくて、凛としていて、本当にかっこよかったです。
カーテンコールで会場を仰ぐたびに目を赤くして潤ませてる姿は、惜別と新たな船出を感じました。最高の一日でしたよね、最高のツアーでしたよね。完走できた安堵とか、終わりたくない気持ちとか、他にもきっと混ぜ混ぜですよね。
幕が下りたら。その気持ちを胸に、次のステージに向けて思い切り飛んでください。あれ、いつのまにか手紙みたいになってる笑
とりとめのない感想文にお付き合いくださり、ありがとうございました。まとまりないし、アーカイブで気付いたこととか、ちょいちょい追加したり直したりするかもしれませんが、いったんこんな感じで〆ます。
2/23追記 : アップしてから2000字くらい増えました笑
まだまだアーカイブみたら書きたいこと出てきそうだけど、明日は読響だし、その後はPenthouse! 前に進むかてぃんさんの速度が早くてライブの鮮度が落ちちゃうので、この辺にしときます。(とか言いながらどうしても書きたくなったら増やしちゃうかもですが)
配信はアーカイブもあります。3/5まで!