【角野隼斗】共演したオーケストラ(海外オケ編)


明けましておめでとうございます。2023年のnote書き初め!

何書こうかなと考えても、寝ても覚めても角野隼斗の寿すばるです。彼を書くより他ないのですが、角野隼斗の音楽がいかにカッコいいかは去年までで散々語っているので、今年は別の角度でいきたいなと思っています。

そこで、かてぃんさんのこれまでの活動を少しずつ小分けに整理しながら、共演の皆さまのことをもう少しちゃんと知ってみたいなと。

かてぃんさんとの共演をきっかけに、ピアニストだけでなく、オーケストラ、指揮者、他楽器のソリストなどなど、たくさんの音楽家を知ることができて、音楽の、クラシックの世界がどんどん広がっていくのが楽しいんです。

なお、私がちゃんとファンになったのは2020年のはじめ頃なので、それ以前の情報はネット上に現存しているものだけになっています。
※抜けていたり間違いがあったら教えていただけると嬉しいです。


国立ブラショフ・フィルハーモニー交響楽団(2016)

Orchestra Simfonica Filarmonica Brasov

2 iunie 2016

Posted by Filarmonica Brasov on Tuesday, May 31, 2016

知ることができる限りでは、かてぃんさんにとっての初めての海外オケかと思われます。共演した曲はラフ2。プロフィールに以前から共演経験として記されていて、まだそんなに活動していない頃から実績に海外オケがあるのすごいなーって思ってました。

ちょっと話が飛びますが、人生の大きな転機となるピティナ特級のグランプリ受賞は2年後で、受賞後のインタビュー記事「ピアノコンチェルトを弾かせてもらうのは人生でこれが3回目」とありました。検索してみると、特級前で記録が残っているオケ共演は、ピティナの入賞者記念コンサート(25名ほどの室内楽団との1楽章のみ)と、この公演でした。
ピティナのが初めてのオケ共演とすると、これが2回目のオケ共演で、もしかして人生で初めてのフルオケ全楽章コンチェルトが海外オケですか?

この公演のあと、かてぃんさん「この何年かでいちばん楽しかった」と興奮気味にツイートしていて、「オーケストラと一緒に弾くのがいちばん好き」と言う角野隼斗が爆誕した公演でもあるのかも。
楽しいことたくさんの20歳頃にいちばん楽しかったのがオケとの共演だなんて、進路のこと考えてるとき頭の中ぐるぐるになりそう。ピアノは趣味でもずっと弾けるけど、ハイレベルのオケとずっとコンチェルトするためには、コンサートピアニストの中でもトッププレーヤーで在り続けなきゃいけないわけですから。狭き門すぎて震えますね……。

フルオケとの共演という快感を経験せず、特級を受けるか否かの前に立たされたとしたら、選択は違っていた……? そんなたられば、知る由もないけれど、音楽を諦めたくない気持ちを強くしてくれたオーケストラ、かもしれないな、なんて思いました。

動画は同オーケストラのラプソ。(ラフ2はこちら)あああ、これが初めてのフルオケなんて、絶対に楽しい! 他も聴いてみた感じ、細部に気を配る系というよりは思い切りの良さが気持ちいいタイプのオケのような印象を受けました。今でこそNOSPRとオルソップとのときのような、緻密な美しさを味わいながら楽しむのも良きだと思うけど、初めてフルオケの中で弾くっていうときに、このオケと思いっきり弾けた経験って、すごいナイス出会いじゃないかと思わずにはいられません。この場に居合わせたかった……!


ブリャンスク州立交響楽団(2019)

Bryansk Governor's Symphony orchestra

このオケとの共演は、3位を受賞したリヨン国際ピアノコンクールのファイナルでのショパンコンチェルト。
このとき1位を受賞したヨンミンさんとは、ショパコンでも競い合いました。

こちらも公式チャンネルがあったので、かてぃんさんに縁のある曲を貼っておきます。かてぃんさんにとって、このオケは国際コン入賞と共に思い出に残っているかな。
ファイナルの会場は教会でした。かてぃんさんの思い出の中にある教会の響きを聴いてみたいと思わずにはいられません。(セミファイナルの演奏はこちら


ハンブルク交響楽団(2022・2023)

Hamburger Symphoniker

年越しも一緒に過ごす東急ジルベスターほど大の仲良し、鈴木優人マエストロとの海外公演。ほぼノープランでヨーロッパ旅行に行ったら公演直前に出演の話が来たという、逸話つきの共演。
もともとの出演予定だったNicholas Angelichのキャンセルにより、バルトークを弾けるピアニストということでお声がけがあったようです。

ハンブルク響とかてぃんさんは特に接点を持っていなかったと思うので、誰にしようかの談で優人マエストロが名前を挙げてくださったのかなと、なんとなく思っています。ソリストの決定権って、誰が持ってるんでしょうね。

急遽出演決定の知らせがエイプリルフールだったのには笑ってしまいました。さすが角野隼斗、笑いも感動も持ってる。

ということで、ファンはショパコン後の初海外オケとの共演に沸いていたわけですが、ご本人はバルトーク3番を全楽章弾くのはこれが初めて。(蜜蜂と遠雷コンサートで第3楽章だけの経験)バカンスのはずが練習室に籠る日々となり、なかなかハードだったかと。

現地からのラボライブ(YouTubeの有料会員コンテンツ)で練習配信があったり、マエストロやオケのSNSからも現地の様子が次々ポストされて、ワクワクでした。

チケットの売れ行きも良くて、ネットで見ていたら毎日どんどん売れていました。日本の都心部のような即完売、とかではなかったけど、当日までに完売って感じでした。

現地邦人含め、たくさんの観客とオケが笑顔で大盛り上がりしたみたいです。アンコールの様子が少しだけ見られます!

この他にも、ハンブルクやNYでスタインウェイの工場を見学したときの様子など、ヨーロッパ滞在の記録が残っていますのでぜひ。

さてそんなハンブルク響の公式チャンネルはこちら

動画の1時間頃からアルゲリッチの演奏もあります。このオケ、長くアルゲリッチとの親交があって、アルゲリッチ音楽祭というのもあったりします。
かてぃんさん、この年の音楽祭に遊びにいったりできるかな? と密かに思っていたけど、忙しすぎてそんな時間はなかったみたいです。
年末頃になって日本でアルゲリッチに会えた感動をツイートしていたかてぃんさん、今度の音楽祭にはぜひ出演側で行ってください! と願いを込めて書いておきます。

そして、この時キャンセルになったNicholas Angelichですが、悲しいことに、しばらく後で訃報が届きました。私はこの方を知らずにいましたが、とても素敵なピアノを弾く方で。かてぃんさんをきっかけに知ることができて良かったと思います。音色も勿論ですが、椅子に頭が付くほどのお辞儀が尊い……。天国での安らかな憩いをお祈りいたします。

あとこのシンガポール交響楽団も素敵だなぁと。かてぃんさんシンガポール公演も大盛会だったようなので、ぜひ共演のお呼びがかかるといいな。

追記:2023年、ハンブルク交響楽団の来日で再共演!

しかも誕生日を含む2公演!

きっとまたドイツでも共演ありますね!Bravo!


ブダフォク・ドホナーニ管弦楽団(2022)

Budafok Dohnanyi Orchestra

こちらとの共演は、ハンガリーのブダペスト。演奏はラフ2。
オファーのきっかけはショパンコンクールだったそうです。
このAdam Gyorgy AcademyはNYを拠点にピアノ教育を行っていて、代表のAdam Gyorgy氏は日本映画の音楽も手掛けていたりもします。

演奏前後の様子をインスタストーリーなどで知ることができたりして、直前までの大雨から見事な青空が戻るという晴れ男っぷりも、現地からのお知らせで知ることができました。コンサートピアニストに大切な「強運」「ドラマ性」もバッチリ証明して、本当に持ってるなぁと。

なんと! かてぃんさんのインスタハイライト(ストーリーのアーカイブ)で本番の様子が今も少しだけ見られます。(2023年1月現在。最後から4枚目と3枚目くらい)
現地からのインスタライブもあって、こちらもアーカイブでおしゃべりやピアノ演奏が聴けます。

オケも素敵。かてぃんさん繋がりの『主よ、人の望みの喜びよ』グルダみたいなジャズオーケストラアレンジを貼っておきます。(ねぴらぼ2で聴いたラリーカールトンの『Room 335』もちょっと思い出したり)この公式チャンネルの他に、ドホナーニ音楽アカデミーのチャンネルもありました。未来のオケメンになるかもしれない人材を育てているのですね。

ポーランド国立放送交響楽団(2022)

Narodowa Orkiestra Symfoniczna Polskiego Radia w Katowicach

もう、現在進行形の角野ファンには何の説明も不要なポーランド響、NOSPRです。私のような角野オタクにとっては、『角野隼斗のショパン協1番をもたらした』神様のようなオケ。足を向けて寝られない存在です。

演奏については……この動画を貼ったらもう、なにも語らずとも、かな。

でもでも、かてぃんさんとの共演の他でも、興味深いことたくさんしてるんです。たとえばこんなのとか。

あと宇宙に音楽を送ったり。

9月のツアー中は、公式インスタやTwitterで様々な情報を発信してくれたり、ファンのポストにも丁寧に反応を返してくれたりと、とてもフレンドリーで、私が実際に行けた公演は勿論、感想からも、全公演が確かな品格とアットホームさの同居する幸せすぎる空気に包まれていたように思います。

ファイナルのためにキャンディード序曲(Ca(teen)ndide Overture!!)を編曲してくれたNéstor Bayona氏をはじめとしたオケ関係の方々が、今もかてぃんさんのインスタに反応していたりして、素敵な関係が続いているようです。

あとやっぱり忘れられないのは、打ち上げで歌われた『Sto Lat』ですね。漫画『ピアノの森』作中で主人公カイが優勝した時に歌われた曲です。残念ながらインスタストーリーだったので残っていないようですが、皆さまゴキゲンで、かてぃんさんが「またお会いしましょう、きっとポーランドで!」と挨拶したらオケメンが「Wooooooow!!!!!!!!」って大盛り上がりでした。
100年(100歳)的な意味で、お誕生日やお祝いの時に歌われるそうなので、歌=優勝というわけではないのですが、角野隼斗がポーランドのオケメンから歌われ祝われるっていうのは、かてぃんさん本人も嬉しかったと思いますし、ファンにとっても、この上ない喜びでした。

ソリストにこんなお祝いの歌を歌ってくれるオケ、最高オブ最高が過ぎませんか。共演以来、チャンネル通知がくるたびに観に行ってます。この時の指揮をしたマリン・オルソップも時々登場したり、今は新しいパイプオルガンが完成して素敵な動画が上がってきています。絶対また共演してほしいです。次はポーランドで!

高雄市交響楽団(2023)

Kaohsiung Symphony Orchestra

こちらは台湾での共演。去年の10月リサイタルツアーであっという間の完売を受けてのご縁でしょうか。告知にも「甫於2022來台,達成全台票房秒殺的日本鋼琴新星-角野隼斗再度受邀」と書いてあります。(雑訳:去年の来台ツアー秒殺で完売した日本のピアノスター角野隼斗をまた呼んだよ)
こちらのチケットも先日発売になったばかりなのに、もう残り僅かになってます。
演奏するのは「藍色狂想曲」。読める、読めますよね、日本語だとラプソディーは狂詩曲ってなるけど、余裕でラプソ。
20230115追記:もう1曲!
拉赫曼尼諾夫:帕格尼尼主題狂想曲,作品43
Serge Rachmaninoff: Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43
と記載あるの抜けてました。パガニーニもなんですね、益々いいなぁ
(Special Thanksフォロワー様)

オケの音って、指揮者の作り方でも変わると思うので、公式チャンネルで共演予定と同じ組み合わせを聴けるってすごく幸運なことだと思います。
会場も同じ。しかもガーシュウィンじゃないけど近めのラヴェル。

個人的にすごく好みのタイプなオケっぽくて、桐生で藤岡幸夫マエストロと初共演した時群馬交響楽団みたいな印象を受けました。個より全体がひとつのまとまりとして成り立っているような、ちょっと主張大人しめかな?と思いきや「主張しないことを主張しています」とでもいうような意思の強さがあって、なんとも気品ある演奏だと感じます。聴きに行ける人、いいなぁ。たくさん感想を読みたいし、公式チャンネルにアップされたら最高なんですけどね、淡い期待にとどめておきます。

以上、6つのオーケストラを、かてぃんさんの公演と共にまとめてみました。お好みのオケがあったら、公式サイトやYouTubeチャンネルをチェックしてみてください。

読んでくださり、ありがとうございました!
2023年も、どうぞよろしくお願いします!!


以下、随時追加分です

ブルガリア国立放送交響楽団(2023)

Bulgarian National Radio Symphony Orchestra

共演の指揮者、コンスタンチン・イリエフスキーと共に演奏している動画がありました。ざっくりカテゴライズするとしたら、日本よりはポーランドのオケに似た方面のカラーを感じます。少し灰茶がかった重さと渋さが日本ではあまり聴くことのない雰囲気で、中・東欧の作曲家たちはこういう音を聴いていたんだなと思わされるというか、歴史を感じます。

公演の告知動画

この公演はブルガリアの独立記念日(115周年)を祝う趣旨で開催され、国営ラジオでライブ放送、独立記念日(9/22)には国営テレビでの放送という、なんとも規模の大きい公演でした。
しかもラジオは全世界に向けウェブラジオで公開され、私も聴くことができました。感想は機会があれば……ほんっとうに素晴らしかったです!

そしてなんとアンコールはブラジル国歌(角野隼斗版)
その様子はコンサート直後に国営通信が記事にして、コンサートの模様を捉えた写真の数々と共に動画で公開されました。

何気にかてぃんさんのショパンコンチェルトがテレビで放送されるの世界初ですよね、初の放送が海外とは……さすが世界のHayato!
NHKさんまだですか?笑

公演詳細はこちら


ボストン・ポップス・オーケストラ(2023)

https://www.bso.org/pops

アメリカのボストン交響楽団を母体としたポップス専門オーケストラ

日本での公演に先立ち、急遽オファーでゲスト出演することになったそう。
別日に同じ企画に出演する服部百音さんも!

追記が遅くなってしまいました…20240526
作成時以降の共演を追記していきます。まずはボストンポップスとの共演映像から。

NHK WORLD NEWSの記事から3楽章まるごと聴けます。資料室に訪れた映像なども。(英語記事)

しかも、2024年4月には共演がきっかけと思われるニューイングランド音楽院での講演もありました。この音楽院はボストンに所在していて、ボストン交響楽団とも提携して音楽の文化を担う若者を育成しているところです。
前年9月の共演から半年。今を生きる音楽家として学ぶべきものがあると歓迎されたということで間違いないと思います! 1度の共演で信頼関係を結べるのが引く手あまたの人気に繋がっているのだろうなぁ。


ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(2024)

Royal Scottish National Orchestra

スコットランドで130年以上の歴史を持ち、YouTubeでもたくさん動画投稿して時代の流れにも敏感なオーケストラ

このオーケストラとの共演は、突然のニュースでした。3月にソニークラシカルとワールドワイド契約を結んだことで、海外オーケストラとの共演頻度も加速するのでは、と思った矢先のことです。

4月にロンドンデビュー! しかも、場所は「あの」ロイヤルアルバートホールというではありませんか!! クラシックの殿堂であるだけでなく、世界中からロックミュージシャンがライブを行う聖地です! 角野界隈ではBBC Proms (Japan)で知られている場所ですね。クラシックコンサートを行う会場としてはかなり広い6000~8000人を収容できる大きなホールです。

コンサートは公演のあとでラジオ放送され、日本からもストリーミングで聴くことができました。あまりにも痛快な速度、初めての国とは思えないほどリラックス&エキサイティングなカデンツァ、会場からの拍手喝采……音声だけでもロンドンデビューの大成功を感じることができ、とても幸せでした。

そして演奏中のちょっとしたアクシデントが指揮者のベン・パルマ―氏のツイートによって拡散され、かてぃんさんのデビューを祝う記事でのメインコンテンツにもなりました。この短いハイライトはYouTubeでもすぐに公開されました。

そして! 昨日! 待望の動画公開! しかもフル尺です!

フル尺の公開に合わせての記事はこちら。これ、読んでいただくとわかると思うのですが、前回の記事ではじめの方に書かれていたYouTubeだとかショパコンだとかの経歴的な話が文末になってます。彼が誰であるかの前置きは不要というデスクの姿勢が見てとれるの最高です! 日本人ということすら、ガーシュウィンをアメリカ人作曲家と書いた文脈で用いただけですよ。国籍すら重要でなく、ただ彼の音楽のみを伝えたいという熱量の高い文章。書き手の思いが伝わってくるようで、なんだか嬉しいです。


台北市立交響楽団(2024.5.18)

Taipei Symphony Orchestra

今年が創立55周年というTSOをお祝いして、かてぃんさんはアンコールに12調のHappy Birthdayをプレゼントしたとのこと。


シカゴ交響楽団(2024.7.21)

Chicago Symphony Orchestra


パレルモ・クラシカ(2024.8.13)

Palermo Classica Symphony Orchestra

※日本語表記が管弦楽団か交響楽団か、どちらもあるので保留にしています。詳細でたらわかるかな…


ウィーン放送交響楽団(2024.9.7~19)

Radio-Symphonieorchester Wien

我らがマエストロオルソップが再来日!
(アメリカのアーティストビザに必要な推薦人をかって出てくれるほど)彼らの音楽の相性は本当に素晴らしく、この前後にあるアメリカでのシカゴ響やボルティモア響との共演も彼女は角野隼斗を誘っています。

放送交響楽団という性質上、日本のN響的なラジオ番組でのこんな演奏もお手の物です。(この方及びバンド活動、なかなかに政治的で日本人からすると歌詞とかハラハラしますが、ウィーン、結構アリなんだなぁ)

この楽団については、過去にこんな記事を執筆しています。


ボルティモア交響楽団(2024.10.17/19/20)

Baltimore Symphony Orchestra

動画にはHayato Suminoの紹介はありませんが、この、「無名感、からのセンセーション」が待ってると思うとワクワクします!
こちらのプログラムについては、個人的な思い入れというか閃きのままに綴った記事があるのでぜひ読んでみていただけると嬉しいです。



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