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MUKAI is dead

向井秀徳は死んだ。

そう思ったのは、去年の今頃の恵比寿リキッドルーム。

ZAZENBOYSのフロントマンとして向井秀徳はライブを行っていた。何年も音源やライブで生の歌を聴き続けていたがそう思わずにはいられなかった。演奏の間を埋めるくだらないMCやアレンジという名の退屈しのぎ。

SNSには違和感を感じたと、当たり障りない感情で文字を羅列した。もうあの頃の衝動は帰ってこないのかも。
そう言いながらも今年もチケットを握りしめていた。
いつものように2018年7月19日恵比寿リキッドルーム。「最後のライブになるかもな」その思いは杞憂に終わる。

Fender Telecasterからライブはスタート。
立て続けにRiff Man。
いつもの歌じゃなく、耳に突き刺さる音は別人が演奏し別の自分が聴いてる。そんなように思えた。
とにかくそこからの向井秀徳は音階の間に麻薬でも塗ってるんだろって勢いで演奏を続けた。
出てくるフレーズがかっこよく、アレンジは全て新曲を聴いてるよう。

一言で表現するのならば、その日向井秀徳は大真面目だった。不思議なことに雑音もなく、珍しくシンセサイザーの音も無かった。

去年の12月のライブをもってベースの吉田一郎がZAZENBOYSから抜けた。経緯うんぬんは知る由も無いが脱退によって、向井秀徳は思うところがあったんじゃないだろうか。去年のライブでも吉田一郎は一人鼓舞しているようにみえた。吉田一郎は大真面目だった。

自問自答がZAZENBOYSのライブの終わりを告げる。鳴り止まない拍手の中Kimochiを伝えたいらしい、すげぇライブやってやったぜというKimochi。アンコールを終えて向井秀徳は深々と一礼、最高の音の場は終わりを告げた。

SNSは新規加入した、ベースのMIYAのことに言及する内容がほとんどだった。そうじゃないだろ、最高で最強だったのは向井秀徳だろ。突然頭を打ち抜かれてもあの夜なら満足できたのかもしれない。

あぁ、向井秀徳に対する称賛の声が足りない。

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