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選択的夫婦別姓と強制的夫婦同姓について

選択的夫婦別姓についての記事を見かけたので、思うことを書いておきます。

安城市議会では、令和5年6月定例会(第2回)において、議員提出第7号議案「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書について」が上程されました。
本議案の内容は、政府及び国会に対し、民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を法制化することを求める意見書です。
詳細はこちらをご覧ください。

この議案は、総務企画常任委員会に付託されて、ひとしきり質疑応答があったのち、神谷和明副委員長が動議を提出しました。

動議の内容は、

「夫婦同氏制度については最高裁判所大法廷が合憲と判断していますが、夫婦の氏に関する制度の在り方は、国会で論ぜられ判断されるべき事柄にほかならないというべきと判示しています。よって、この議員提出第7号議案につきましては、引き続き国会の議論の動向を注視しつつ慎重に審査する必要があると考えますので、本日は賛否の採決を取らずに審査終了まで閉会中の継続審査とされることを望みます。」

議事録より

とのことです。
委員全員この動議に賛成し、閉会中の継続審査となっており、いまだに審査が進んでいる形跡がありません
「閉会中の継続審査」という名目で、単に棚上げしているだけです。

議会の多数派の本音は「国が決めてくれるまで賛成とも反対とも言いたくない」のでしょうが、本意見書は国に意見するわけですから、市として賛成か反対かをきっちり決める必要があります。
国が審議する際に、国民一人ひとりに近い地方自治体がどう思っているのかの診断材料として、意見書は価値のある存在です。
反対なら反対の意見書を提出すれば良いと思います。

さて、選択的夫婦別姓については、賛成する意見が多いといわれつつも、いまだに決着がつかないテーマでもあります。

ちなみに僕は、選択的夫婦別姓賛成派です。選べる自由があったほうが良いという立場です。現在の制度は、強制的夫婦同姓制度といえます。
制度上、選ぶ自由がなく、同姓を強いられ、それで不利益があっても知ったこっちゃないという制度です。
立場や職業によって「どうしても別姓にしたい」という人たちがいます。
ご自身のキャリアや、複雑な手続きを避けるために、「別姓と言う生き方がしたい。強制的同姓という制度のもと、通称という生き方ができるし、それでいいじゃないかという意見もあるが、それでは生きていく上でデメリットがあり、不都合極まりない」という意見をガン無視している制度には、断固反対します。

とはいえ、偏った意見かもしれないという視点から、公平に論点を整理して、より深い議論をするために、ChatGPTさんに頼りました。

以下は、僕とChatGPT o1との会話です。(★すば、と書いてあるのが僕の会話(プロンプト)です。)

★すば「選択的夫婦別姓制度について賛否を論じてください。」


選択的夫婦別姓制度とは、結婚後も夫婦が希望に応じて同じ姓を名乗るか、別々の姓を名乗るかを選択できる制度のことです。現在の日本の民法では、結婚する際に夫婦が同じ姓を名乗ることが義務づけられており(事実上、夫の姓に統一されるケースが大半)、夫婦が別々の姓を名乗ることはできません。この制度を導入するかどうかをめぐっては、社会や政治の場で長らく議論が続いています。以下では、選択的夫婦別姓制度の賛否両論を整理してみます。


賛成意見

  1. 個人の尊厳・選択の自由を尊重できる

    • 名前はその人のアイデンティティに深くかかわるものであり、結婚の有無によって名前を変えるかどうかを強制されるのは不自由だという考えがあります。

    • 夫婦同姓であるべきか、別姓であるべきかは当事者の状況や希望によって異なるため、選択できる制度が望ましいという意見があります。

  2. 女性の社会的地位やキャリアへの影響を軽減

    • 日本では現行制度の下、夫の姓を選択するケースが圧倒的に多い(約9割以上)ことが知られています。そのため、女性が姓を変える際の手続きを負担しがちで、戸籍や銀行口座、クレジットカードなどを変更する作業には手間と時間がかかります。

    • 研究者やクリエイターなど、これまで築いてきた実績が旧姓で認知されている場合、姓の変更によりキャリア上の不便が生じる可能性があります。選択的夫婦別姓制度があれば、姓の変更による不利益を最小限に抑えられます。

  3. 国際化・グローバル社会への対応

    • 海外では夫婦が別々の姓を名乗ることが珍しくなく、日本人カップルが海外に居住・就労する際に「夫婦同姓」が不自然な慣行と受け止められることもあります。

    • 国際結婚が増える中、どちらかの国の法律や文化に合わせて片方が姓を変えなければならないケースが多く、当人たちが望まない不便を強いられることがあります。

  4. 家族の多様なあり方を認める社会的意義

    • 家族の形態が多様化する中で、姓の選択も多様化を認める一つの手段ととらえられています。

    • 結婚に際して「同じ姓を名乗ることだけが家族の証ではない」と考える人も増え、制度導入によって家族の在り方を柔軟に認める社会につながるという意見があります。


反対意見

  1. 伝統的家族観・家族の一体感の重視

    • 「夫婦は同じ姓を名乗ることで家族としての一体感が高まる」という考えがあります。

    • 古くから続く家制度や家族の伝統を尊重する立場では、夫婦が同じ姓を持つことは家族の結束を象徴する大切な要素だとされています。

  2. 子どもの姓に関する混乱を懸念

    • 夫婦が別姓を選んだ場合、「子どもの姓をどうするのか」という問題が生じます。

    • 兄弟の中で姓が異なるケースなどが起きた際に、学校や社会生活の場で混乱や負担が生じる可能性を指摘する意見があります。

  3. 制度導入に伴う行政手続き・社会的コスト

    • 選択的夫婦別姓制度を導入するにあたっては、戸籍制度や住民票システムなどで新たな仕組み・手続きを整備する必要があるため、行政コストや事務作業の増大が見込まれます。

    • 企業や銀行などの民間部門でも、複数の姓を名乗るケースに対応できるシステムや事務処理ルールの変更が必要になり、ある程度のコストがかかります。

  4. 本当に社会的問題かどうかの疑問

    • 一部には、「姓が変わることによる不便はあっても、社会全体としての大きな問題とは言えないのではないか」という見方があります。

    • 「同姓にしたくなければ事実婚を選択することもできるので、必ずしも法改正を必要としない」といった主張もあります。


まとめ

選択的夫婦別姓制度に対する賛否は、主に「個人の尊重・選択肢の拡大」と「家族制度や伝統の維持」という価値観の衝突に起因するといえます。賛成派は、個人のアイデンティティやキャリアの尊重、多様な家族形態の容認、国際社会への対応を重視し、反対派は、伝統的な家族観や家族の一体感、子どもの姓の問題、行政コストの懸念などを挙げます。

社会が多様化し、個人の生き方の選択肢が増え続ける中で、「結婚」によって当事者が不利益を受けず、同時に家族としての安心や絆を維持できる制度設計をどう実現するかが大きな課題です。今後、夫婦別姓をめぐる議論がさらに深まり、国会や司法、社会全体でより具体的な検討が行われていくことが期待されています。


★すば「日本国憲法の観点から論じてください」

選択的夫婦別姓制度をめぐる議論は、日本国憲法上の「個人の尊厳」「法の下の平等」といった価値と、家族法制における伝統的な考え方のバランスをどのように図るかが大きな焦点になります。以下では、主に憲法の条文や最高裁判所の判例を踏まえながら、論点を整理します。


1. 関連する憲法の条文

  1. 憲法第13条(個人の尊重)
    「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

    • 名前は個人のアイデンティティの根幹に関わるため、「結婚によりやむを得ず改姓を強いられること」が個人の尊厳や幸福追求権をどこまで制約しているのかという観点が重要となります。

  2. 憲法第14条(法の下の平等)
    「すべて国民は、法の下に平等であって…」

    • 現行の民法では、夫婦のどちらの姓を選ぶかは自由とされつつも、実態として9割以上が夫の姓を選択しているため、「事実上女性が改姓を余儀なくされやすい状況」は平等原則に反しないのかという議論があります。

  3. 憲法第24条(家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等)

    • 第1項:「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し…」

    • 第2項:「配偶者の選択、財産権、相続などに関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。」

    • 夫婦同姓を義務づける現行民法(民法750条)が、両性の本質的平等や個人の尊厳を損なっていないかどうかが争点となります。


2. 最高裁判所の判断

2015年(平成27年)最高裁大法廷判決

  • 夫婦同姓を義務づける民法750条が憲法14条・24条に違反するかが争われました。

  • 結論としては「合憲」と判断されましたが、同時に以下のような論点も示されています。

    • 多数意見: 現在の法律は夫婦のどちらの姓を選ぶかは自由であり、必ずしも女性差別を強いる制度ではない。法改正の必要性は立法府が判断すべきであり、憲法違反ではない。

    • 反対意見・補足意見: 実質的には多くの女性が改姓する状況が続いており、社会が変化していることを考慮すると、立法によって選択的夫婦別姓を認めるべきだという意見も表明。

2021年(令和3年)最高裁判決

  • 再度、夫婦同姓規定の合憲性が争われましたが、2015年判決と同様に合憲と判断。

  • しかし一方で、裁判官の一部は「国会が制度改革に向けた検討を行っておらず、現行制度が社会の実情にそぐわない可能性がある」という趣旨の意見を付しています。

判例からみるポイント

  • 司法の立場: 現行制度は違憲とまでは言えないが、制度上の問題点や社会変化を踏まえ、立法府での判断・改正が望ましい。

  • 少数意見の存在: 夫婦同姓の強制が、男女平等や個人の尊厳に照らして問題があることを示唆。


3. 選択的夫婦別姓をめぐる憲法論点

  1. 「個人の尊厳(第13条)」の観点

    • 選択的夫婦別姓を認めない現行制度では、(特に)女性が社会的評価やキャリアで用いてきた旧姓から新姓へ変えざるを得ないケースが多く、氏名の同一性・連続性という人格的利益が損なわれているのではないか。

    • 一方で、現行制度も夫婦のどちらの姓を選ぶかは法律上は自由であるため、「改姓そのものは婚姻関係の結果としてやむを得ない制約」とも説明される。

  2. 「法の下の平等(第14条)」との関係

    • 法律上は男女平等に「夫または妻の姓」を選べるはずだが、社会慣行上は圧倒的に夫の姓が選択されている(9割以上)。

    • 形式的平等ではなく、「実質的平等」を確保するために、夫婦別姓の選択肢がなければ依然として女性に負担が集中するのではないか、という指摘がある。

  3. 「両性の本質的平等・個人の尊厳(第24条)」の観点

    • 婚姻制度は個人の尊厳や両性の本質的平等を基礎としなければならない。

    • 夫婦別姓の不許容が、女性のキャリア形成や経済的・社会的活動に制約を及ぼす場合、これは憲法が求める「本質的平等」を損なう恐れがある。

  4. 最高裁の判断と立法府の裁量

    • 「家族の姓を一体化することにも一定の合理性がある」と最高裁は認める一方、少数意見では「現行制度は社会変化にそぐわず、女性に不利益が生じやすい」との指摘がある。

    • 現行法制度を改めるかどうかは、最終的には立法政策(国会)の判断に委ねられているとするのが、今の司法のスタンス。


4. 賛否の憲法論的整理

賛成(選択的夫婦別姓を認めるべきとする立場)

  • 憲法の理念との親和性: 第13条・第24条にある「個人の尊厳」や「両性の本質的平等」により合致。婚姻によって改姓を強制されること自体が不当な制約と考える。

  • 実質的な男女平等の実現: 形式上はどちらの姓を選ぶか自由でも、社会的慣習などで女性だけが負担を被りやすい現状を改善するためには、別姓を選べる制度設計が必須。

  • 国際的潮流や社会の変化: 多くの国で夫婦別姓が認められ、また事実婚や多様な家族形態が広がる中、日本社会でも「家族をどう名乗るか」をより柔軟に選べるようにすべきだという主張。

反対(従来の夫婦同姓制度を維持すべきとする立場)

  • 家族の一体性を重視: 同姓が家族の結束を象徴すると考え、第24条が規定する家族制度の尊重(立法裁量の余地)を根拠に、「伝統的な家族観」を維持すべき。

  • 最高裁の合憲判断: 現行制度は直ちに憲法違反とはされておらず、別姓を望む場合は事実婚など他の選択肢もある。憲法上、「夫婦同姓強制」がただちに違憲とされるわけではない。

  • 立法政策上の問題: 戸籍法や住民票システムの大幅な改変など、行政的・社会的コストがかかる点を重視し、現行制度でも一定の運用改善で対応可能と考える立場。


5. まとめ

  • 日本国憲法上、夫婦や家族生活における「個人の尊厳」や「両性の本質的平等」(第24条)は重要な原則であり、また、「法の下の平等」(第14条)も婚姻制度において無視できない大原則です。

  • 最高裁は2015年・2021年の判決で、夫婦同姓規定を「合憲」としつつも、社会変化や不利益の現実に言及し、「立法府による検討の余地がある」ことを指摘しています。

  • したがって、選択的夫婦別姓制度の導入が「憲法上の義務」かどうかは現時点では明確に断言されていません。しかし、婚姻に伴う改姓が事実上女性に偏っていることや、社会的・国際的な状況の変化を踏まえると、憲法の理念(個人の尊厳・平等)により合致する形での法改正を求める声は強まっているといえます。

  • 結局のところ、「現行制度の合憲性」は認められているが、「望ましい制度設計」は立法政策の判断に委ねられているのが現状です。国会が憲法の趣旨をどのように具体化するのか、今後の議論が引き続き注目されます。


★すば「個人あるいは社会における、メリットおよびデメリットを、賛成または反対の立場で論じてください。」


以下では、選択的夫婦別姓制度について、「賛成の立場」と「反対の立場」のそれぞれから、個人および社会に及ぼすメリット・デメリットを整理して論じます。


賛成の立場

1. 個人にとってのメリット

  • アイデンティティの尊重
    結婚しても旧姓を使いたい人や、これまで築いてきたキャリア・研究業績・対外的な知名度を維持したい人にとっては、改姓の必要がなくなるため、アイデンティティや実績の継続性を守りやすい。

  • 不必要な手続きを減らせる
    銀行口座や各種証明書の名義変更など、結婚による改姓に伴う煩雑な手続きが不要になり、当事者の負担が大幅に軽減される。

  • 多様な価値観の尊重
    「姓」にまつわる考え方は人それぞれ。別姓を選択したい夫婦と、同姓を選択したい夫婦がともに満足できるため、より柔軟に生き方を選びやすくなる。

2. 個人にとってのデメリット

  • 周囲との摩擦や誤解が生じる可能性
    まだ浸透していない地域やコミュニティでは「なぜ別姓なのか?」といった偏見や誤解を受けるリスクが残るかもしれない。

  • 二重の手続き・確認が必要となる場合
    夫婦で別姓にする場合、書類提出や契約の場面で「夫婦なのか、単なる同居人なのか」など追加説明が必要になる場面が一部想定される。

3. 社会にとってのメリット

  • 多様性の受容と国際競争力の向上
    海外では夫婦別姓が一般的な国も多く、グローバル化が進む中、日本社会が多様な家族形態を受け入れる姿勢を示すことで、国際的な信用や競争力が高まる。

  • 人材活用の促進
    結婚・改姓に伴う不便やキャリアの中断を避けられるため、特に女性の社会進出や活躍がスムーズになり、労働力の確保やイノベーション促進につながる。

4. 社会にとってのデメリット

  • 制度変更に伴う初期的コスト
    戸籍・住民票や企業のシステム変更、事務手続きの見直しなど、導入期にかかる公的・私的コストが増大する懸念がある。

  • 「家族の一体感」への不安
    「同じ姓を名乗ること=家族の結束」と考える伝統的な価値観が根強い地域・世代などでは、別姓導入が家族のまとまりや文化的伝統を脅かすと感じる人もいる。


反対の立場

1. 個人にとってのメリット

  • シンプルな姓の扱い
    従来どおり夫婦同姓を採用することで、「家族として同じ姓を名乗る」という安心感や分かりやすさを享受できる。改姓に伴う迷いが生じることなく、周囲にも一目で“家族”として認識されやすい。

  • 社会的慣習との整合性
    現状の日本社会の多数派は夫婦同姓を選択しているため、従来の制度を維持することで、慣習や風習に合わせやすく、日常生活での混乱を避けられる場合がある。

2. 個人にとってのデメリット

  • 改姓負担の偏りが続くおそれ
    現行制度で多くの女性が負担している改姓手続きや、キャリア上の不便が今後も続く場合がある。

  • 事実婚など“迂回ルート”の選択
    夫婦別姓を望む当事者は事実婚を余儀なくされるケースがあり、法的な保護(相続や税制上の優遇など)を受けにくくなる可能性がある。

3. 社会にとってのメリット

  • 家族制度の安定と伝統の維持
    夫婦が同姓を名乗る制度を継続することで、長年にわたり培われてきた家族の枠組みを守りやすい。

  • 行政システムの安定性
    現行システムでの大幅な改修が不要で、戸籍や住民票などの管理方式を変えずに済むため、行政や企業が負担を最小限に抑えられる。

4. 社会にとってのデメリット

  • 国際的評価や多様性対応での遅れ
    他国では既に夫婦別姓が当たり前となっているケースも多く、社会としての多様性受容が遅れているとの印象を与え、日本人カップルや女性の海外進出に不利に働く可能性がある。

  • 男女平等の観点からの批判
    夫婦同姓義務を維持することで、特に女性に改姓負担が偏る構造が継続されれば、男女平等や人権意識の観点から国内外で批判が強まる可能性がある。


まとめ

  • 個人面

    • 賛成の立場では「アイデンティティや選択の自由」「改姓手続き負担の軽減」が大きなメリットとなり、反対の立場では「従来制度による安心感やシンプルさ」「伝統的家族観との調和」を重視する。

  • 社会面

    • 賛成の立場では「多様な家族像の容認」「国際的潮流との整合」が主なメリットとして挙げられ、反対の立場では「家族の結束や伝統維持」「行政・企業のコスト増を回避する利点」などが重視される。

結果的に、選択的夫婦別姓制度を導入するか否かは、「個人の尊厳や多様性をどの程度重視するか」と、「家族単位の同一姓維持や伝統・慣習の尊重をどこまで優先するか」との価値観のバランスに大きく左右されます。いずれの立場にもメリット・デメリットがあり、最終的には社会全体の合意形成と立法上の判断が必要となるでしょう。


★すば「賛成の立場の意見として「選択制なので、同姓も選択可能」があります。これに対する反対の立場の意見はどのようなものが想定されるでしょうか。可能な限り答えてください。」


選択的夫婦別姓制度に賛成する立場からは、「あくまで“選択制”であって、別姓を望まない人は従来どおり同姓を選べるのだから問題ない」という意見がよく挙げられます。これに対し、反対の立場からは以下のような反論が考えられます。


1. 家族観・伝統への影響

  1. 「同姓も選べる」とはいえ、制度全体として家族の結束感が希薄化する恐れ

    • 選択的夫婦別姓が導入されると、「家族は同じ姓を名乗るもの」という伝統的な価値観が揺らぎ、社会全体で家族制度の根幹が損なわれると考える人もいる。

    • たとえ同姓を選び続ける人が多数派だとしても、制度として別姓が認められることで、“家族が同姓を名乗る”という慣習が弱まり、家族の一体感を支えてきた共通姓の象徴的意味が薄まるのではないか、と懸念される。

  2. 家制度や家族の「伝統・文化」が変質する

    • 同姓を選べるとはいえ、「別姓オプション」の存在そのものが、代々続く家名の継承や祭祀・相続など、日本社会の歴史的・文化的慣行に支えられてきた家制度の在り方を変えてしまうとの見方がある。

    • 「わざわざ別姓を選ぶ夫婦は本当に家や親族のつながりを大切にするのか?」という否定的な世論が生まれ、家系の断絶を招くとの主張も出てくる可能性がある。


2. 社会的圧力・選択の“自由”に対する疑問

  1. 「選べる」はずが、実際には“別姓を選ばないといけない”圧力や分断が生まれる場合

    • 逆に、「多様性を尊重しよう」「女性の改姓負担をなくそう」という社会的潮流が高まる中で、「別姓にしないなんて時代遅れ」といった新たな圧力が発生する可能性を指摘する声もある。

    • 結果として、結婚を機に同姓を選びたい夫婦が周囲から「保守的」「女性の権利を軽視している」などと批判されるリスクが生まれる。

  2. 結局、“自由に選べる”のは建前で、夫婦・家族内で対立が深まる恐れ

    • 別姓を望む本人と、同姓を重んじる親族などとの間で意見が対立し、家族関係がこじれる可能性がある。

    • 「法が認めている以上、別姓を主張する権利はある」と言われても、実際には親や親族の強い反対、地域の慣習などが働き、本当の意味での自由な選択が難しくなる恐れがある。


3. 子どもの姓や家族の呼称など、現場での混乱・負担

  1. 子どもの姓にまつわる問題が拡大する可能性

    • 選択的夫婦別姓が導入されれば、「子どもの姓はどちらにするのか」「兄弟で姓が違うケースはどう扱うのか」という問題がさらに増える。

    • 同姓を選択する夫婦には直接関係ないとしても、学校や地域コミュニティでは、子どもの姓の扱いや事務手続きの混乱が一律に生じうる。

  2. 「同姓」として選択しても、周囲から必要以上の確認や質問を受ける可能性

    • 別姓が法的に認められるようになると、「あなたたちはどちらを選んだの?」と聞かれやすくなる。

    • 同姓を選んだ夫婦が、あえて理由を説明したり、別姓を求める周囲との意見交換に巻き込まれたりするなど、煩わしさを感じる可能性がある。

  3. 行政・企業の手続きの複雑化が全体に波及

    • 別姓導入に伴うシステム改修や書類様式の変更などが行われると、同姓を選ぶ人も含めて社会全体が手続きのアップデートを迫られる。

    • 「同姓を選択したから従来どおりでいい」というわけにはいかず、全員が影響を受ける形になり、混乱や費用負担が増えるのではないか、との懸念がある。


4. 制度設計上の懸念

  1. 「同姓派」と「別姓派」の二極化が生まれ、社会的対立が強まるリスク

    • 選択的夫婦別姓という仕組みが導入されると、価値観が大きく異なる二つのグループが可視化されやすくなる。

    • 自由に選べるはずの制度が、実際には対立や分断を助長しかねないという懸念がある。

  2. 戸籍制度の複雑化が、結婚や離婚などの手続きに影響する

    • 夫婦が別姓を選んだ場合、戸籍上どのように記載するか、戸籍の継承や相続時の手続きなどで新たなルール作りが必要となる。

    • 同姓を選択しても、このルール作りの過程で手続きや管理が煩雑化し、一般市民や行政機関に新たな事務負担が生じる可能性がある。


まとめ

「選択制だから、同姓を選びたい人は従来通りで問題ない」という賛成意見に対して、反対の立場からは以下のような主張が想定されます。

  • 家族の結束や伝統的家族観が揺らぐ・形骸化する

  • “自由に選べる”はずでも、実際には別の社会的圧力や家族内の対立を引き起こす可能性がある

  • 子どもの姓や行政・社会的手続きの煩雑化・混乱が広範囲に波及する

  • 戸籍制度の変更によるコストや、選択制そのものが社会の分断を深める懸念

つまり、同姓を選ぶ自由が担保されていれば万事解決というわけではなく、制度導入そのものが社会や家族の在り方に少なからぬ影響を及ぼし、従来の価値観や手続きを守りたい人々にはデメリットがあると考えられるのです。


★すば「上記それぞれの反対派の意見に対し、賛成派の反論を述べてください。」


以下では、前回挙げた反対派の意見それぞれに対し、賛成派がどのような反論を行いうるかを整理して述べます。


1. 家族観・伝統への影響

1-1. 「家族の結束感が希薄化する恐れ」に対する反論

  • 結束感は姓ではなく、家族間の関係性が生むもの
    選択的夫婦別姓はあくまでも「姓を選択できる」制度であり、「家族としての愛情や協力関係」が弱まるわけではない。どの姓を名乗るかよりも、日常のコミュニケーションや相互理解、協力体制が家族の結束感を支えると考えられる。

  • 同姓を選択する自由も担保されるため、“強制的に姓を分ける”わけではない
    別姓を選びたくない夫婦は同姓を選び続ければよい。選択肢が増えることでむしろ、各家族が自分たちに合った形を尊重でき、結果として家族のきずなを深められるという見方もある。

1-2. 「家制度や家族の伝統・文化が変質する」に対する反論

  • 文化や伝統は常に変化・進化してきた
    昔は“家制度”や“家督相続”の仕組みも現代とは大きく異なっていたが、社会情勢や価値観の変化に伴い、法制度が改正されてきた歴史がある。選択的夫婦別姓はそうした社会変化の一環であり、「新しい時代の家族の形」を多様に容認することは、むしろ豊かな文化形成につながる。

  • 制度が変わっても、伝統的価値観を選択することは可能
    選択肢として「同姓」を維持できるので、伝統を重視する家庭は従来どおり同姓を選べばよい。制度が“絶対的に別姓を押し付ける”わけではなく、多様な伝統や文化観を柔軟に共存させることを狙っている。


2. 社会的圧力・選択の“自由”に対する疑問

2-1. 「逆に‘別姓にしないといけない’という新たな圧力が生まれる」に対する反論

  • 選択肢の拡大は“誰かに圧力をかける”ものではない
    選択的夫婦別姓の根本理念は「それぞれの価値観を尊重し、自由に選べるようにする」ことであり、同姓も別姓も等しく尊重される。新たな制度が導入されても、多様性を認め合う社会を目指すのであって、「どちらかを強制する」方向性ではない。

  • 社会の啓発や理解促進が重要
    制度導入と同時に「どちらの姓を選んでも差別的に扱われない」という啓発や教育を行うことで、新たな圧力や偏見を抑止できる。むしろ、そのような課題を解消するために制度設計や周知活動を丁寧に行う必要がある。

2-2. 「家族内・親族内で対立が深まる恐れ」に対する反論

  • すでに“改姓をめぐる対立”は現行制度でも起きている
    現行制度でも「誰の姓を名乗るか」で夫婦や家族間に意見の衝突がある場合があり、特に妻が夫の姓を選ぶことを強いられる場面も指摘されている。選択制になれば、むしろ両者が納得する落としどころを探しやすくなる可能性がある。

  • 家族や親族内のコミュニケーションを促す契機になる
    自由に選択できるようになることで、家族全員が改めて「どうしたいか」「何を大切にするか」を話し合う機会が増え、かえって相互理解が深まるきっかけになると考えられる。


3. 子どもの姓や家族の呼称など、現場での混乱・負担

3-1. 「子どもの姓をどうするか」という問題が拡大する可能性への反論

  • もともと「どちらの姓にするか」は子ども誕生時に必ず議論が必要
    現行制度でも、仮に妻が夫の姓に改姓し、子どもが生まれるときには「戸籍筆頭者は誰か」「旧姓はどう扱うか」といった問題が起こりうる。選択肢が増えることで、夫婦が事前にしっかり話し合い、納得のいく決定をしやすくなる。

  • すでに国際結婚などで多様な対応が行われている
    国際結婚の場合、親子間で姓が異なるケースが珍しくないが、それでも家族としての関係が守られ、社会生活が成立している。日本国内でも同様に運用していく経験やノウハウは蓄積できる。

3-2. 「同姓を選んだ場合でも、周囲から説明を求められる」への反論

  • どの姓を選ぶかは個人の自由であり、説明を強要するのは本来おかしい
    選択的夫婦別姓は「強制力の撤廃」が目的であり、「どういう理由でどちらの姓を選んだのか」は夫婦の私的領域。社会としては、根掘り葉掘り聞く必要がないという認識を広めることが大切。

  • 過剰な干渉を防ぐためのマナー醸成が進む
    例えば、「職場でプライベートな事情を無遠慮に聞かない」といったコンプライアンス意識の高まりと同様に、夫婦の姓の選択を尊重し、詮索を避ける社会的マナーが普及していく可能性がある。

3-3. 「行政・企業手続きが複雑化し、全体に波及する」への反論

  • 一時的なコストはあっても、長期的には社会的利得の方が大きい
    キャリア中断や再発行手続きに費やされる時間・労力が減ることで、労働生産性の向上や女性の就業継続率の改善が見込まれる。初期コストを上回るメリットが期待できる。

  • IT化・デジタル化で管理がしやすくなる
    住民基本台帳やマイナンバーなどのデジタルインフラを活用すれば、複数姓の管理も効率化できる。むしろ制度導入を機に、行政手続きや企業内システムのデジタル化を加速させる良い機会となり得る。


4. 制度設計上の懸念

4-1. 「同姓派と別姓派の二極化で社会的対立が強まる」への反論

  • 対立ではなく、多様性の尊重が目的
    選択的夫婦別姓制度は「みんな同じ価値観である必要はない」と認め合うための制度であり、いわば“対立解消のための道具”でもある。制度導入のプロセスで十分な議論や啓発を行うことで、むしろ共存の道を広げられる。

  • 既に世論も割れている現実を前向きに解消する
    今のままでも「改姓の負担をどう考えるか」「姓の選択自由はあるべきか」などで議論が分かれている。法制度によって両派がそれぞれの意見を認め合う仕組みを作る方が、対立が長期化するよりも建設的だと考えられる。

4-2. 「戸籍制度が複雑化し、結婚や離婚時の手続きに影響する」への反論

  • 必要なルール整備は可能であり、海外にも例がある
    海外には多様な“夫婦の姓”の取り扱いがあるが、各国でそれなりに運用されている実績がある。日本でも戸籍法や関連法規を整備すれば、複数の姓を管理する仕組みを構築できる。

  • 複雑化を防ぐための具体的な制度設計は十分検討される
    法改正前に国会や法制審議会などで詳細を詰め、例えば「夫婦別姓を選んだ場合の戸籍の書式はどうするか」など、ルールを明確化して混乱を最小限に抑えることは可能。

  • 家族秩序の維持と個人の選択自由は両立できる
    夫婦別姓は「家族の解体」を目指すものではなく、多様化している家族形態を法的に保護しようとするものである。その上で従来の戸籍制度との整合性を図る方法はいくらでも検討できる。


まとめ

反対派の「選択制だからといって問題が解消するわけではない」という意見に対し、賛成派は「家族の結束は姓だけに依存しない」「圧力や混乱を最小限にするための制度・社会整備が可能」「多様性を受け入れることで長期的には社会的メリットが大きい」といった反論を行います。

  • 家族のきずなや伝統
    → 姓が同じか違うかではなく、家族を構成する人々の相互理解と愛情こそが本質。伝統は社会の変化とともに柔軟に適応してきた。

  • 社会的対立や混乱
    → 制度導入の目的は強制力を弱めることであり、むしろ対立や負担を解消する方向に向かう。事前のルール整備や啓発活動を丁寧に行えば、混乱を最小限に抑えられる。

  • 行政コスト・手続きの煩雑化
    → IT化やデジタル管理を進めることで効率化は可能。一時的コストが発生しても、長期的には社会全体のメリット(キャリア維持による経済効果、家族形態の多様化への対応など)の方が大きい。

このように、選択肢を増やすという制度趣旨をしっかりと理解し、運用面の細部を整備することで、反対派が懸念する問題を緩和または解消できると、賛成派は主張しているのです。


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