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Mr.Children『SOUNDTRACKS』

2020年12月2日に発売されたMr.Children 20枚目のオリジナルアルバム。


ミスチルが好きになったのは、「しるし」「フェイク」がリリースされた頃。当時の僕は中学を卒業するあたりだ。

ミスチルの新しいアルバムがリリース発表されると、ワクワクが止まらない。

配信等で、CDを手にしなくても曲が聞けるご時世でも、

CDジャケットという‘物’を早く手にしたいという昂揚感は今も変わらずである。


#1 DANCING SHOES

当初タイトルだけを見た時、「ライブで踊れる(=DANCING)ような曲なのかな」と思ったが、イントロを聞いた瞬間その予測は裏切られた。

サビ前まで不穏でどこかダークな雰囲気を思わせる。SENSEの「I」のように終始風刺を効かせたブラックな曲なのかと思ったが、サビでは転調し、少し明るい曲調へと変わる。

他のアーティストの新曲を聴くと、「あの曲に似ているな」という事もあるが、このナンバーはそれを感じさせず、「初めて聴く感じ」といういい意味で心地悪い新鮮な印象を受けた。ミスチルはこれだからやめられない。


#2 Bland new planet

YouTubeで先行公開されていた曲だが、CD音源はやはり良い。

'消えかけの可能[星]を見つけに行こう'

「可能性=星」と言い換える桜井さんの作詞の豊かさに、呆れるくらい惚れてしまう。


#3 turn over?

配信限定シングルとしてリリースされていた曲。

このアルバムで一番POPな曲調かな。ライブでやったら、「運命」のように盛り上がれるナンバーかな。

正直、打ち込み(?)のようなリズムではなく、JENのドラムがもっと前面に出てほしかった…。

このタイトルの最後に'?'が付くのはなぜだろうか?


#4 君と重ねたモノローグ

ミスチルの主題歌聴きたさで、一人でドラえもん観に行きました(笑)

劇中でこの曲が流れて、キュウとミュウがのび太達と成長していくのを思い出させます。

'いつしか僕も年を取り 手足が動かなくなっても

心はそっと君を抱きしめてる

いつまでも いつまでも

君の頭撫でながら'

「君」を愛猫に置き換え、頭を撫でながらこの記事を執筆しています。

君の頭撫でながら

#5 losstime

わずか2分26秒の曲。正直、代表曲と言える程、キャッチ―なメロディではないかもしれない。しかし、このアルバムの雰囲気を形作る重要な要素を担っていると僕は感じた。

'みんな いずれ そこに逝くからね'

桜井さんがここまで「死」を想起させる曲はこれまでに有っただろうか。

この枯れた雰囲気が、このアルバムのテーマであるような気がする。

#6 Documentary film

Bland new planetの後にYouTubeで先行公開されたナンバー。

YouTubeで聴いた限りでは、正直キャッチ―さに欠けるなと感じたのだが、CD音源で聴き込む度に心に残る。

ストリングスが顕著に前に出ている楽曲が多いアルバムという印象だが、ドラム・ベースのリズム隊がよく聴こえて個人的に響く。

#7 Birthday

この疾走感が溜まらなく心地良い。

先日放送されたNHK特番で初めてTVで演奏されたのを見て、余計に好きになった。

桜井さんのGibsonの赤いアコギが格好良かった!シングルでリリースされてもっと早くTVで演奏してほしかった…。

#8 others

大人のムーディなナンバー。これぞミスチルの真骨頂。

年を重ねるごとに桜井さんの歌声は、本当に良い味を出す。

ストリングスとバンドがどんどん盛り上がっていくアウトロは必聴。

余談だが、CMのタイアップで僕が好きな内村光良をこのothersが共演したのですごく思い入れが湧く。

#9 The song of praise

'誰もひとりじゃない きっとどこがで繋がって

この世界を動かす小さな歯車'

Mr.Childrenが幅広い世代に支持されるのは、

みんな何故生きているのか価値を見出せない中、

この曲のように、モノクロな毎日に色を加えてくれて、

背中を押してくれるのが大きな要因であると考える。

#10 memories

ファンタジーのような3拍子なナンバー。

'いつまでも いつまでも 君のことを僕は待ってる'

というような歌詞は、想い出になってしまった誰かを歌っているのかな。

死別なのだとしたら、このアルバムの枯れ感の要素も更に深くなる。

HOMEの「あんまり覚えてないや」のようにアルバムの最後を飾る。


総評

「深海」のようにコンセプトが一貫したアルバムで、

最初から最後まですっと聞き終える事が出来るなと感じた。

過去に何かの雑誌か何かのインタビューで、

「十何曲含めるアルバムじゃなくて、10曲ジャストくらいのアルバムを今後作っていきたい」とメンバーが語っていたのを覚えている。

前回の「重力と呼吸」から、今回も10曲ピッタリなので、ちょっとお得感に欠けるかな…と曲数だけ見ると感じたが、

アルバムを通して聴くと、その分内容が一貫していて聴き込みやすくなったという印象。

先行してYouTubeにUPされたトレーラーで、

桜井さんが「もうこのアルバムで最後にしたい。これ以上のものを創れる気がしない。」とインタビューで語っていたのに衝撃と動揺を覚えた。

重力と呼吸を引っ提げたAgainst All Gravityのツアーの最後の皮膚呼吸前のMCで、

「あと何年やれるかわからないけど、みんなが盛り上がれる最高な曲をあと10曲は作りたい」と語っていた桜井さん。

このSOUNDTRACKSは、どこか枯れた死生観がそろそろ終わりを意識し始めたのかな…と匂わせるのは僕だけだろうか。

アーティストは、寂れて苦しい姿になる前に、最高傑作をつくってここで終わり!というような美学が有るのであれば、

それを抵抗せず、全力で受け止めていきたいと僕は考えている。


・・・・・というポジティブな事書いといて、これからのMr.Childrenの活躍にますます期待しているという思いを強く抱いております!

大みそかの紅白が楽しみだ。


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