キャンパスライフ?
3月に高校を卒業して、同級生の多くはキラキラのキャンパスライフを送っている。
もれなく自分もキャンパスライフだ、通っているのは『自動車』学校である。
ここがなかなか面白い空間で、年代も現在やっていることもなにもかもバラバラ。
自分と同じく高校を卒業したばかりの人、大型免許を取りに来た兄さん、長年ペーパードライバーで十数年ぶりに車の練習に来たおばさん、高齢者教習を受けに来たおじいちゃんおばあちゃん。
3月いっぱいの繁忙期は学生で賑わっていても、4月になると一気に静かになるのは毎年のことらしい。
大型免許を取りに来た兄さんは、運転の方はパスできるけど、どうも勉強ができないらしい。仮免の練習テストになかなか合格できていなかったのに、先日やっと初めて合格した。ちょっと強面な兄さんが教官に褒められて小学生のようにガッツポーズをしていた。
ペーパードライバーで練習に来たおばさんと教習場内ですれ違った。
とても楽しそうにハンドルを握っていて、待合室にいた時の印象とは全く違った。疲れているように見えた目が、とても生き生きして、若返ったようだった。
高齢者教習はネタの宝庫だ。
説明を右から左に聞き流し(聞こえてない?)、自分の思ったことをなんのためらいもなくつぶやいたりする。
「お年寄りが警察に捕まるのは一時停止をしないから」
と、自慢げにみんなに話すおじいちゃんも、講習を受けている時点でお年寄りなのだが、みんな自分は違うと思いながら聞いているのだろう。
「次の講習は3年後なので、皆さん違反などしないようにしてくださいね」
教官がそう締めたのを合図にみんな立ち上がって出ていく。去り際にあるおじいちゃん、
「違反よりも3年後に生きてるかどうかが問題じゃ」
自虐もいいところだが、みんな笑いながら頷き教習所をあとにした。自分の歳をわかっていらっしゃるらしい。ぜひ3年後の教習も受けて頂きたいと思う。
帰っていく車を見ると高齢者マークは1台もとして付いていなかった。自分の歳はわかっていても高齢者ではないということだろう。
長くても1ヶ月ほどの自動車学校、深い関わりや絆はないとしても、ほんの一瞬でいろんな人が交わって、年齢とか仕事とか、そんなしがらみから離れたここで、今日もなんだかタイムスリップしてる人がいたりする。
入校した時に撮った証明写真の自分の顔が全く生き生きしていない。
免許証の写真の顔はいい顔で写りたいと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?