6世代~7世代の逆1位ダブルを振り返る
はじめに
この記事はPokémon Past Generation Advent Calender 2019 二日目の記事です.
みなさん、逆1位ダブルというルールをご存じですか? ご存じですよね? え、ご存じでない!? でしょうね!!
逆1位ダブルというルールについて
私@sub_827 は6世代初頭から、「逆1位決定戦」という変則ルール大会を不定期に開催していました。変則といっても単純で, 「負けたほうが勝ち」というだけのルールです。大爆発も置き土産も命がけも味方殴りもLv.1も何でもあり。でも降参は負け(負けなので勝ちという意味ではなく負けなので負けです(ややこしい))です。
歴史的経緯
起源は5世代までさかのぼります。5世代の公式大会のレートの底辺には、「初手降参勢」と呼ばれる少数民族が生息していました。彼らは大会期間中、寝る間も惜しんで初手降参を続け、最低レートを競い合っていました。しかし6世代に入り、公式大会には対戦回数制限が設けられました。「対戦回数が制限されると『如何に降参回数を稼げるかのニート勝負』から『如何にレートの低い人と当たれるかの運勝負』に変わってしまう」。そういってレートの底辺から多くの人が去っていき、少数民族どころか限界集落となってしまいました。そんな中、「降参をせずにレートを下げ合えばいいのではないか」と考えたぬおーがいました。結局、初手降参勢は「公式大会の限られた対戦回数の中で、初手降参勢と当たらず、なるべく低いレートの人と当たれるような時間帯を見つけて潜る」という風に遊び方を変えて生き残っていったのですが、さっきのぬおーさんは「降参をせずに相手より先に負ける」というルールの考察をしていく中で、その魅力に取りつかれていってしまい、ついには自分で大会を開くことにしました。
……という経緯で逆1位ダブルの歴史が始まりました。
6世代
ここからは、逆1位環境を主観で振り返っていきます。
逆1位ダブルの基本とも言える強力な駒・並び・戦法には、環境初期から既に開拓されていたものが多くあります。
最速の命がけ遣いテッカニンと、猫騙しによる妨害とファストガードでテッカニンを猫騙しから守るニャオニクスの並び・通称『ニャオテッカ』、ゴツメリオルをヌケニンの影打ちで倒す『リオルヌケニン』(『リオヌ』と略されることも)、エルフーンとモンメンで優先度+1の置き土産を使う『親子』。この3戦法が初期環境の中心で、リオルヌケニンは優先度でニャオテッカに強く、置き土産による退場をファスガで防げるニャオテッカは親子に強く、素の素早さで親子はリオルヌケニンに強い、という三竦み構造が出来上がっていました。ここに、この指・命がけが使え、単体性能でリオルより優れるルカリオや、猫騙し無効で爆発できるゲンガー・フワライド・パンプジン・オニゴーリ、命がけメタの先制技遣い、何でもできるドーブル、芸術点の高いアロテヤマ(Lv.37珠ファイアローでハリテヤマにブレバを打つとちょうどどちらも倒れる。ハリテヤマは猫騙しで妨害もできる)などを加えたパーティが主流でした。
しかし、これらの戦法で止めることができない戦法がありました。猫爆発です。チョロネコ・レパルダス・ニャオニクスと大爆発だけを覚えたポケモンだけで完結していて、後発のレパルダスがこだわりスカーフを巻いているので親子よりも速く自滅することができます。猫爆発を止めるため、湿り気による対策が必要とされました。
ちょうどその頃、クリスマスに合わせて開かれた大会では、特別に『NNを「リアじゅう」にし、大爆発を覚えたポケモンをパーティに加える』というルールが追加されました。必然的に爆発をメタる動きが求められるこの大会において、逆1位の象徴とも言えるポケモンが開拓されました。それがパラスです。
シャンデラの貰い火眼鏡晴れオバヒで焼かれることに定評のあるパラスですが、逆1位においては環境最上位に君臨する性能を持ちます。湿り気による自爆・大爆発の妨害、怒りの粉によるリオヌ・命がけメタ、Lv.1で採用できる故の脆さ。キノコの胞子を搭載しているので放置することも許されません。クリスマス大会で開拓されたパラスは、採用しないことに理由が必要なポケモンとして認識されるようになりました。
パラスに限らず、妨害やサポートを主軸として自分で自滅できないポケモン(ニャオニクス)に対し、「相方を倒すことで自滅手段を無くして詰める」という動きも広まりました。逆1位トリプルではなんと逆1位ルールなのに相手を積極的に殴りに行くパーティが無敗優勝を飾りました。
個人的な6世代環境の結論パーティは、やはりマジル封印です。命がけと置き土産を封印ドーブルで対策し、自爆・大爆発をパラスで止め、ヌケニンの自滅をニャオニクスのマジックルームで遅らせることで相手の自滅を徹底して妨害するパーティです。マジックルームはヌケニン対策だけでなく、スカーフや珠などの調整を崩す役割もあります。ギミックに頼らず、普通に命がけで自滅する流れも展開できるのが裏択として機能するのも強みです。
マジル封印から先の環境変遷を待つ前に、サンムーンが発売されてしまいました。6世代逆1位を考察して対戦してくださる方をお待ちしております。
7世代
6世代から仕様変更がありましたが、逆1位に影響があったのはメガシンカのSの仕様です。初速からメガシンカ後の素早さで動けるようになったので、ルカリオ・オニゴーリ・ミミロップあたりがスカーフ代わりにメガ石を持てるようになりました。特にルカリオは技が固定されずにSを上げられるようになったので、強化といえます。
一方で、猫爆発以上の強力な戦法が可能なポケモンが生み出されてしまいました。ナマコブシです。ナマコブシの特性は、倒されたときに直前のHP分のダメージでカウンターを行う「とびだすなかみ」。味方に倒された場合にも発動します。まさに逆1位のために生み出されたような特性です。そして、このナマコブシを猫騙しで倒せるポケモンが存在しました。テクニシャンを持つノーマルタイプのエテボースとペルシアンです(それぞれナマコブシとの並びは『エテコブシ』『コブシアン』と呼ばれました)。つまり、S種族値115のポケモンが使う優先度+3の技で自滅ができるのです。しかも、あまりに高すぎる優先度ゆえ止める手段は非常に限られていました。S115より上から猫騙しを打てるポケモンは限られています。この指で吸うことができるのはスカーフリオルだけです。威嚇で調整を崩すか、後発に対しては先発でマジルを使っておく、ステロを撒いておくなどが考えられますが、いずれにしても後手に回りがちです。なるべく汎用性を落とさずに対策しようとすると、スカーフリオルかメガミミロップの猫騙しになります。
エテコブシ/コブシアン対策の中で開拓されたポケモンがスポットライトドーブルです。スポットライトはこの指と違って優先度が+3で、自滅手段の無いサポート・妨害役を動かしながらこの指状態にすることができます。6世代終盤では、自滅手段が無くなって詰むことを嫌って、サポート・妨害しかできないポケモンは採用が控えられがちでしたが、スポットライトである程度復権したといえます。
また、テッカニン・ヌケニンの新たな相方として、準伝説のカプ・テテフが開拓されました。特性で相手からの先制技を無効化でき、この指役として採用されることの多いルカリオをサイコキネシスで倒すことでテッカニンの命がけを吸われずに受けることができるほか、意地ヌケニンの珠影打ちでHB0下降補正テテフがちょうど確定1発という芸術性の高さがあります。
…と、この他にも面白そうなポケモンや新戦術はあるのですが、なかなか大会が開けず、環境が進まないままに7世代は終わってしまいました。
おわりに
以上、主観による逆1位ダブルの振り返りでした。個体の調達が非常に面倒&通常ルールに流用出来ないという欠点はありますが、非常に面白いルールなので、もっとプレイヤーが増えてほしいです。
剣盾ではパラスの不在、リオル・ルカリオのこの指没収、強力な新特性『かがくへんかガス』、逆1位のために生まれてきたようなサポート性能を持つイエッサンの登場など、逆1位の環境が6・7世代のいずれとも全く違うものになりそうで、非常に楽しみですね。
12月14日~12月22日の期間で剣盾逆1位杯を開催するので、参加申請お待ちしております。
詳細はここ