「ボーンアゲイン~運命のトライアングル~」 - 最強眼福キャストを多次元で楽しむ
★★★★
観よう観ようと観そびれていた一本。見どころはたくさんありますが、イ・スヒョクとチャン・ギヨンというかなり強烈なイケメンふたりがタイプの異なる男を演じているのでそれだけで何か画面に重量感がありました。キャラクターに少々デフォルメが効きすぎなきらいはありつつ、ヒロインふくめ全体的に奥行きのある演技で最後まで観せきってくれます。終始軸となるのは大変絵になる三角関係。予想以上に面白く観ることができました。
始まりは1988年、女性がを狙った連続殺人事件が発生します。虐待を受けずっと暗い環境で育ってきた青年・ジチョル(チャン・ギヨン)は、事件の犯人が自分の父親であることを知っていましたが、そんな父から「お前も人殺しになる」と言われていました。
ジチョルが心の拠り所にしていたのは古書店で働く心優しい女性、ハウン(チン・セヨン)。ハウンには刑事のヒョンビン(イ・スヒョク)という恋人がいますが、ハウンは重い心臓病も患っていました。そしてそんなハウンの病気について知ったジチョルは彼女の心臓のために事件を起こしてしまうのです。ハウンを想い救いたいジチョルと、同じくハウンを愛し守ろうとするヒョンビン。こじれてしまった3人の関係は悲劇を生み…そしてそこから30年あまりが過ぎた2020年。骨考古学者のサビン(チン・セヨン)、検事のスヒョク(イ・スヒョク)、そして医大生ジョンボム(チャン・セギョン)はとある事件と大学でそれぞれに出会います。再び芽生える愛情と、各々に結びついていく30年前の事件。
メインの3人はそれぞれに2役であり、その2役ずつが80年代と現代とで異なる関わり方をするので、各々少しずつ違う性格や心情を表現するのがすごく難しそうな話ですが、次第に絡み合っていく感じをうまく表現しているなぁと思いました。特にチャン・ギヨンはどちらの生においても育ちがややこしく、度合いは違えど欠落した部分のある役。ジチョル時代はイケメンさもかなぐり捨てており、見応えのある演技です。よくある転生モノに比べて前世今世のインターバルが30年と短く、生まれ変わる前と後のどちらのことも知っているキャラクターまで存在するというのがこのドラマならではの点かもしれません。それゆえ複雑さも増しています。
殺人事件をベースにしたサスペンスが全編を覆ってはいますが、ジェントルマンで真っ当に愛してくれるイ・スヒョクと、生まれたてのような無邪気な愛情で盲目にぶつかってくるチャン・ギヨンという究極の2択に揺れるチン・セヨン。やはりこの三角関係の構図がなかなかの逸品です。終わり方については個々人の想像に委ねられる余地も残しつつ、ひとつ言えるのはもはや単純な結論が出せる関係性ではないということ。なのでこういう形で良かった、と自分としては感じました。
いやしかし、いかんせんイ・スヒョクとチャン・ギヨンのかっこよさ。語彙を失うくらいただただかっこいいです。かっこよさに見合うだけの演技を伴って、ときめきに十二分に没入させてくれる、そういうドラマでした。
余談ですが、ハウンの古書店として出てくる店は「トッケビ」の聖地でもある韓美書店ですね。
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