天使だったじゃないか
はじめに
出てしまいました。俺がこれから少なくとも2ヵ月は聴き続けるであろう、そして死ぬまで心に寄り添い続けてくれるであろうアルバムが。
Base Ball Bearの最新Mini Album「天使だったじゃないか」2月28日リリース。バンドの原点であるギターポップに向き合い制作されたコンセプチュアルミニアルバム!(VICTOR公式文ママ)
なんかいっつも原点に向き合ってる気がするなこのバンド。まあそれは置いといて。
あんまり楽曲の自己解釈とか得意じゃないし、歌詞を読み解く力もあんまりない。てかそもそも自分で解釈するより、作曲者の意図を知ってそのままの意味合いで汲み取りたいから。でも今作はちょっとそれぞれの曲について書いてみようと思います。最近note書いてなかったしね。解釈足りてない曲は文章薄くなっちゃうかも。そのうち加筆修正しよっかな。
Tr.1 ランドリー
主人公はコインランドリーでシロクマの動画を見ながら洗濯が終わるのを待っている。明日のために"洗濯"をしておこう、という"選択"。人間誰しも汚れずに真っ白では生きられない。それはシロクマも一緒で、名前の通り真っ白なわけじゃない。土で汚れていたり、野生のシロクマなら食事のあとは血で汚れていたり。10代の頃の輝きを思い出して、今の日々はなんなんだろうと思うことがある。人生の折り合いはついたようで、ついていないから、思い出が湧いてきて、さみしくもかなしくもなる。あの頃想っていた君のストーリーは表示されない。ブロックされたのかもしれないし、親しい友達リストに入れなかったのかもしれない。もしくは、もう亡くなったのかもしれない。あの世に行かなくたって、君は天使だったじゃないか。シロクマの動画に出てきた親子の姿を見て、ひとりの自分の姿が心に沁みる。物思いに耽っているときの悲しさが漂う曲。でも明日も生活はぐるぐると続く。
Tr.2 _FREE_
Base Ball Bear Gt.Voの小出祐介(以下こいちゃん)は以前からSNSを皮肉ったり、疑問提起する曲を書いてる。それって、for 誰? part.1とか。
ここはあからさまにTwitterのことだし、"今はもう見なくなったんです"の「です」の部分はどう聞いてもわざと「エックス」と歌っているし。SNSで手元に流れてくる情報、おすすめされた投稿とか、無関係な連なりばかりを束ねて勝手にそれが世界のすべてだと感じたりしている。SNSうるせー。
Tr.3 Thousand Chords Wonders
ライブハウスで、もしくは文化祭の体育館で、ブレザーに手を突っ込んで壁に寄りかかって、つまらなさそうにバンドのステージを見ている場面から始まる。うつむいたらつま先の剥がれたスニーカーが目に入って涙が落ちる。
ここ本当にマジでガチでベボベリスナーの男子全員の気持ち過ぎる。こいちゃんは、結構徹底してラブソングで安直に好きだなんだ愛してるだなんだ、会いたいだなんだと歌わない。歌ってるんだBabyでは「会いたい時に君はいない 淋しい時に… そんなんじゃない」と言っているし、short hairでは「僕はいま僕のことだけ 僕がいま僕のことだけ 考えられればきっと傷つかないのに なぜだろう 君のことだけ 浮かぶのは君のことだけ」と、ラブソングともそうでないとも取れる詩を書いている。初恋では最後の最後ラスサビで「いま、君が好きだ」と歌っている。これがめちゃくちゃ良いんだ。簡単に好きとか言わないから最後の最後に好きって言うのが最高なんだ。語彙力失っちまうんだよ。俺たちベボベリスナーはその歌詞に熱く心動かされたし、自分の今抱えている気持ちはまさにこうだ!と思って青春時代を過ごした。そして安直な、バカみたいなラブソングを歌って/聴いてる奴らと自分は違う!そんな奴より俺にしとけよ?とブレザーに手を突っ込んで(俺は学ランだったけど)過ごした。でもこの曲では上記の歌詞のあとにこう綴っている。
いやマジでそうなんです。結局はそんな自分がいやだなって思ってたんだよ。君のようになりたかったよな。こいちゃん、呪いを解いてくれてありがとう。
Tr.4 Late show
この曲、正直このアルバムで一番好き。ベボベの夜~明け方の雰囲気を感じる曲、大概好きかも?不思議な夜然り、新呼吸然り。
レイトショーを観終わって街を歩いている。夜12時くらいかな?夜と朝の真ん中。昨日と明日の真ん中で空が濃い紺色からだんだんと白んで、オレンジと白が混ざり始めて、なんとも言えない色になる。日々はどんどん移ろって、戻りたいあの日の記憶の中の景色も変わってしまう。またこの映画観に行こうねとか話してたあの日を思い出して、切ねえ~。
Tr.5 夕日、刺さる部屋
先行配信されてたこの曲。アルバムタイトル的にはランドリーが先行配信されそうなもんだけど、なんでこの曲なんだろうと考えてみた。一番最初にできてたから、とか、レコーディングが一番最初に終わったから、とかそんな理由かもしれないけど好きなこと言わせてください。後で何でも言うこと聞くので。このアルバム全体の雰囲気として、かなり過去を思い出すときの切なさが漂っている。それは回りまわって、まさに今過ごしている日々のかけがえのなさ、美しさを語っている。そして、まさにこの曲がその雰囲気を最も濃く湛えているからこそ、先行配信されたのだと思う。きっとそう。今はそう思わせてください。
今作のひとつ前にリリースされたアルバムDIARY KEYに収録された「海へ」でも"さよならは言わなくていいよ 失くしたものにも どっかでまた会えるのさ"と歌っているけど、あの頃の日々の輝きとか、失ってしまったと思っているけど、きっといつかまた会える。それはまさに今かもしれない。そしてこの曲は過去の日々の、みんな忘れてしまう何気ない日々の1ページを描いている。眩しい夕日の刺さる部屋で、新しいステッカーギターに貼るから選んでよ~なんて話したり、ファミレスでドリンクバーとポテトだけ頼んで朝まで喋りっぱなしで、ドリンクバー頼んだのに全然ジュース飲んでねえじゃん!なんて笑ってたり。君も忘れてしまうし、僕も忘れてしまう季節が過ぎる。でもそれは今だってそうかもしれない。後で思い出したら、かけがえのない1日になっていて、あの頃はよかったな、なんて思ってるかも。てか多分思ってる。学生から社会人になって、毎日同じことの繰り返しでつまんないな、なんて思ったりもするけど。それでも毎日を振り返ったら楽しくて幸せだな、とこの曲を聴きながら思う。
Tr.6 Power (Pop) of Love
(WHAT IS THE) LOVE & POP?みたいなタイトル!そして関根嬢の朗読パート!圧倒的に勢いのあるギターロック!あ~もう最高です。あざます。
"静かな美術館に 並ぶポンペイの出土品のグラス"のフレーズはSIMAITAIの"君としたいことは沢山 遺跡巡りもしてみたい"を彷彿とさせる。最高じゃん。美術館デート。ポンペイの出土品を興味津々に見てるカップルってどないやねん。仲良し過ぎるやんけ。二人同じスピードでハン・ガンの「菜食主義者」を読み終えて感想を言い合ってる。お互いの意見をきちんと聞き合って、押しつけもしてこない。惚れてまうやろ。ベボベ界隈では近年稀にみるレベルのパワフルなラブソング。そして歌われる"夏い 日差し"。出ました"夏い"。あざます。抱きしめたいなって衝動も一旦検証するために持ち帰る。こんなにも燃え上がってるのに、いったん慎重に持ち帰る。これがベボベのラブソング。あざます。愛がどうだ 恋がどうだ 考えるのもめんどくさくても好きになっちゃったらしょうがないよね~~~Power (Pop) of Love!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
さいごに
散文駄文すみません。ベボベの新譜が出てくれたことが本当にうれしくてそのままの勢いで書きました。きっとこのアルバムは俺の人生で出会った名盤ベスト3にランクインすることでしょう。かなり親しみやすいギターポップのアルバムなので、皆さんもぜひ聞いてくださいね。
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