ウクライナ侵攻~通信ネットワークから見たロシアの戦争
はじめに
ロシアによるウクライナ侵攻等に対して、米国、EU、日本始め G7 諸国や主要国がロシア、ベラルーシに対して制裁を発動している
ロシアもそれに対応し対抗措置をとっている
情報通信の分野では、これまで準備してきたフェイクニュース法やインターネット主権法を用いて情報統制を行っている
ここでは著者の備忘録として、通信ネットワークから見た制裁と情報統制の状況をまとめていく
不適切な情報は見つけ次第修正します
通信ネットワークから見た戦争
インターネットトラフィック規制
2/24のウクライナ侵攻から、ロシアでは外部インターネット遮断の動きがあった。
以下、CISTEC『米国・EUの対ロシア制裁概要と関連諸動向について(改訂3版)』引用
以下はロシア大手通信キャリアのトランステレコムの3/7のピアリング状況
西側のTier1も一部を除いて撤退。IPv6ではIIJも接続中。
※Lumen や Cogentのトラフィック遮断後、AS1299(Arelion)などが増えた。インターネット自体は停止していない。
ロシアの戦争準備
フェイクニュース法
3/4 軍に関するフェイクニュースに刑罰を科す法案を可決
インターネット主権法
インターネット主権法とは?
ウクライナ侵攻後、同法に基づき、3/4にフェイスブック、ツイッターを遮断
2019年からインターネット主権法に基づき海外ネットワーク切り離し実験を実施していた。
コンテンツ・サービス影響
決済ができないため事業者側から撤退をした。または、情報統制の目的でロシア側からbanされた西側のサービスは全世界のインターネットトラフィックの半分以上を占めるものと想定される。
ただし、ロシア国内では代替のサービスもある模様。
検索サイト :Google → Yandex
SNS :Facebook → VKontakte
Instagram → Fiesta
メッセージ :WhatsApp → Telegram
動画投稿サイト:Youtube → Ru Tube
クラウド :AWS/Azure → Superbithost?、Alibaba Cloud?
日本の安全保障を少し考える
メッセージアプリ
自衛隊や国の機関で当然検討されていると思いますが、インターネットは今や欠かせないインフラであるため、専制国家のサービスを使っていると、フェイクニュースや世論操作の工作に使われる可能性があります。
現在の日本で使われるメッセージアプリは、韓国資本の『LINE』がスタンダードになっていますが、以下のようなニュースもありました。
対策も①データ保管を国内に完全移転 ②中国からのアクセスを完全遮断となっていますが、韓国からのアクセスや、日本国内に潜入しているスパイに対して、本当に対処できているのかは、不安が残る説明に思えます。
通信サービスのBCP
通常通信キャリアはデータセンタを東京と大阪といった地域で分散し、災害時にバックアップできるようになっています。ただ、地震と違って、他国から攻撃を受け、光ファイバがエリア単位で切断されると、通信を行うことができなくなります。
その場合、バックアップをする移動基地局を大手三社は整備しようとしているようですが、あくまで暫定的なものであり、サービスの継続性を考えると、衛星通信の整備が不可欠になります。
KDDIはスペースXと、ソフトバンクは子会社のHAPSモバイル、ドコモはスカパーJSATと組んでいるようですが、有事の際には相互連携するような仕組みは政府主導で整備してほしいところです。
最後に
ロシアは国内とプラス中国などで代替サービスを確保しており、一応西側のサービスがなくてもやっていける程度には整備していたようです。
世界一核爆弾を持っている国だからでしょうか、通信サービスにおいても安全保障が念頭にあったように見えます。同じことは中国にも言えます。
少し前にトランプさんが5Gで中国の締め出しを行いましたが、日本でも重要インフラは市場原理だけに任せていてはダメだった、と後悔する日が来ないことを望みます。
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