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楽天は独自のクラウド技術のためにRedHatのOpenStackを投げ打った

はじめに

  • lightreadingというサイトに興味深い記事があったので概要を紹介します

  • 楽天は2019年にモバイルネットワークのオール仮想化で鳴り物入りで第四のキャリア事業に進出しましたが、記事によると、すでに設備の入れ替えを計画しているようです

  • 英語はうまくないので意味不明でしたら原文を確認ください

https://www.lightreading.com/service-provider-cloud/rakuten-is-dumping-red-hats-openstack-for-its-own-cloud-tech/d/d-id/777568

記事の背景

2019年2月のケータイWatchに以下の記事がありました。

レッドハット、楽天のモバイルネットワーク基盤を構築

  • レッドハットと楽天モバイルネットワークの協業では、汎用サーバー上の仮想化環境でネットワーク機能を実行するNFV(Network Function Virtualization)クラウドが構築される

  • NFVクラウドはシスコシステムズがインテグレーションし、データセンターからエッジコンピューティングまで展開される

  • そこから3年あまりで基盤を刷新するということです。

  • 通常のキャリアでは3年やそこらで基盤を切り替える、ということは考えられませんが、そこはソフトウェアベースを謳っていただけあります。

  • 昨今の携帯事業の苦戦状況からか、高価なredhutから自前のクラウド基盤に変えて、さらに競争力のあるものにする、という意図が見えます。

  • 4期として4229億の赤字を出したり、0円プランを廃止して、大炎上するなど前途多難な楽天のモバイル事業の今後の動向か注目されます。

lightreadingの記事

5Gのベンダ選定

  • 4Gでは無線ユニットはノキアとKMWがおもなサプライヤーだった

  • それが、5G環境ではAirspanとNECに変わっている

  • さらにパケットコアでもCiscoからNECに変えている

※著者コメント 以下のような記事もあり、報われてよかったですね。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00687/121600022/?P=2

OpenStackとの決別

  • 今年、タリクアミンがCTOからCEOに昇格

  • その後、2月下旬にシリコンバレーを拠点とするクラウドスタートアップであるRobin.ioを買収

  • Robin.ioの実行コストは、OpenStackのコストより50%低くなるとのこと

  • red HatのOpenStackプラットフォームは段階的に廃止していく計画

※著者コメント 昨年4月時点でもコンテナ化は表明されていたが、その後OpenShiftは採用されなかった模様

仮想化からコンテナへ

  • コストの低下は下層からからコンテナベースに移行することでもたらされる

  • また、コンテナ化によってより柔軟に機能を追加することができる

2021年4月楽天モバイルの仮想化の取り組みについて
https://www.soumu.go.jp/main_content/000744516.pdf
※著者引用
  • 5GではRobin.ioの買収を通じて、Symcloudと呼ばれる独自のプラットフォームに進化し、移行する

  • さらに4GワークロードをSymcloudに移行するプロセスはすでに開始されており、タリクアミンは来年3月までにそれを完了する予定

  • 楽天シンフォニー独自のオーケストレーターによって完全に調整され、100%独自に開発されたクラウド環境で実行される

  • 日本のネットワークで「証明」された他のテクノロジーと同様に、Robin.ioの製品は現在、楽天のベンダー部分であるSymphonyの一部として他のサービスプロバイダーに販売されている

プライベートクラウドからパブリッククラウドか、もしくは・・・

  • 米国では、DishはほぼすべてのネットワークをAWSで実行することに同意し、AT&Tは5GコアのホスティングについてMicrosoftAzureと契約を結んだ。

  • ただし、ヨーロッパでは、BTとVodafoneの両方が、コアネットワークをパブリッククラウドプロバイダーに委託することについて留保を表明している。

  • 業界はまだその快適ゾーンを発見している。

楽天Symphonyというパブリッククラウド

  • Symphonyの製品のほとんどは、どのクラウド環境にも展開でき、AT&Tに販売したサイトマネージャーツールは、タリクアミンによるとすでにMicrosoftAzureクラウドで実行されている。

  • Altiostar無線アクセスネットワークソフトウェアもSymphonyにて維持される。

  • 「重要なのは、ハイブリッドクラウド環境にワークロードをデプロイできる適切なオーケストレーションプラットフォームを用意すること」とタリクアミンは述べる。

  • 事業者や他の企業が少数の巨大ベンダーへの過度の依存とビッグテックの成長する力について心配しているなかで、楽天の動向が注目される

最後に

  • 今回驚きだったのは、モバイルコアをシスコから国内ベンダに切り替えたという点です。ファーウェイ亡き後、コスト削減に頼るべくは国内キャリアだったというところでしょうか。円が安くなったのも要因の一つにあるかもしれません。

  • 楽天カードマンはAmazonを敵視していますが、この分野で先頭をひた走るAWSを追従すべく、Robin.ioというクラウドベンダを買収し、自前でクラウド基盤をインテグレートする展開があったとは思いませんでした。

  • 赤字に耐え切れず、楽天がモバイルの事業を売却するか、AWSのように最終的に金の生る木になるか、注目したいです。

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