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Hiraeth

大好きだった人の家に緊張しながら歩いたあの細く狭い道を歩く意味が無くなって、大好きな人と笑って楽しく過ごしたあの時間に戻れなくてあの頃は幸せだったと思い出して寂しくなる冬が訪れました結構前に


自然消滅したあの関係が苦しくて嫌で二度と思い出したくないはずなのに知らず知らずの内に記憶が美化されて、時が経つにつれて未練が出てくる。

知らぬ間に何年かぶりの再会。自分は諦めたのに何故か関わっていて、だけどもう何の感情も出てこなくて意味分からなくなって自分に寂しい思いをした。


この思いを言葉にして消化したかった。言葉で消化できなかった。その思いが心の、頭の片隅にあって色んなタイミングで思い出して自分に対して嫌な気分になる。

あぁ、諦めたはずなのに、少しずつ消化できていたはずなのに。あの過去を忘れたら過去の自分を否定するみたいだ。

上手くいっていたのになぁ。言われた言葉に振り回されて、穏やかになった心が一瞬にして激しい波に攫われて波の中に沈んでいく。重くて暗い空間に一人。

息がしづらい空間が心地良くなっていく。不定期な波の流れが自分を落ち着かせる。誰も自分を責められない。勿論自分も自分を責めることができない。


この状況がいつまでも続けば慣れていく。あの人が待っている人は僕ではない、そんな君が好きなんだと思う、きっと違うけどそう思うしかない。

世間一般的な気持ちに対抗するように変わっていく自分。少しずつ捻くれる。後戻り出来なくなる。重い空間に更に沈む。穏やかな波の流れに乗って生活をしていたのに、ここどこ?


あぁそっか、最後の最後まで君に振り回されてるのか。終わりが来るはずのない激しい波が僕を困らせる。

人肌恋しくなる冬がいけないんだ。冬が好きなのに、冷たい空気と共に生活が好きなのに、嫌いになりたくない。ずっと好きでいたい。

冷たい空気にはどんな感情が篭っているんだろう。誰かの寂しさが、誰かの未練が、詰まっているのかもしれない。それに共感して人肌恋しくなる人達がいる。その人達と共有して暖かくなりたい。

でも共有だけで簡単に暖かくはなれない。辛い過去がそうさせない。支えてくれるはずの過去が、背中を押してくれるはずの過去がこれでもかというように底の終わりが見えない狭くて不安になる筒に入れと落とされる。

この思いと一緒にこれからを過ごしていく。そんな思いを塗り替えてくれる人が現れたら、なんて非現実的なことを思う。


それでもいい。将来上手くいけばいい。僕を沈ませる波に攫われていけばいい。

暖かくなれなくとも、好きな冬が苦手になっていってもそれでも好きなんだ。

完全なる過去にしてしまえば僕の勝ち。押せない引けない開かないドアを開けて、沈んだ空間から抜け出せるその日まで一緒に生きていく。

よし、一緒に過ごしていきましょ

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タイトルの「Hiraeth」は直訳できないらしいです

分かりやすいように言えば、「帰ることが出来ない場所への郷愁、望郷。失ってしまった過去の記憶や時間を懐かしむ。」ような意味みたいです。

その意味を知った僕はどうにかやっと消化に近づけた言葉を作り出せました。

それでは、また出会いましょう。

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