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あの時の好きなもの

大切な人が遠くに行ってしまったあの日、あの日から好きだったものが怖くなった

あれだけが、僕の救いだったのにな

一人で歩くあの夜道が好きでずっと歩いていたいって思って家に帰りたくなかった日々が


あの日、近くにいなかったのに想像しただけで身体が強ばる

救急車の音が心臓をぎゅって捕まえる

きっと近くにいたら僕が僕じゃなくなっていた

近くにいた人が今まで通り過ごしているのが羨ましい

ずっと縛られていてずっと身動きが取れない
だけど苦しくない
でもこのままでいたら怯える日々を送る

今まで何とも思わなかった音が身近に感じてずっと耳の中で繰り返される

ただ耳の中にいるだけで本当は何も無い


夜が怖くなった

歩けない

もしあの音が近くを通ったらなんて考えるだけでも手が震える動悸がする

夜が来なければ良い

青空の下で人が忙しなく動いてたら良い


夜を好きになりすぎたから?

朝を好まなかったから?

太陽を嫌っていたから?


何が正解なのか、何も正解ではないのか

僕を外から見た人間はきっと臆病者だと言う
僕も言う、僕は臆病者だ


忙しなく毎日が過ぎればあの時のように好きになれるのか、過ごしていてもずっと縛られてるのか

きっとずっと後者だ


苦しいはずなのに苦しくなくて、でも苦しくて
一区切りがつく日に僕は一区切りが打てない
きっとこれからもずっと


大切な人にありがとうとごめんねを伝えきれなかった後悔が付いて回る日々を送り続ける


ずっと実感が湧かなくて気付いたら目から何かが溢れてる、寂しいな、ごめんね

自分を責めちゃダメだって分かってるのに周りがいつも通り過ごしてるから、何故か余計に自分を責めるしかなくなる


あの時こうしていれば、きっと

あの時ちゃんと言っていたら、きっと


いつか、今抱えて身動きが取れない後悔と共に歩ける日が来るのかな


いつもごめんね、いつもありがとう
照れていつも言えなくて冷たくしちゃってたけど大好きです、もっと大事に一緒に過ごしていたかった

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