今だから語りたい!メイク・グレートウォール・グレート・アゲイン

 この記事は定期ゲやったことある人たちのアドカレ Advent Calendar 2020
に参加しております。ブラフではない。

はじめに

 スーシロです。
 私の自己紹介は今回それほど重要ではないだろう。何故ならこの記事は、この上なくクールでホットなゲーム通称メググアについて語るという栄誉を許された、とても幸運な記事だからである。その幸運はまさにアメリカンドリームそのもの。公式アカウントのツイートをご覧いただきたい。

 私はこの度、幸運にも、メググアを運営する存在……それはとても忙しく、貿易摩擦やフェイクニュース、そして人々を分断しようとするあらゆる脅威に立ち向かうもの……から、一つの許可をいただいた。メググアを取材し、記事として仕上げる許可である。独自のパイプを用いた取材交渉への返答すら、およそ常人が活動する時間ではない真夜中に送られてきた。日々のエキサイティングな業務という一文にブラフはない。ここに私は、確かなファクトを感じた。

(追記:初歩的な見落としだった。日本標準時では夜中でも、世界のどこかでは昼間である可能性、即ち、日本とアメリカの時差について、私は完全に失念していた)

 このゲームについて初めて大量の文章を書くことを許された一人のプレイヤーとして、私は歴史に名を残す栄誉を掴んだ。それは、メググア運営、敬意を表してプレジデントと呼称する(注:プレジデントとは議長や代表取締役など長を指す言葉である。本稿ではメググア運営を一つの集団として定義し、この呼称を用いる。他意はない)が、プレジデントの熱意、とりわけ、ゲームをプレイする人民たちへの真摯なる姿勢の表れであり、情熱そのものである。プレジデントには、この場を借りて改めてお礼を申し上げたい。


メイク・グレートウォール・グレート・アゲインとは?

 メイク・グレートウォール・グレート・アゲイン、通称メググアとは、とてもエキサイティングでクールなゲームだ。上記ツイートを確認して欲しい。栄光の帰還の物語。なんだろうか、この言葉は魔力を持っている。それは私たちの記憶……親に内緒で、秘密の探検をしていた頃の、あのワクワクとした気持ち……を呼び覚ます。再び偉大に。紛れもなく明確で、この上なく簡潔な動機が与えられるところから、このゲームは始まる。

 記事が公開されるのは12月8日だが、この記事を執筆しているのは11月中旬~末頃。先に行われたアメリカ合衆国大統領選挙の熱気冷めやらぬ時期にこの記事に当たっているため、内容にやや古い点が出てしまうかもしれないが、ご容赦いただきたい。何故なら、かのメググア運営だけではなく、誰にとっても12月は忙しいからだ。

 さて、どんなゲームにも主題が存在する。愛、友情、生と死、克己……主題は様々だ。
 このゲームが訴えかけている問題とは何か? それは、融和と団結だ。


壁を作るゲーム

 、という文字の成り立ちを紐解こう。この優れたる表語文字は、文字の属性を示す「土」と、音をあらわす「辟」が組み合わせられている。「辟」は様々な意味を持つ……刑罰や天子(君主)を指し、また、避けることと拓くことを意味する。一見するとアンビバレンツな二つの反属性を備えるのが辟、そして土。「壁」という字は土でもって避けることを意味することもあれば、土地を拓くことを意味することもある。当然だ。壁は営みを遮る区切りであるが、営みは区切りを乗り越えるのだから。

 話をメググアに戻そう。この比類なきゲームは、定期更新型ゲームでありながら、定期更新型ゲームという「壁」を乗り越えた作品だ。下記ツイートをご覧いただこう。

 定期更新型ゲームは、定期的に更新されるゲームの総称だ。しかし、メググアは、そうであってそうではない。シミュレータ等のゲームに必要なツールが配布される。しかる後に各自がキャラクターを作成し、公開する。シミュレータに公開されたデータをダウン・ロードすることで、ゲームをプレイヤー自らが定期的に更新する。これは公式アカウントがファクトとして述べているファクターである。

 これは極めて画期的で、独創的、そして言うまでもなく挑戦的……フロンティア・スピリッツが宿っている。超大国アメリカ流のガッツが詰め込まれた要素について、一つずつ見ていくことにしよう。
 第一に、各自が参加者をチョイスする。これは連れ出し型ゲームと呼ばれるような、固定のパーティを組むのではなく、その時々に合わせてキャラクターを連れ出し、困難に立ち向かうものに似ている。
 第二に、シミュレータが配布される。そう珍しいことではないかもしれないが、このゲームでは各々がGM、ゲーム・マスターとして楽しめる。
 第三に、これが最も筆者の関心の高いところではあるが、当然、プレイヤーとしても楽しむことが出来る。GMとして、プレイヤーとして、一つのゲームが二つの側面から体験出来るという未来が、想像もつかないほどにエキサイティングだ。

 壁を作るという極めてシンプルなスタイルも魅力だ。人は己が経験した物事であればあるほど理解力が高まる。魔法の世界で剣を振るったことがなくても、誰でも一度は壁を作ったことがあるだろう。思い出して欲しい。それはリビングの片隅に置かれたダンボールであったり、アリの動きを遮る盛り土だったり、人との間に作る距離感だったりする。壁を造ったとき、一体どんなことが起こるのか……それは、誰もが知るところだ。

 TRPGを強く意識した作品である、とプレジデントはツイッターで告知していた。人民一人ひとりがGMとして遊ぶことが出来るよう、ルールを作る。これは、人民一人ひとりの生活が尊重されるよう、ルールを作ること……国家と呼ばれる集合体の役割に似ていると感じるのは、気のせいだろうか。


団結と融和

 団結と融和は、21世紀の世界に蔓延り、未だ人類が打ち克つことの出来ない凶悪な病……分断と対立に真っ向から立ち向かう概念である。今後の人類の未来は、私たちがいかにこの団結と融和によって他者との関係を構築し、互いを認め合う社会を発展させることが出来るか否かにかかっている。

 話をメググアに戻そう。メググアでは、プレイヤーが王となる。王は歩き、歩いたところには壁が生まれる。そうやって生み出された壁を使い、蛮族の侵入を防ぐのが、このメググアというゲームの基本となる。

 メイク・グレートウォール・グレート・アゲインの名に恥じぬ通り、長大な壁を作り、再び偉大にするのが目的であり、各々に課せられた使命だ。そのため、王は……プレイヤーは協力し、手を取り合い、壁を首尾よく、また、頑強に拵えることで、蛮族の侵入を防ぐ。この部分だけを切り取れば、このゲームは伝説の万里の長城のように、あるいは既に崩壊したベルリンの壁のように、民族と民族を、営みと営みを分断し、対立させる壁を作る、分断と対立のゲームと見られるかもしれない。
 しかし、私は断言する。それは大きな、全くの思い違いだ。

 壁を作ることは、物語である。GMは、プレイヤーたちの活躍を、一つの物語として見守り、完成させる。それは、蛮族とプレイヤーの対立ではない。物語の悪役と正義は対立か? 自分たちと、そうでないものは分断されるべきか?

 答えは否。壁を作るだけではゲームは、物語は完成しない。壁を作り、侵入を防がれる蛮族が居てこそ、ゲームはゲームとして輝くのだ。
 融和と団結とは、相互の理解である。プレイヤーは団結し、壁を作る。蛮族は団結し、壁を乗り越える。融和とは、互いの存在を認め合いながら、しかし同化することなく、違いを認め合ったうえで共存することだと、私は思っている。良き隣人として接するためには、近づきすぎず、遠すぎず、適度な距離感をもって尊重し合うことが必要だ。真に愛すべきは隣人であり、隣とはたいてい、壁の向こう側に住んでいるのだから。


終わりに

 間違いなく、この2020年は……人類史上最も過酷な一年の一つとして人類史に刻まれることだろう。新しく生じたもの、または古くから続くもの、多くの困難が我々の前に立ちはだかり、意志を挫き、団結を分断し、哀しいことですが、直面する危機的状況は今なお続いている。

 最後に、19世紀から前世紀にかけて活躍したイングランドの作家、G・K・チェスタトンの言葉を引用し、本稿の締めとしたい。

壁が建てられた訳を知るまで、壊してしまうべきでない。
You shouldn't take the fence down until you know the reason it was put up.
ギルバート・ケイス・チェスタートン(1874~1936)

 メググア公式アカウントのツイート告知から、12月2日で一年を迎える。この一年で、世界には様々な問題が溢れていることを、我々は再認識することになった。貧困、格差、中傷、対立、資本主義……暗く滅入るニュースが、テレビやラジオといったマス・メディアを通じて毎日のように生活を塗り潰してゆく。人々とメググアを取り巻く情勢は、かつてないほどに大きく変化した。
 メイク・グレートウォール・グレート・アゲインは希望だ。グレートウォールは再び偉大に、何度でも最高になる……メググアを通じて、我々もまた、何度でも最高になれるのだ。
 プレジデントが多忙なのは火を見るよりも明らかだ。だが、その持ち前の不屈の精神力と強い指導力で、プレジデントが日々のエキサイティングな業務に打ち勝つまでの間、すなわちメググアの完成を待つ間、我々の心は常に新たなるこのゲームの誕生に思いを馳せ続ける。

 だから私はこう叫ぶ。メイク・グレートウォール・グレート・アゲイン!!


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