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未亡人になるということ6~わたしは冷酷な妻だ~
ずっと前に約束していた、LIVEの日が近づいていた。私は20分ほどの弾き語りをすることになっている。
それは、OTOさんを亡くしてたったの19日目だ。
もちろん、常識的にもおかしいでしょう。お断りしよう。
すると、娘ふたりが言う。
「やめることないよ。
行けばいいと思う。」と。
「OTOさんは、ママが弾き語りの仲間がいて、楽しみがあって良かったと、いつも言ってたから。
行ってきなよ。」
そして私は、お洒落な都会の街へ、いかにもLIVEに行く洋服で出かけて行った。何もかもが、夢の中にいるようで、感覚鈍麻とでもいうのかな。ふわふわしたまま、LIVEに出演し、笑い、拍手をし、二次会にも出た。
自分がそんな事をしたなんて、信じられないと今なら思うけれど、1ヶ月経つまでその感覚は続いた。OTOさんが死んでしまった。この世にもういない?!
それが理解出来ず、拒否したかった。涙も出なかった。
そんな日が続いたのだ。
わたしは、冷酷な妻なのかもしれない。