花束みたいな恋をした 感想
忘れないうちにメモ!!ネタバレもガンガンあるので、閲覧注意です。
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「始まりは終わりの始まり」最初から伏線回収かあ〜〜!ってなった。こういうおしゃれ演出大好き。大恋愛が終わったところで、一年も経てば新しい恋したり恋人いたりするよね…別れた当初はめっちゃ悲しいし、もう一生、恋人作れんかもとか思うけど全然そんなことない。
恋に落ちるまでの落下速度はえぐかった。あ、この人いいな、と思ったらどんどんいいとこ見つかってさらに好きになるやつ。「電車に乗ってるとき」じゃなくて、「電車に揺られてるとき」っていう言葉選びがいいな。とか、え、こんなに趣味が同じ人いるんだ。あ、その感覚、私も同じだ、とか。(逆も然りで、嫌なとこ見つかったら、どんどん気になり出してあっという間に嫌いになっちゃうんだけど)
偶然同じバッグを持ってたり、ジャックパーセル同じなのはちょっとやりすぎ感がある気がしなくもないけど、小物の趣味が同じって結構ポイント高い。こういう細かいところにセンスが光る。映画の半券を栞にするとか、なにそれ私もしてみたかった!好きな音楽、本、ブランド、服の趣味、一緒に食べるものが美味しいとか、自分を形作ってきたものが共有できるって楽しいよね。自分の人生ごと肯定された気になる。
恋人が電話の向こうで泣いている時、Tシャツと短パン、サンダルで駆けつけてくれる彼氏めっちゃ素敵ーーーー!!優しい。
前半が幸せいっぱいだった分、後半からはまじできつかった。些細な言い方が癪に触ったり、楽しみにしてた約束を反故にされたり、ちょっとずつ2人の歯車が噛み合わなくなって、ああああこの喧嘩、私もしたことある…!長く付き合っていくと、好きって気持ちだけじゃ乗り越えられないこともわかってくるし、現実も見えてくるし。学生から付き合ってたら特に、そのギャップを思い知らされてしまう。
最初の「夢を追う麦、それを陰から応援する絹」っていう構図が逆?になるのがリアルだなーと思った。「普通って、難しい」は刺さったね。案外、男の人の方が現実見てて、役割とか責任とか世間体とか年収とか気になりだすのかなー。仕事のやりがいとかも見つけたりしてね。夢を忘れて、あまり好きでもない仕事に明け暮れて、大好きだった本やゲームから離れて行って、パズドラだけしかしなくなって、消化するだけの日々。ほんま、、、共感しかない。好きなものとか趣味とかって、はまってるときは永遠と時間かけられる!と思うけど、一回離れてしまうとあの時の情熱はなんだったんだろ…ってなる。好きなものを好きでい続けることはもしかしたらエネルギーがいることなのかもしれない。
大好きだった麦くんの大好きだったところが変わっていく様を、目の前で見る絹ちゃんは寂しいだろうなあと思った。「ピクニック」読んでた彼氏が自己啓発本読んでたら、そりゃ悲しいよね。デートもなんか「仕事の合間に付き合ってあげてる」みたいな感じになって、ちっとも楽しくない。
絹ちゃんは、麦くんと同じものを見て、食べて、ゲームして、いろんな思い出を「共有」したかったのだろうけど、麦くんはあくまで「現状維持」が目標。男の人は「一緒にいる」だけで満足しちゃうのかなーと思った。私は女だからどうしても絹ちゃん寄りで見てしまうのだけど、一緒にいるだけじゃなくて、やっぱり映画を見て感想言い合ったり、なんてことないくだらない話をしたり、同じご飯を食べて美味しいねって笑い合ったりがしたいんだよなあ。
別れるシーンの切り出し方がほんとにリアルだった。長いこと付き合った末に別れるときってみんなこうなんかな。。男の方がゴネるのはわかる気がする。セリフの捲し立て方とか焦った顔とか、これお芝居なん!?ってなった。実際麦くんは絹ちゃんとの「現状維持」のために頑張ってきたんだろうし。復縁したところで過去の幸せだった2人にはもう戻れないし、結局は別れるしかないんだけど、やっぱり、もう一回やり直そう!恋人で上手くいかないなら結婚しよう!ってなるんだろうか。結婚すれば上手くいく、と思った矢先に目に入った、恋が始まったばかりの初々しい男女の姿。4年前の2人と重なって、涙が止まらなくなるシーンは胸が痛かった。時間って残酷。
終わってしまった恋に意味はあるのか。幸せだったあの頃を切り取ったストリートビューは、別れたあとも残り続ける、というのが一つの答えなのかもしれない。あの選択でよかったのか、それとも後悔があるのか、一年経ってあの2人はどう思っているんだろう。
恋愛映画ではあるけれど、これはカップルで見るのは絶対お勧めしないな…と思った。とりあえず思いついただけ!また思い出して追加するかも。