見出し画像

実習を通して感じた『医師』という働き方、医療の不安

こんにちは。
医学生のSuuです。
student Doctorとして、臨床実習に参加し、約1年が経ちました。
座学を受けていたときは、ほぼ一般の人と同じように抱いでいた「医師」という職業のイメージも、実習を通して大きく変わりました。

今回は、将来医師として働く自分が、現時点で感じている不安について2つ書きたいと思います。

1. 労働時間の長さ

Z世代と呼ばれる私たちの世代は、労働と自分が自由な時間を使うことのできる時間のバランス「ライフワークバランス」は、個人的価値観として大事な価値観の一つであると思う。
かくいう私もこの価値観を大切にしたいと持っている。
命に関わる仕事であるから、責務をまっとうしろという意見もあるかもしれないが、我々も人であり、短い人生を生きていく生物である。

この1年間は、主に大学病院での実習であり、自分が実際に見てきたのは、大学病院で働く医師の姿であるが、その姿は社畜以外の何者でもない。
医者は大変な仕事であるとは、ある程度想像していたし、医師という職業に限らず、大変な仕事はごまんとあると思うが、想像を超えるものである。
(給料が社会一般からすると高水準であることは救いであるが)

一般的な職業の労働時間は労働基準法では以下の通りである。
・所定労働時間は1日8時間、週40時間まで
・残業時間の上限を原則として月45時間・年360時間(36協定)

一方、医師は現状、病院の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割(救命救急センター機能を有する病院に限っては約8割)が、年間1860時間超の勤務をこなす医師を抱えているとのこと。また、中には年間3,000時間近い時間外労働をこなす医師もいるという。

医師の朝は7時30分ごろから始まり、夜7時に帰宅できたとしても、毎日12時間労働が一般的というのが、自分が実習を通してみてきた医師の働き方だ。
そこに、当直や急患がくればさらに労働時間は長くなる。

医者も働き方改革の取り組みはあり、研修医の働き方は大分改善したと感じがその皺寄せは、若手の専攻医が負担しているのが現状である。

また、2024年からは新たに時間外労働の規制が設けられるが、内容は原則「年960時間、月100時間」とする見込みとなっており、一部例外として「年1860時間、月100時間」の基準が設けられる方向で検討が進められているという。
この内容は、原則レベルでも、一般的な過労死のレベルを越している。
また、3次救急病院や一部の2次救急病院は例外となっており、大きな病院では特に現状と変化が起きないように思える。

また、この時間外労働の規制の一番の問題は、厚生労働省はこの規制を作るだけで、規制をすくることで生じる医師不足の問題の対策を考えていないことにある。
医学部定員が増加してるといえ、この規制を満たそうとすると多くの医師が不足し、この不足はどこから連れてくるのだろうか。

仕事を生涯の生き甲斐とし、仕事一筋の人にとってはいいのかもしれなが、開業医として生きていくなど、このような状態から逃れる人が多いのも理解できる。(単純に開業医の方が収入が高いから、その道を選ぶ人もいるが)
実習前まで開業は選択肢になかったが、この状態から逃れる手段の一つとして、選択肢に持っておこうと思っている。

2.医療費の問題

実習をしていると、先生方から手術や検査に使う機械やかかる費用などを教えていただくことが多い。
エコーなどの機械は数千万することが多く、一回の受診も社会保険負担分も含めればなかなかの額になる。

患者の負担はたいてい3割であり、残りは社会保険関係費の医療費として国の歳出として捻出される。
また、医療費が一定基準を越えれば高額医療費として支払いを免除され、残りは同様に国の支出となる。

平成29年の国民医療費の公費負担は16.5兆円で歳出総額102.6兆円のうち約16%を占める。
また、社会保険費35.8兆円のうち国民医療費の公費負担が占める割合は46%を占める。

これらの国民医療費の公費負担分が充てられるのは、病気になりやすく病院を利用することの多い高齢者で、ほとんど高齢者に充てられる国の歳出と考えても差し支えないであろう。

これらの公費負担分の源泉は、もちろん税金であり、実習で見学する検査や外来、手術の度に国から多くの税金が投入されていると考えると、医療費がかさみ公費が嵩むことも、なんら不思議ではない。
裏を返せば、アメリカのように医療費が高く、医療を受けることがでない人が生じてしまうような状況でない恵まれた状況であるが、少子高齢化が進み、医療費を負担する人と使う人の割合が歪になりつつある日本でいつまで、この仕組みが持つのか、不安に思う。
(国がいくら国債を刷り、歳入を増やせるとはいえ、これは国の借金である。)

平成29年の歳出のうち、教育費に当たる文教・及び科学振興費は5.5兆円で大体医療費の1/3である。
これは、高齢者に使う税金が未来ある若者の3倍充てられていることを意味するようにも思え、これから日本が衰退する未来を意味しているように思えることも、不安である。

最後に

これらの2つが、1年間臨床実習を通して感じた個人的な不安である。
医療費の問題は個人でどうにかできる問題ではないく、現段階で考えられる対処法としては、海外に移住し国籍を変えることしか思い浮かばないので、置いておき、ライフワークバランスに関しては現段階から多くの働き方を考えておきたいと思う。

まだ働いていない身分で実際に見えていないこと、謝った解釈もあると思う。正しい、情報を持つ人はお教えいただけるとありがたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?