自転車なのか何なのか 電チャリヒストリー
現在の中国で庶民の足として活躍する電動バイク。実はあれ、自転車なのである。私は電動自転車=電チャリと呼んでいるが、見た目は完全にミニバイクなので、あれが自転車といってもなかなか信じてもらえない。
今回は電動バイクがなぜ電チャリなのかという、この世で一番どうでもいいお話です。
自転車にガソリンエンジン乗っけちゃえ
自転車にエンジンを積んだら、ペダルをこがなくていいから楽なんじゃないかな。昭和・平成・令和の高校生全員が考えそうな、できそうでやらない、やったら叱られるアイデアだが、それをやってのけるのが中国なのだ。
燃油助力车
燃料アシスト車
つまりエンジン付き自転車
燃チャリ
写真中央の青いシャツの男性、右側の黒いジャケットの男性、右端の茶色いジャンパーの男性が燃チャリ(2002年10月上海)
電動アシストではなく燃料アシスト、ガソリンを動力としたアシスト自転車である。アシストとは言うものの、ペダルをこがなくてもアクセルをひねれば進む。でもペダルがついているので自転車なのだ。
燃料タンクが小さいため、当時はペットボトルにガソリンを入れて移動する猛者もいたが、現在では禁止されており(おそらく当時も)、ガソリンスタンドでの給油もNGとなっている。給油には専用の容器が必要になる。
2001〜2003年頃はこの燃チャリが、軽いエンジン音を響かせ、ペダルをくるくる回しながら街中を走行していた。
バイクらしいバイクが登場
その後、スクータータイプのミニバイクが登場。ここでガソリン車とLPガス車の二種類に分かれる。前者のガソリン車はパワーも速度も優れているが、後者のLPガス車はエンジン音のわりには速度が遅い。LPガス車のメリットとしては特別な免許が不要ですぐに乗れること。見分け方としては、LPガス車の方がマフラー部分が太く、ややヤンキー仕様になっている。
速度も扱いやすさも燃料アシスト自転車よりグッと向上したが、給油不要の電動アシスト自転車の登場で、徐々に姿を消してゆくこととなる。
電チャリ時代へ突入
初期の電チャリは見た目はほぼ自転車。サドルの後ろにバッテリーパックを刺し、一度の充電で30kmほどの走行が可能。バッテリー切れの場合は、まさに自転車としてこぎ進めることができるが、とにかく車体が重たい。
バッテリー性能が向上し、ほどなくして現在のミニバイクタイプに進化する。過去にはHONDAも自社ブランドで発売するなど、電チャリ熱が一気に加熱し始める。
ミニバイクタイプになっても、バッテリー切れの場合にはペタルをこいで進むことができる。とはいえ現在は走行可能距離も飛躍的にアップし、ペダルの出番はほとんど無いだろう。その名残が車体両サイドのペダル穴である。やはり自転車なのだ。
日本では道路交通法上「原付」に分類されるため、自転車感覚で気軽に乗ることができない。過去に「モペット」というペダル付きバイクが販売されていたが、これは「原付」にあたる。フォルムがかつての燃チャリに似ている。
日本では下記の二種類に分類される。
電動アシスト自転車
ペダルでこがないと進まない
補助動力なので自転車
アクセルがついてる
こがなくても走れる
原付に分類される
つまり、中国の電チャリを日本に持ち込んだ場合、自転車ではなく「原付」に分類されるのだ。
チャリ、燃チャリ、ミニバイク、LPガス車、電チャリなどと呼んでいるが、ひとまとめにすると「非机动车(非機動車)」に分類され、簡単に言えば「自動車や大型二輪車以外の小さいやつ」となる。細かなことはよく分からないが、あんたらまとめて全部チャリなのだ。
いかがだっただろうか。ここまで読んで、やはりどうでもいい話というのがお分かりいただけただろうか。