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祝・note神話部一周年! ~神話・民話の世界からコンニチハ~ 20 ルガルバンダ叙事詩より、怪鳥アンズーとの出会い
祝・note神話部一周年!
たらららったたたたー! 号外、号外~! かしらかしら、ご存知かしら? ハッシュタグ「#note神話部」として気軽に参加できる、筆者すーもとてもお世話になっているnote神話部が、初投稿としては去年の今日、正式の開始は明日の16日で、今年は一周年を迎えるんですってよ!
わー! おめでとうございます。パチパチパチ!(拍手)
思えば、2020年の4月から参加させて頂き、毎週1~2記事を無事にここまで連載出来たのは、note神話部の方々とのゆるく温かなつながりが出来たからにほかなりません。本当にありがたい場所が1年前に出来たことに、感謝です。
今後もお付き合いのほど、どうぞよろしく……。
とゆーことで、今回はnote神話部、祝・一周年のお祝いを先に述べさせて頂きました~。
以上、ささやかなお祝いでした!
ここから先は、いつものコラムです。
……さて第二十回は! 前回に引き続きルガルバンダ叙事詩より、前回で行軍中の病に倒れた末子の王子ルガルバンダさまが、神々の加護を受けて病気を治し、先に行った自軍に追いつこうと歩いていると、アンズーという不思議な鳥に会ったお話&インタビューです。
今回のお話
神さまがたの加護により、完全に快癒(かいゆ)したルガルバンダさまは、父エンメルカルさまが率いる軍に合流するため、軍が征服しようと目指す山岳地帯の都市アラッタへの道を探しました。
山の中にさしかかったとき、ルガルバンダさまは塔のように大きな木があることを見つけました。その木には、頭がライオンの姿をした鷲、伝説の鳥アンズーの巣がありました。
ルガルバンダさまは「あの大きな鳥、天翔けるアンズー鳥ならば、喜ばすことができたなら、アラッタまでの道筋か、ウルクへの帰り道を教えてくれるかもしれない」と思い、親鳥が狩りのために巣から飛び立ったのを見計らって、雛だけが残ったタイミングで巣に近づきました。雛の前にたくさんの御馳走を捧げ、食べさせてやったのちに、巣や雛を綺麗に飾り付けたりしてからそっと離れました。
怪鳥アンズーの親鳥が巣に帰りますと、神々の御殿(ごてん)のように彩られた巣と雛がおりました。これに気分をすっかり良くした親鳥は、
「もし神々のしてくれた行いであるならば礼を言いたい。もし人間の行いであるならばその運命を定めて力になってやろう」と言いました。
その言葉を聞いたルガルバンダさまは、恐れ多くも歓喜して名乗りを上げました。その身を怪鳥アンズーの前にさらし、アンズーを讃える歌を謳いました。
怪鳥アンズーはさらに気分を良くして、多くの贈りものをしようとしましたが、ルガルバンダさまはこれをすべて「いりません」と断りました。
そこでアンズーは何が欲しいのか、と尋ねました。ルガルバンダさまは、
「脚力と腕力が欲しい」と言いました。
「この足でウルクへ戻ることができたなら、都の者たちにあなたの像を造らせ、国中にあなたの名声を轟かせることをお約束いたしましょう」とルガルバンダさまが告げますと、怪鳥アンズーは大いに納得し、彼の望む筋力を授けました。
怪鳥アンズーは空高く舞いますと、エンメルカルさまの率いる軍の姿を見つけ、ルガルバンダさまに「案内してやる」と言いました。そして、さらに
「お前に言っておくことがある。心して聴くのだぞ。私は約束通りお前の運命を定めたが、この事はたとえ兄弟であっても決して喋ってはならない。幸運の裏にはいつだって妬みが潜んでいるものなのだ」と忠告しました。
その忠告を真摯に受け止めたルガルバンダさまはうなずき、もらった疲れ知らずの脚力で、怪鳥アンズーの案内に従って走り、ついにエンメルカルさまの軍に合流することが出来ました。
急に現れたルガルバンダさまの姿を見て、兄たちはこれをとても驚き喜び、どうしてここまで来られたのかを問いました。しかしルガルバンダさまは怪鳥アンズーの忠告に従い、慎重に言葉を選んで真実を明かさずに曖昧な答えをしました。
賢く機転のきくルガルバンダさまが、不思議な存在である怪鳥アンズーからご褒美に、人間では瞬時に得ることが難しい超人的な「筋力」を授かる、という神話。人間が、道具をもって空を飛ぶことがまだ出来ない時代に現れた怪鳥アンズーって……古代のUFO??? 異星人との遭遇??? なんて。それでは、インタビューと参りましょう!
すー: ギルガメシュさま、エンキドゥさま、よろしくお願いいたします。
ギルガメシュ: なんていうか、はっきり悪行を記していた俺との扱いの差、ひどくないか?
すー: たしかに……。
ギルガメシュ: それでも、父上の素晴らしさを讃えているのは、うれしいことだけどな! 俺だったら、きっと怪鳥アンズーと戦って戦利品を獲る、とかになっていそうだ。
すー: おだてるとか、ゴマをするとか、ギルガメシュさまには似合わない気がするのは納得です。
ギルガメシュ: そうだろう? この話が、本当のウルク軍の遠征をもとに作られたとして、父上として表される、君主となるべき王子がどれほど周囲の感情に自ら身を低くして心をくだくべきかを暗に示しているんだろうな。
すー: 暴君で、エンキドゥさまという親友が出来たあとでも、フンババとかイシュタルさまとか、あちこちにケンカを売っちゃうギルガメシュさまを、反面教師としてですね(笑)
エンキドゥ: そう、だな。だがオレは、そういう裏表のない、ギルガメシュが好きだぞ。
ギルガメシュ: なっ。俺は分かりやすくていいだろう?
すー: 王子ともあれば、本来はこのルガルバンダさまのように、相手の気持ちを喜ばせることに思考力を使うことのほうが現実としては望まれたのかもしれませんね。ギルガメシュさま、エンキドゥさま、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
第二十回「~神話・民話の世界からコンニチハ~20 ルガルバンダ叙事詩より、怪鳥アンズーとの出会い」は以上です。
すこしでも楽しんで頂けたなら、それに勝る喜びはありません。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。
今回は、note神話部一周年記念版で、お送りいたしました。
次回予告
第二十一回は、怪鳥アンズーの支援により軍に合流したルガルバンダさまが、苦戦する軍のために活躍するお話&インタビューを予定しています。どうぞ、お楽しみに~。
※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーからゆみなか🍀効率化オタク主婦さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。